見出し画像

ERA検査の妊娠率はどのくらい?PGT-A検査の妊娠率は?中村嘉宏先生に聞いてみました

こんにちは。アイジェノミクススタッフです。

なかむらレディースクリニック 中村嘉宏先生をゲストにお迎えしてお送りした、妊活ラジオ 〜先端医療の気になるあれこれ〜 ERA検査、そしてPGT-A検査についても詳しくお伺いしたので、そのポイントをまとめていきたいと思います!

妊活ラジオ」は、FM西東京にて毎週日曜あさ10:00~放送中です!アイジェノミクス・ジャパンのYouTubeチャンネル「妊活研究ラボ」でも、アーカイブ配信しています。

なかむらレディースクリニックについて
大阪・吹田市にある「なかむらレディースクリニック」は2015年に開院された、体外受精、顕微授精、卵管鏡下卵管形成術(FT)などの高度生殖医療をメインとしたクリニックです。こころとからだにやさしい自然周期での治療も多数行っています。なかむらレディースクリニックの先生方は自分自身で顕微授精や胚培養、凍結融解など培養士業務を行ってきた経験があり、患者さんに合わせた最適な培養法を提案されています。

中村嘉宏先生について
日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、臨床遺伝専門医という資格をお持ちの中村嘉宏先生は体外受精の黎明期から体外受精に関わってこられ、採卵から培養、移植と生殖医療に多くの経験と見識を持つ専門医でいらっしゃいます。1994年に大阪市立大学医学部を卒業されてから現在まで不妊治療に取り組み続けてこられました。

なかむらレディースクリニックがERA検査を導入した経緯

お一人目を分割胚ですんなりと妊娠・出産された患者さんが二人目を希望され、その不妊治療がなかむらレディースクリニックで行われました。形態の良好な胚盤胞を戻す体外受精が行なわれましたが、なかなか妊娠に至らず、着床の窓がずれているのではないかと考えた中村先生から、アイジェノミクスにご相談をいただき、ERA検査を実施することとなりました。

検査の結果、やはり着床の窓がずれていたことがわかりましたので、胚移植の時間を調整していただきました。すると患者さんが無事、妊娠・出産されたということで、本格的にERA検査を導入していただきました。

転院したらERA検査を受けなおすべき?

ERA検査を行うなかで、いくつかわかってきたことがあるそうです。まず、着床の窓は子宮内膜の調整方法によって変化する、ということ。別の病院から転院されてきた患者さんは、子宮内膜の調整方法の違いによって、転院前に受けたERA検査が参考にならないということが起こるため、転院後は改めてERA検査を受けなおしてもらっているのだそうです。

中村先生は、以前までは着床しない原因の90%以上は卵側の因子だと考えていらっしゃったそうですが、ERA検査を行ってきて、子宮側の因子も20〜30%、あるいはもう少し多い割合で関わっているのではないかと考えるようになったそうです。

着床不全の20〜30%は子宮内膜因子によって引き起こされるという中村先生の見解については、アイジェノミクスも同様に考えています。

ERA検査後の妊娠率

なかむらレディースクリニックでは形態良好胚を2回移植して妊娠されない方や、PGT-A検査で正常とされた胚を移植したのに妊娠しなかった方を対象にERA検査を行っています。

なかむらレディースクリニックのデータによると、そういった症例の患者さんでは、80%の方に着床の窓のずれが見つかったということです。そして、着床の窓に合わせて胚移植を行うと、最初の胚移植での妊娠率が30%以上となりました。

妊娠率30%というのは驚くべき数字です、と中村先生はご説明くださいました。というのも、形態良好胚を移植した場合の妊娠率は30代前半~中盤の方で50%くらい、PGT-A検査後に正常胚を移植した場合の妊娠率は60〜70%にまで向上するそうです。

そういった条件においても妊娠できなかった患者さんのみを対象にしてERA検査を行ったわけですから、着床の窓に合わせて移植したことで30%もの方が初回で妊娠しているというのは確かに驚きです。

PGT-A検査とは?

さて、ここまでPGT-A検査という言葉が何度か出てきましたが、PGT-Aとはいったいどんな検査なのでしょうか。

PGT-A検査は着床前胚染色体異数性検査というものです。最近では、他のいくつかの検査と併せて「着床前検査」と表記されることも増えてきました。体外で受精させて培養した、着床させる前の卵から細胞を一部採って、染色体の数を調べる検査です。

受精卵は5日程培養すると、赤ちゃんになる細胞の塊と、その周りを覆う胎盤になる細胞とに分かれた胚盤胞という段階に達します。顕微鏡を使い、細いピペットでその胚盤胞の胎盤になる部分から大体5つ位の細胞を採取していきます。

アイジェノミクスはその細胞から、染色体を構成しているDNAを抽出し、PCRとよばれる手法でDNAを増やして、次世代シーケンサーという最新の機械でその配列を調べます。女性の場合は46XX、男性の場合は46XYという数になりますが、そこに過不足があるかないかを判定します。

日々臨床研究の進むPGT-A検査

PGT-A検査は不妊治療の検査として一般的に行われている国もある一方、染色体を調べるという点が生命の選別に繋がる懸念があるとして、日本では導入・実施には非常に慎重な対応がとられていました。

しかし、少数を対象にした研究、パイロットスタディーでPGT-A検査の検証を行なった結果、染色体数が正常な胚は着床率・妊娠率が高く、流産を防止する効果もあるということが解ってきたことから、大規模な臨床研究として、日本全国の認定施設においてPGT-A検査が実施されるようになりました。

2022年1月現在も、臨床研究としてのPGT-A検査の実施が続けられています。

なかむらレディースクリニックのデータでも、PGT-A検査の結果に従い正倍数性で異常がないとされた胚を移植した場合の着床率は60〜70%、40歳前後の女性でも正倍数性胚を移植できれば60〜70%位の着床率があるそうです。流産率は10%程度で、全国平均と同様の数値だそうです。

正常胚は何個とれる?

正倍数性胚が得られる確率についても、中村先生にお伺いしてみました。もちろん個人差はありますが、年齢ごとの目安としては、30代前半であっても胚盤胞まで成長した形態が良好な胚3個のうち、2個程度は正倍数性になるかな、という感じ。30代半ば位からは、正倍数性は3個に1個かあるいは2個に1個位の割合となり、40代を越えると4個に1個位が正倍数性という割合になっていくのだそうです。

 まとめ

大阪・吹田市にあるなかむらレディースクリニックの院長である中村嘉宏先生に、不妊治療がうまくいかない因子について、不妊治療のために中村先生に導入していただいているERA検査についての感想、さらには臨床研究が進められているPGT-A検査について伺いました。

次回は、PGT-A検査の有用性についてより詳しく、また検査のメリット・デメリットについても併せてお伺いしていきます。

中村嘉宏先生が院長を務めるなかむらレディースクリニックのウエブサイトはこちらから。


体外受精を始める前に。不妊治療で悩んだときに。
不妊治療のための遺伝子検査ラボ アイジェノミクス

不明点・ご質問のある方は、この記事のコメント欄やウェブサイトまたはフェイスブック、ツイッター等各種SNSよりお気軽にお声がけくださいませ。アメブロでは、よくある質問などにもお答えしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?