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不妊の原因を知りたい!多嚢胞性卵巣症候群の排卵と不育について解説|はじめての妊活Q&A

「排卵の問題がでやすい多嚢胞性卵巣症候群っていったいなに?」

多嚢胞性卵巣症候群は排卵障害がみられる不妊原因の病態の一つです。排卵障害がある方は、この病態になっている方もわりと多く、排卵についての悩みをもつ方がいます。

この記事では、不妊の排卵要因の一つである多嚢胞性卵巣症候群について、病態や不育、流産との関連性についてまとめています。

排卵トラブルやいままでにPCOSがあり流産経験がある方は知っておきたい内容です。


多嚢胞性卵巣症候群と不妊との関係


多嚢胞性卵巣症候群の病態

多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)は、男性ホルモンの分泌が多くなって、排卵するはずの卵子が排卵せず卵巣にたくさん卵胞がたまってしまう病態をさします。女性の20~30人に1人は有する疾患といわれています。

脳にある「脳下垂体」から分泌されている黄体ホルモン(LH:lutenizing hormone) 、卵胞刺激ホルモン(FSH:follicle stimulating hormone)のバランスが崩れていることが原因とされています。

その根本原因には

  • 体重(やせ、肥満)

  • 食事

  • ストレス

  • 運動不足

など生活に関わることが多いようです。PCOSがある方はインスリンの働きが弱まっていて、血糖をコントロールする力が乱れていることが多いというデータがあります。インスリン分泌問題や血糖が高いと男性ホルモンが増加することになり、排卵を妨げる要因となります。


先程あげた生活要因の中に、ストレス、食事の乱れや欧米化、運動不足がありました。PCOSがある方は、根本として生活習慣に何か見直す要素がある可能性が高いです。

インスリンの働きが悪い体の状態

PCOSでは、「インスリン抵抗性が高い」という特徴があります。インスリンの反応が弱くなってしまっていて血液中の糖を分解していく働きが弱いということ。血中の糖濃度が高くなり、この状態が、男性ホルモンを活性化させてPCOSの病態へ関与するといわれています。

膵臓の働きが十分なのかどうか、炭水化物や脂質優位な食事スタイルになっていないかなど臓器の働きや生活習慣についてやはり気になる内容です。

不育や流産との関連性

PCOSは、不育や流産との関連性もあることが報告されています。PCOSでは、他の卵管要因の不妊と比べて流産率が高くなるという報告もあり、流産リスクについての研究がいくつかあります。PCOSがみられ、インスリン抵抗性が高い不妊患者に対し、インスリン抵抗性を改善させる服薬管理をしていくと、排卵、妊娠率の改善、そして、流産率の低下がみられたという報告もあるようです。


流産の場合、染色体異常について指摘されることが多いですが、染色体異常がない受精卵でもPCOS患者の胚では流産率が上昇するという報告がいくつかあります。また、不育症女性を対象とした研究では、インスリン抵抗性が高かったという報告もあります。論文自体が少ないので因果関係が確率したものではないですが、少なくともインスリン抵抗性の改善は排卵、妊娠、妊娠の維持にとても深く関係するものと感じます。


インスリン抵抗性の改善については、運動面で対策がうてる可能性があります。その内容についてはこちらからご覧ください。

▶妊活に効果のある運動を!|不妊の原因とスクワット運動の効果について解説

まとめ:PCOSの病態を知り血糖管理を心がける

不妊の原因で多い問題の一つであるPCOSについて、その病態をまとめました。生活習慣と結びつきやすいと感じる病態なので、普段の食事、運動、睡眠のリズムの見直しが必要かもしれませんね。



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