書籍・雑誌は苦戦もコミックの好影響で前年超え:店頭売上前年比調査 2020年12月【日販調べ】
日販の「店頭売上前年比調査(12月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。12月は1,684店のデータをもとに作成されています(11月は1,687店)。
12月期の店頭POS売上前年比は110.1%。8か月連続での前年比クリアとなりました。コミックの影響が非常に大きくなっており、完結巻となる新刊が発売された「鬼滅の刃」関連42点の影響は7.9%(前月比+4.9P)、「呪術廻戦」関連17点の影響は2.3%(前月比+0.5P) とPOS全体を大きく押し上げました。
一方、書籍・雑誌は苦戦の月となりました。前月まで4か月連続で前年超えしていた書籍も、96.5%と前年を割り込みました。
ジャンル別 前年比・構成比
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌
雑誌は前年比94.6%。
月刊誌、ムックが苦戦する中で週刊誌は105.2%と勢いを見せました。年末をもって活動休止となった嵐が表紙を飾った雑誌が大きく売上を伸ばしています。週刊誌の売上が前年クリアするのは2018年5月以来のこととなります。
月刊誌は「会社四季報」が順調に動いたほか、L.L.Beanのボアトートが付録になった「LEE」が売上を牽引しました。
書籍
書籍は前年比96.5%。
文芸書、ビジネス書、学参、児童書、新書の5ジャンルが前年超えとなりました。ビジネス書は8か月、文芸書が7か月、児童書が5か月連続前年超えと好調ジャンルと不調ジャンルの差が大きくなってきました。新書も前年超えの実績となっていますが、これは「鬼滅の刃」のノベライズの影響によるものです。
学参の好調はTOEICや英検の関連書に支えられています。ビジネス書についても自己啓発系の本が好調に動いており、コロナ禍での自己啓発熱の高まりを感じる結果となりました。
コミック
コミックは前年比154.5%。
「鬼滅の刃」「呪術廻戦」は品薄状況が続いていますが、ランキングの席捲ぶりは変わりません。「鬼滅の刃」は完結を迎えましたが、映画化での盛り上がりもあり初巻からのまとめ買いが続いています。
TVアニメ化で盛り上がりを見せる「呪術廻戦」もまとめ買いが増えており、1月4日の最新巻発売もあわせ、今後も人気が拡大しそうです。
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再度、緊急事態宣言が発出されることとなり、書店店頭にも動揺が広がっています。児童書や文芸書、ビジネス書など、前回の緊急事態宣言の期間に売れた本が引き続き売れ続けている中、どういった変化が訪れるのか。2021年最初の月の動向を見ていきたいと思います。
(日販 マーケティング部MD課 古幡瑞穂)
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