本気の人に来てほしい。
「やっぱり言いたいことがあって」
と、その人は話しはじめた。
昨日に続いて、場所は名古屋の西念寺。
火曜日にひらかれた『くにちゃんと、ミニカンの会』の一場面。
この会の案内文には、主催の奥さんの叔母さんのことが書かれている。
それについて考える会だと思ったのに全然内容が違う。ちょっと残念。
彼女はそう言った。
ギクッとした。
そのとおりだったからだ。
ここまで、会は充実していたが、叔母さんの事はほとんど触れられていなかった。「やっぱりいい会だなあ」と感じていた僕は、叔母さんについて自分が書いた呼びかけの文を思い出し、焦った。
すると、くにちゃん(橋本久仁彦さん)が出た。
「その叔母さんの話が、そんなに大事だったのは、なぜなんですか」
そこから、その方自身の話が語られていった。
内容は書けない。しかし、その一言によって、叔母さんはこの会の中心に現れた。叔母さんだけでなく、そこにはいない人たち(家族)の存在が際立った。
会は真剣さを増した。「本物」になった。
僕がこの会について、一番おぼえているのはこの場面だ。
奇しくも文字起こしでは、奥さんが「厳しいお客さんが店を育てる」という話をしていた。
「ほんと来てよかったなと思いました」
会の最後に、その人は言った。
「なんかすいません。ちょっと私、進行を妨げたりしてしまったんですけど」
と継いだ言葉に、くにちゃんは言った。
「あれが、今日の一番、大事な進行やったんですよ。絶対的に必要でした。あれが今日来た我々の理由でした。」
そのとおりだと思った。決定的な一言だった。
この会をひらく前、奥さんと僕は「本気の人に来てほしいね」と話していた。奥さんにとって、叔母さんの話は、とてつもなくデリケートで、大事な話だったからだ。
そういう人が来てくれて、本当によかった。
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