コミックが健闘したものの全体で前年比95.9%、週刊誌も前年クリア:店頭売上前年比調査 2021年9月【日販調べ】
日販の「店頭売上前年比調査(9月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。9月は1,638店のデータをもとに作成されています(8月は1,641店)。
9月期の店頭POS売上前年比は95.9%(昨年102.1%)。コミックが健闘したものの、緊急事態宣言や全国的な荒天の影響を受け、厳しい結果となりました。特に台風14号が接近した9月中旬は、来店客数が大きく減少しました。
売上を牽引したコミックジャンルについては、大型新刊のほか、「東京卍リベンジャーズ」の既刊が売れ続けています。昨年9月は「鬼滅の刃」の新刊発売がなかったこともあり、「東京卍リベンジャーズ」関連書28点の売上は前年同時期の「鬼滅の刃」関連書の売上を超える規模となりました。POS押上げ効果は2.8%にまで拡大しています。
ジャンル別 前年比・構成比
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌
雑誌は前年比94.5%(昨年92.7%)。
週刊誌は100.9%とギリギリで前年をクリアしました。「隔週刊 アメリカンカー コレクション」、「隔週刊 HELLO KITTY なつかしのアイテムコレクション」など、デアゴスティーニ・ジャパンの分冊百科の創刊が続いたことが一つの要因となっています。
月刊誌、ムックは苦戦を強いられていますが、そういった中で「会社四季報」が数字を伸ばしています。「会社四季報」は昨年同時期にも発売がありますが、昨年も前年から大きく数字を伸ばしています。株の動向もありますが、コロナ禍以降の社会や企業についての情報を求める人が増えているという読み方もできそうです。
書籍
書籍は前年比93.7%(昨年101.1%)。
全ジャンルが前年比マイナスという結果になりましたが、その中で健闘が見られたのが学参ジャンルです。TOEIC、英検などの英語試験関連書が引き続き売上を大きく伸ばしているほか、『ネイティブなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!』が売上急上昇するなど、英語学習熱が高まっていることを感じます。
月間通じての前年超えはなりませんでしたが、9月上旬は文芸書が好調でした。これは東野圭吾著『透明な螺旋』が発売されるなど、大物新刊が動いたことによるものと考えられます。
コミック
コミックは前年比102.7%(昨年115.7%)。
期間中にもっとも売れたのは「ONE PIECE」の第100巻。記念すべき巻ということで、メディアへの露出やイベント連動も多く、盛り上がりを見せました。次に「東京卍リベンジャーズ」の最新24巻がつけています。「東京卍リベンジャーズ」は、アニメの最終回以降が収録されている第9巻以降を買い求めるお客様が増え、既刊の動きが良くなっています。
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10月になり、早速「呪術廻戦」の最新17巻が発売されるなど、店頭が盛り上がりを見せています。緊急事態宣言も解除され、人の流れも多くなってきました。
秋の新ドラマ、新アニメにも期待できる作品が多く、今後の動きが楽しみです。
(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)
・来店客数減少で厳しい状況続き、コミックが健闘するも昨年には届かず:店頭売上前年比調査 2021年8月【日販調べ】