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コロナ影響により客数が減退。コミックの前年影響もあり前年比は86.4%:店頭売上前年比調査 2022年1月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(1月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。1月は1,609店のデータをもとに作成されています(12月は1,623店)。

前年比

1月期の店頭POS売上前年比は86.4%(昨年105.9%)。月初、正月休みの期間は前年並みの実績で推移しましたが、オミクロン株の感染者数に反比例するように、前年比は月末にかけて落ち込んでいきました。

前月に続き、コミックの前年影響を大きく受けた結果、4か月連続での売上前年比80%台の実績となりました。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

ジャンル別

雑誌

雑誌は前年比94.3%(昨年93.1%)。

全体的には厳しい傾向ですが、週刊誌が106.1%と前年を超えました。1月に創刊された「ビッグスケール F1 コレクション」が高単価だったということもあり大きく数字を牽引しています。

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月刊誌では、「ポケモンカードゲーム ソード&シールド」のプロモカード「ピカチュウVMAX」が付録となった「コロコロコミック」(2月号)が大きく数字を伸ばしたほか、「文藝春秋」(2月特別号)も好調に推移しました。

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書籍

書籍は前年比93.4%(昨年98.3%)。

前年超えジャンルがなく苦しい月となりました。落ち込みが大きいのが文芸書、新書の2ジャンルですが、文芸書は第166回直木賞受賞作が授賞発表後、売上を伸ばしています。今回の受賞は『黒牢城』『塞王の楯』の2作で、いずれも重厚な作品ですが、2作合計での売上は昨年の第164回芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』を大きく超えるペースとなっています。

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前年実績にもっとも近づいたのは児童書ジャンルでした。引き続き「パンどろぼう」シリーズが売れているほか、『898ぴきせいぞろい! ポケモン大図鑑(上・下)』も好調です。

書籍全体の傾向と各ジャンルを比較すると、学参ジャンルは他ジャンルと違う動きを示しています。学参ジャンルについては、感染拡大が顕著になった1月下旬から売上が前年を超える日が増えており、外出自粛や学級閉鎖などの措置を受けた自宅学習の対策が行われていることが見て取れます。

特に小学学参では、3学期という時期もあってか、総復習ドリルなどが上位に上がってきています。

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(2022年1月の書籍ジャンル、学参書の売上動向比較:日販調べ)

コミック

コミックは前年比70.4%(昨年133.9%)。

昨年は「呪術廻戦」の14巻が発売され、注目度の高まりもあって既刊全巻が売れていた時期でした。今年も「劇場版 呪術廻戦 0」の公開を受け既刊の動きが良くなっていますが、残念ながら前年には及ばずという実績となりました。

既刊では現在放送中のTVドラマの原作である「ミステリと言う勿れ」が大きく売上を伸ばしています。

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全国的にまん延防止策がとられていることもあり、店頭の来店客数は大きくブレーキがかかっています。昨年の緊急事態宣言下に見られた立地ごとの傾向の違いはそれほど見られず、立地を問わず客数が減退しています。今後、客単価がどう推移するのかに注目していきたいところです。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

前年比は全体で84.0% 実用書、児童書は100%超えるも前年のコミック影響を受け:店頭売上前年比調査 2021年12月【日販調べ】



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