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新しい國では強烈な覚醒がおき放題

   昔よく聴いてた曲を、もう一度無性に聴きたくなる時がある。それは主に中高時代に聴いてた曲が多くて、「10代に浴びていた曲が今後の音楽の趣味を形成する」という説は確かに正しいのだろうなと思っている。

   高校卒業後に一年間宅浪を経験した。その時に聴いてた曲というのは、より深く記憶に刻まれている。やはり、辛く苦しい状況を支えてくれたものはそう簡単に忘れられるものでは無い。その中でも特に記憶に残っているのが、八十八ヶ所巡礼の「攻撃的国民的音楽」だ。

まずはこのMVを観て欲しい。

もうめちゃくちゃである。不穏なギターから始まり、疾走感があり骨太な主題。そこに載せられる数々のキラーフレーズ。性別不詳のボーカルと筋肉質で何故か半裸のドラム、サングラスをして長髪を靡かせる怪しい雰囲気を纏ったベース。無闇に点滅する背景。「狂ってる」という言葉でしか表現しきれない。

宅浪中はよくこの曲を聴いた。分かる分野が増え喜んだ時も、模試の結果が振るわず悲しみに沈んた時も。受験会場ではイヤホンの音量を上げ、俺がこの会場で一番頭が良いと言い聞かせた。歌は語りかける。「しゃっくりと後悔の中で世ノ常の根本を笑え」と。

社会人になった今でもこれを聴けば、現状に噛みつき、過去を省みず、ただその先にあると信じる合格に向けて泥臭く受験勉強していた、あの時のヒリついて尖っていた感覚を思い出すことが出来る。

音楽は人生の栞みたいなもので、普段は忘れていても一度聴けばかつての匂いや感情を思い出すことが出来る。オチはない。

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