見出し画像

鼻骨折①


反抗期というのは、成長の過程であり、誰しもが通りえるものだ。


わたしは3人長女で、わたし、妹、弟の構成だ。

それぞれ2歳ずつ離れており、
弟とは4歳差。

※一番左がわたし

これは弟が思春期まっさかりの高校2年生のころで、わたしが大学生の時の話だ。
(わたしは地元の大学に通っており、実家に住んでいた!)


彼の反抗期はなかなか激しく、
まるで向田邦子氏の「寺内貫太郎一家」を
思い起こさせるものがあった。
わたしの印象にすぎないが、とにかく激しかった


「男の子」という自分とちがう性別の過程に
おののいた。


「反抗」という言葉を使うのも
悩ましいかもしれない。

それは親を基準にした目線からの言葉であり、
思春期まっさかりの彼らの主張たるものはある。


子どもでもない。大人にもまだなれない。
どこかもどかしく、主張したく、
ぶつけ場所を求めているような
「エネルギーのうろつき場」のような感じもしている。

だが現場で起こっている渦中にはそんな冷静さは保てないもので、

おろおろするばかりであった。



どこの家も、末っ子というのは上の子が破ってきたルールや門限の程度がだいぶ下がり、
わりとゆるやかになるようで、我が家もしかり。

弟はバイトやあそびや
夜な夜なの友人との活動に明け暮れていた。


昔の我が家は、子どもまとめて1つの部屋だったが、思春期になるにつれ、親が配慮して裏庭に小屋をつくってくれた。

そこを弟の部屋としていたのだが、


部屋は孤立していたため、
部屋に入ってしまえば何をしているかわからない。

ときおり庭からただようタバコのにおいに、
弟の非行の様子をうかがえた。



母は当時なかなかの激情型で、
かっとなると2倍3倍に怒ることもあった。


仕事が忙しい中、初めての男子の反抗というものに
対応するのにパワーがいったからかもしれない。

口が立つ弟が負けじと応戦するものだから、
ケンカがヒートアップするとなかなかおさまらなかった。


わたしは第3者ながら「どうしたものか」と
入る余地なく、
呆然とみつめることしばしばであった。


そんなある日のこと。


何の内容だったか忘れたが、
弟の帰宅後、キッチンで母と言い合いをしていた。

「ああ、またか」とそばで様子を
うかがっていたのだが、
いつも通りわたしは余計な者ようで、
割って入ろうとするとぎろりとにらんでくる。



「あんたは〇〇〇だよ!このバカ!」と
母が弟に叫んだその時。


怒りの頂点に達した弟が、
母をどん!と突き飛ばした。


母はキッチンの収納棚に脇腹を打ち付け、
うう・・と座り込んでしまった。


弟は母の様子に怯み、申し訳なくなったのか、
おろおろしていた。


母が病院へ行くと、あばら骨にヒビが入ってしまっていた。

これに父がキレた。


弟の鼻を真正面から殴ったらしい。
そして弟は鼻骨折してしまった。


まるでマンガのようであった。


1日にして家族から2人も骨折者が出たのだ。


そしてそこまでケガさせてしまったことに
父は落ち込み、
母はあばらが傷むと沈み、
弟はそれにまた沈むという、


なんともいえない居心地の悪さが漂っていた。


これも反抗期の産物なのか・・・



数日間は我が家に通夜の雰囲気が漂っていた。



このことは数十年たっても忘れられない。

そして弟の鼻骨の治療があまりに
衝撃だったのだが、
これは次に続く。


よろしければサポートお願いします*いただいたサポートは今後の活動費に使わせていただきます。