アニメ好調の「呪術廻戦」が大ブレイク、芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』も売上を牽引:店頭売上前年比調査 2021年1月【日販調べ】
日販の「店頭売上前年比調査(1月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。1月は1,681店のデータをもとに作成されています(12月は1,684店)。
1月期の店頭POS売上前年比は105.9%。9か月連続での前年比クリアとなりました。緊急事態宣言の発出、大雪の影響などでの売上減もありましたが、コミックの好調が続いたことから前年を超える実績となりました。9か月連続での前年超えは集計以来、初のこととなります。
コミックは引き続き売上を牽引している「鬼滅の刃」に加え、「呪術廻戦」の影響が大きくなってきています。「鬼滅の刃」は昨年1月にはすでに大きな売上を示していたため、関連43点の前年比では97.6%という実績です。一方、「呪術廻戦」関連18点が大きく伸長し、POS影響3.8%(前月比+1.5P) と全体を大きく押し上げました。
ジャンル別 前年比・構成比
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌
雑誌は前年比93.1%。
週刊誌は、分冊百科の創刊号が好調です。この影響を受け2か月連続の前年超えとなりました。2か月連続での前年クリアは、2016年8~9月以来のことです。
週刊「つくってあつめる スヌーピー&フレンズ」(1月5日創刊)
隔週刊「やさしいアロマ生活」(1月13日創刊)
月刊誌は引き続きアイドル誌や付録付き雑誌が好調に推移しています。一方、ムックは刊行点数が減少している影響が大きく、前年割れの状況が続いています。
書籍
書籍は前年比98.3%。
文芸書、ビジネス書、学参、児童書の4ジャンルが前年超えとなりました。ビジネス書が9か月連続、文芸書が8か月連続、児童書が6か月連続、学参が4か月連続での前年超えとなります。
文芸書では芥川賞・直木賞受賞作が好調に動きました。特に芥川賞受賞作である『推し、燃ゆ』はその後本屋大賞にノミネートされたことなども影響し、大きく売上を牽引しています。
コミック
コミックは前年比133.9%。
アニメが好調の「呪術廻戦」が最新14巻の発売を迎えて売上を大ブレイクさせました。店頭は恒常的に品薄状況が続いています。また、次巻をもって完結することが発表された「進撃の巨人」第33巻も大きく売上を牽引しました。
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緊急事態宣言の延期が決まりました。東京都心部を中心に、都市部の書店では苦戦が続いています。一斉休校の要請から1年を迎えることになる2月ですが、「ONE PIECE」の最新巻や「鬼滅の刃」の画集、ファンブックなど大型新刊の発売もあり、スタートから話題が途切れない状態が続いています。今後の動きを注視していきたいと思います。
(日販 マーケティング部MD課 古幡瑞穂)
・書籍・雑誌は苦戦もコミックの好影響で前年超え:店頭売上前年比調査 2020年12月【日販調べ】
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