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ヤクルトはなぜ急に強くなるのか?

 シーズンも佳境に入って参りましたが、現在セントラル・リーグでは三つ巴の戦いが続いております。

 今季はまず阪神タイガースが首位を独走。一時は8ゲーム差くらいまで広げましたが途中で失速。読売ジャイアンツが交流戦後から一気に差を詰めまして、この2チームのデッドヒートか…と思われましたが、現在首位に立っているのは阪神でも巨人でもない。

東京ヤクルトスワローズ


 ヤクルトがそろりそろりやってまいりまして(笑)現在首位に立ってるわけです。

 まあまだどこが優勝するのかわからない状況なのですが、正直僕は少し驚いてます。

 というのもヤクルトって、去年まで2年連続で最下位だったんですよ(笑)

・ジェットコースター球団ヤクルト

 というかそもそもヤクルトってどんなチームなのか。

 僕は90年代からプロ野球に興味を持ち出したんですけど、その頃のヤクルトは黄金期絶頂期でした。

 野村克也監督が打ち出したID野球という方針に従い、各プレイヤーがレベルの高いプレーを展開していた。特にキャッチャーだった古田敦也さんなんかは、その象徴とされてましたよね。

 僕は今も昔も巨人ファンなので、当時の4番ばかり集めていた巨人とは真反対のイメージを受けるチームだったのを子供ながらに覚えてます。

 個人的にはむしろ若松勉監督になってからの方が記憶にあってですね。当時ヤクルトに在籍していたロベルト・ペタジーニ選手とかアレックス・ラミレス選手がめちゃくちゃ脅威的で嫌だったなあという記憶があります。

 まあただ古田さんが衰えていくと共に後継者問題やらで00年代中盤~終盤にかけて少し低迷。まあ巨人が外国人をめっちゃ引き抜いたとかあったんですが(笑)チームを建て直すまでに少し時間を要しました。

 それでも2009年に初めてクライマックスシリーズに出ると、2011年には2位になりファイナルシリーズ進出。この時後の主力になる山田哲人選手が高卒ルーキーながらCSに出場してましたよね。

 でそこから強くなっていくかと思われたんですが、2013~14にかけて連続で最下位に。この時何が問題だったのかいまいち覚えてないんですが、まあ青木宣親選手がいなくなったというのと投手陣が崩壊していて主砲ウラディミール・バレンティン選手が60本塁打放っても勝利には結び付かなかったと。

 で、普通連続最下位になるようなチームって建て直すまでに時間かかったりするじゃないですか。最下位になるにはやはり選手層の薄さとか、世代交代の失敗とか致命的な欠点があるもの。そう簡単に解決できる問題ではない。

 ヤクルトはここ10年で5回も最下位になってるんですよ。ここだけ見たら正直暗黒期なのかな?と思わざるを得ないじゃないですか。2017年なんか45勝96敗で借金51作ってるんですよ(笑)普通考えたら、そんなチームしばらく優勝できないだろうって感じると思うんですよ。

 ですがヤクルトの場合違います。

 まず2015年に2年連続最下位から一気に優勝。その2年後に借金51で最下位になりながらも、翌年2位。その後また2年連続で最下位。そして今年また首位という。

 本当どうなってんだよ(笑)

 こんな上がったり下がったりのチームって前例あるんですかね?大洋ホエールズが6年連続最下位から優勝して日本一になったりとかそういう事は大昔あったらしいんですが、最下位から一度優勝して、そこからまたすぐに最下位に転げ落ちるもまた短いスパンで強くなるとか、めちゃくちゃすぎるでしょと(笑)

 ただいろいろ考えていくと、なんでヤクルトが定期的に強くなるのか少しわかってくるんですよね。

・ヤクルトが強くなる理由

 ヤクルトって優勝した2015年と今とで主力メンバーがかなり入れ替わってるんですけど。

2015スワローズ
(捕)中村悠平(25)
(一)畠山和洋(33)
(二)山田哲人(23)
(三)川端慎吾(28)
(遊)大引啓次(31)
(左)併用
(中)併用
(右)雄平(31)

2021スワローズ
(捕)中村悠平(31)
(一)ホセ・オスナ(28)
(二)山田哲人(29)
(三)村上宗隆(21)
(遊)併用
(左)青木宣親(39)
(中)塩見泰隆(28)
(右)ドミンゴ・サンタナ(29)

 まあ6年経ってるんでメンバーが入れ替わるのは別段不思議な事ではないんですが、この中で畠山選手と大引選手は既に退団しています。

 そして川端選手と雄平選手は代打だったり二軍だったりで主力からは外れている。ついで言えばバレンティン選手も移籍して今はいないと。

 僕はこの点だと思ってるんですよね。つまり優勝させたメンバーってのは、格が上がってあまりスタメンから外しにくくなる。勝てば勝つほど、黄金期を作れば作るほどその傾向が強くなりまして、中日ドラゴンズとか黄金期を作った反動で少し低迷が続いてたりする。

 巨人も同じで、2度の3連覇をした時期があったんですが結局その間に世代交代ができず、数年間過渡期に苦しめられた。

 しかしヤクルトは優勝した後すぐに2年連続Bクラスに転落。主力が怪我で次々戦線を離脱し安定しない時期が続いたんですね。優勝メンバーでその後毎年出てた選手なんか中村選手か山田選手くらいで、当時の主力がいなくなる時期が比較的早かった。

 その分苦しんだわけですが、ただ主力の格があまり上がらなかった事によって補強がある程度自由にできる状況になったんじゃないかと。強いチームってやっぱ常時出場できて結果を残せる選手が何人もいるわけですが、そういう選手が長年主力を張ってると強くなる反面他の若手が出てきにくくなったり補強しづらくなる。

 例えば川端選手が腰痛に苦しめられスタメン出場が厳しくなったかわりに、村上選手が台頭できた。畠山選手や雄平選手がいなくなったかわりに外国人選手を補強できたりとか、ある程度自由度の高い編成を可能にしたんじゃないかと思います。

 あとヤクルトって、定期的に効果的な補強してるんですよね。

 2015年には大引選手と成瀬善久投手をFAでダブル獲得。成瀬投手はあまり活躍できなかったものの、大引選手は宮本慎也さんが退かれて以降穴になっていたショートを埋め、戦力になれた。

 2018年には青木選手がメジャーから帰国。センターとして活躍しチームを2位に導いた。

 そして今年は外国人のオスナ選手とサンタナ選手が活躍。ヤクルトってそれまで「この選手スタメンだとあまりプラスにはならないんじゃないかな」と思える選手がレギュラーだったり、またバレンティン選手がレフトにいた為ベテランの青木選手や坂口智隆選手をセンターで使わざるを得なくなり、守備的にもあんまり良くなかったんですが。

 バレンティン選手がいなくなった事で守備のバランスが良くなり、その分足りなくなった打撃力をオスナ、サンタナ両外国人が埋める形を作れた。

 あと今年で言えば巨人から田口麗斗投手をトレードで獲得。元々先発も中継ぎもできる便利なピッチャーではありましたが、その対応力をヤクルトでも見事に発揮してフル回転。チームを勝利に導いてますよね。

田口麗斗

 そもそもヤクルトは山田、村上という二枚看板がいるチームでしたし、青木選手と合わせていわゆるコアというものを形成できていた。あとはどうチームを強くするかだったと思うのですが、そのピースを的確に嵌める事で定期的に強くなれるんじゃないかと思ってます。

 まああとは投手陣ですよね。ヤクルトというチームは投手陣が一番の弱点だったと思ってまして、去年まで安定して投げられる先発が石川雅規投手や小川泰弘投手含めて正直いませんでしたし、リリーフも力強いボールを投げられるピッチャーがほとんどいなかった。

 それが今年は先発がまあまあのレベルで安定しているのと、リリーフでは清水昇がセ・リーグトップの36ホールドを記録するなど、力強いボールを投げられる駒が揃ったなという印象を受けます。

 前回優勝した2015年も投手陣がいきなり安定し出して勝った面が大きかったので、野手のコアを常に形成できているチームなだけに投手陣をいかに揃えられるかがヤクルトにとっては鍵なんでしょうな。

 なので最下位の年とかはその分投手運用含めてガタガタになって終わるイメージはあるんですが(笑)どうして年によってクオリティがバラけるのかは本当に謎ですわ。

 まあ月並みですが、僕が考えるヤクルトの強さはこの3点です。

 で最後にこれも書いておこうかなと。

・ヤクルトは優勝争いを制することができるか?

 もちろん僕は巨人ファンなので巨人に勝ってはほしいんですが(笑)

 ただ、現状3チームの中で状態がもっとも安定しているのはヤクルトなのではないかと思ってるんですよ。

 それは一言で言えば主力の状態。巨人、阪神の主力が息切れを起こしている中で、ヤクルトの主力は比較的安定して活躍できてますよね。

 この時期になると新戦力が急に現れて大活躍、なんて事はほぼなくなるので、主力がどれだけ活躍できるかが重要であると。

 という意味ではヤクルトが一番それができてるのかなと思うんですが、同時に怪我人が出た場合ヤバイのもヤクルトなのかなとちょっと思いますね。

 当然コアレベルの選手が欠けたらどこも終わりなんですが、例えば阪神はどのポジションの選手が欠けてもある程度は穴埋めできる。替えが効かないのはショートの中野拓夢選手くらいかな?外国人が1人いなくなっても埋めれますし大山悠輔選手が抜けても佐藤輝明選手が抜けても1人程度なら代役はいますよね。

 巨人も坂本勇人選手、岡本和真選手以外であれば代役を立てられる。一塁二塁外野手あたりは特にある程度やれる選手の数が多いのでまあなんとかなると。

 ヤクルトはその点山田、村上両選手は別としても他のレギュラーとベンチの差も比較的大きいかなと感じますね。昨日サンタナ選手が怪我をして今日かわりに坂口選手が入っていましたが、正直戦力ダウンかなという気がします。坂口選手も良いプレイヤーではありますが、絶対的に長打力が足りないのでサンタナ選手の代役をやるのは少し荷が重い気がします。

 雄平選手が代役できたら良いのですが彼も現在二軍ですかね。あと中村捕手がいなくなるとキツいですよね。という不安はやはりちょっとある。

 もちろん怪我しなければなんてことはないでしょうが、同じく優勝争いが熾烈なパ・リーグを見ると吉田正尚選手や松井裕樹投手、レオニス・マーティン選手などの主力が次々怪我しています。全力でやっていく中でこういうアクシデントはどのチームでも起こり得ると。

 それは巨人に起こるかもしれないし阪神かヤクルトかもわからないのですが、バックアップが手薄な分一番怪我を恐れなければいけないのはヤクルトという気がします。

 ただそれを乗り越えた時、一番優勝に近付くのもまたヤクルトでしょうね。巨人阪神はとにかく主力の状態上がり待ちなので、どこらへんで完全体になるかはともかく現状ではやはりヤクルトに分があるなあと感じますね。

 あとこれもどのチームにも言えますが、直接対決は物凄く重要になってくる。ヤクルトは対阪神が残り5試合(神宮3甲子園2)、対巨人が6試合(神宮5東京ドーム1)なんですが、どちらに対してもホーム試合が多いというのはプラスなのかな?

 今季巨人が神宮で勝ててたり、阪神が狭い球場に特化した打線だったりとあるにはあるんですが、終盤になってくるとホームアドバンテージが大きくなってくる気もします。

 直接対決で制すれば当然ゲーム差も自分で広げられるわけで、特にホームゲームが多く残っているという意味ではヤクルト有利と言えましょう。

 残り30試合を切ったわけですが、最後まで優勝争いを3チームで演じていただきたいものです。

 今回は以上になります。前々からヤクルトのジェットコースター体質の話をしたかったので(笑)これを機会に書かせていただきました。他球団ファンなので至らぬ点があるとは思いますが、どうぞお許しください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました!それではまた。

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