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書店員が選ぶ絵本賞の受賞作が話題に。前年好調の影響で前年比88.3%:店頭売上前年比調査 2021年10月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(10月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。10月は1,627店のデータをもとに作成されています(9月は1,638店)。

前年比

10月期の店頭POS売上前年比は88.3%(昨年114.3%)。前年が「鬼滅の刃(22)」の発売時期にあたっており、集計開始以来の最高値となる前年比114.3%を記録した月でした。その反動で厳しい結果となっています。「鬼滅の刃」関連作品52点のマイナス影響は△7.8P程度と考えられています。
他ジャンルについても厳しい状況が続いています。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

ジャンル別

雑誌

雑誌は前年比90.2%(昨年99.5%)。

もっとも健闘したのは週刊誌です。解散を迎えたV6が表紙となった「anan」(10月27日号)が売上を伸ばしました。

また月刊誌では、財務省の矢野康治事務次官が寄稿したことで大きな話題となった「文藝春秋」(11月号)が大きく部数を伸ばしています。

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書籍

書籍は前年比93.0%(昨年107.1%)。

全ジャンルが前年比マイナスという結果になりました。児童書は地域によっては前年超えの場所も出ています。多くのベストセラーシリーズを抑えて「パンどろぼう」シリーズが上位に上がってきています。このシリーズは「第11回リブロ絵本大賞」「第1回・第2回TSUTAYAえほん大賞」などの、書店員が選ぶ絵本賞を続々と受賞している人気絵本。店頭発信でベストセラーが育っていく動きにも注目していきたいところです。

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文庫ジャンルにも気になる動きが出ています。コロナ禍以降、映画化原作作品の伸び悩みが続いていましたが、ここに来て『そして、バトンは渡された』『護られなかった者たちへ』などが大きく動いています。

コミック

コミックは前年比79.9%(昨年146.8%)。

「呪術廻戦」の最新17巻が大きな動きを見せていますが、昨年の「鬼滅の刃」の勢いには及ばす厳しい結果となりました。とはいえ、昨年が異常値に近い数字であり、コミックジャンルの活況はまだまだ続いています。

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緊急事態宣言や、長らく続いた時短要請がほぼ解除され、街に人が戻ってきています。この人の流れをいかに書店に向けていくのかが次の課題となりそうです。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

コミックが健闘したものの全体で前年比95.9%、週刊誌も前年クリア:店頭売上前年比調査 2021年9月【日販調べ】


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