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好きかどうかか。

毎週一度、障がいをもつ人たちが宿泊する施設の宿直をしている。
そこに一人、同じことをずっとしゃべっている常連さんがいる。

一月に関わりはじめて以来、同じことをしゃべる利用者さんには何人か出会った。でも彼のしゃべっていることは、なんだか聞きづらい。さっき終わったはずの話題が五分後にまたはじまったりすることもあるけれど、それ以上になんだかまとわりついてくる。

僕は人の話をずっと聞き続けるのは苦にならない方だと思っていた。でも、彼の話は結構しんどくて、限界になると他の仕事に向かうフリをして避けてしまう。そんなとき、その話題の中に彼を置いてけぼりにした感じがする。

そこにはたくさんの「かまって」という感じの訴えを感じるのだけれど、そのすべてに応えることはとてもできない。

翌朝、仕事を終えて家に帰ると大抵、奥さんがしゃべり始める。でも不思議なことに奥さんからの「かまって」の光線はいくらでも浴びていられる。もちろん話題自体がループしないで先に進むこともあるのだけれど、それは好みの音楽みたいに心地いい。

この聞き心地の違いはなんだろうと思った。単に好きだからなのかな。でも、別に奥さんほど好きじゃなくても、同じことをしゃべり続ける他の利用者さんの話はふんふんと聞いていられたりする。

あの「かまって」は、どうしたら解消されていくのだろう。そう思うとき、障がいの有無に関わらず、同じような「かまって」を発している人たちの姿が浮かび上がる。彼らの「かまって」はどれも僕にとっては聞きづらい。

あの「かまって」は、それこそ好きじゃないと聞き続けられないんだろうなと思う。冷たいようだけれど、それを聞き続けてくれる人がその人と縁がある人なのかもしれない。それは僕ではないのだろう、と思うことにしている。

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