投資家としての、米国流通業界の激しい戦いの見方 〜大きく変化しているEコマースの現状〜
この動画で、米国の流通業の苦境が伝えられています。↓
この苦境の一因には、コロナ禍でのEコマースの普及も原因でしょう。
経済産業省の市場調査によると、世界全体のBtoC市場を合算したEC化率は、2020年で「18.0%」。
今後も、およそ1ポイントずつ成長していく見込みです。
その中で、米国と中国が突出しています。↓
この動画に出てくる企業は、全米に出店している有名企業が多数です。
BIGlot(家具および室内装飾品)
BEDBATH&BEYOND(ホームファッション)
PARTYCITY(パーティーグッズ)
DOLLAR GENERAL(日常非食品ディスカウント)
CVSpharmacy(ドラッグ)
AMAZON GO(無人食品)
NORDSTROM(百貨店)
BEST BUY(家電)
など。
当方が、長年に渡る、米国流通視察での視察先としても馴染みのあるものです。
米国の流通業は、栄枯盛衰の移り変わりが激しく、それだけに流通業のモデルとして学ぶ価値があるものです。
世界1位の総合ディスカウント・スーパーのウオルマートとECサイト世界1位のアマゾンの例(競争)も典型です。
ウオルマート(1962年1号店)の創業者は、サム・ウォルトンです。 1970年には流通センターをオープンし、2年後の1972年にはニューヨーク証券取引所に上場しました。 アメリカで最大の小売店になったのは1990年、創業からわずか28年後のことでした。
ウオルマートの年商が、(言い換えると小売業の売上高が)当時世界最大の売上だったシェルやエクソン(石油)を超えた時は、エポックメーキングな出来事として記憶されています。↓
Amazonは、そのウオルマートに、あと20%の成長で追いつくまでになりました。
こうした激しい競争が、米国の消費者の暮らしを「世界一の豊かさ」に導いているのです。
米国の国民の総資産は、上位1%の富裕層が米国全体の50%を占め、上位10%では、実に90%を占めています。
日本などの比べものにならないぐらい、富裕層に富が集中しております。
それでも、米国民の大多数の庶民の暮らしが「豊か」と感じるのは、流通業が発達し、激しい競争により「より良いものをより安く」供給する産業として機能しているからです。
その競争の激しさから、冒頭の動画のように、激しく閉店や倒産が起こります。
主題は、「投資」目線からの、米国チェーンの見方ですが。
例えば、競争戦略として。
あるチェーンが、ロス地区100店舗撤退。
数年後、再び100店舗一挙出店。
というのが米国流通業では一般的な競争戦略です。
それは、全店の物流が、通常はセンター一括方式のために、100店舗の供給センター(複数もあり)の撤退と配送エリア単位の店舗の撤退は同時に起こるからです。
リアルな戦争での兵站と同様です。
兵站(読み:へいたん、英:Military Logistics)とは:補給・輸送・管理という3つの要素から成立つ総合的な軍事業務で、戦闘地帯へ後方から必要な物資や兵員を配置するといった活動全般を指す。 ロジスティクスという言葉はこの「兵站」という軍事用語をビジネス用語に転用したものである。
あくまでも、個店でなく、地域ナンバーワンを目指し、エリア単位で競争(寡占化・利益)を考えているのです。
したがって、100店単位の閉鎖・撤退も、一時的には苦境に見えても、復活する余地は十分にあります。
そうした見方で、投資先としての米国流通業を観察・分析・判断することが必要でしょう。
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