PGT-A(着床前検査)の有効性、保険適用はどうなる

2021年12月10日 17:47

前回に引き続き、IVF大阪クリニックで副院長を務める藤岡聡子医師をゲストにお迎えしてお送りする、妊活ラジオ〜先端医療の気になるあれこれ〜

PGT-A検査とは？不妊治療の保険適用へ向けた生殖医療ガイドラインについて、色々と教えていただきました。

「妊活ラジオ」は、FM西東京にて毎週日曜あさ10:00～放送中です！アイジェノミクス・ジャパンのYouTubeチャンネル「妊活研究ラボ」でも、アーカイブ配信しています。

PGT-A検査とは？

PGT-Aは、体外受精を行う際に用いられる、妊娠の可能性を高めるための胚の検査「着床前検査」の一つで、体外受精で得られた受精卵（胚）から栄養外胚葉(TE)、つまり将来胎盤になっていく部分の細胞を採取し染色体の数を調べます。

ヒトの染色体は2本一組の対になっており、合計で46本になりますが、本来であれば2本ずつのペアになっているはずの染色体が、3本になったり、1本しかない受精卵ができることがあります。

そういった受精卵は、着床する力がなかったり、着床しても妊娠を継続できず流産してしまう可能性が高くなることが分かっているため、胚移植の前にPGT-A検査を行うことが妊娠率の向上や流産率の低下に有効だとされています。

PGT-A検査は、日本国内では昨年2月から臨床研究という形で提供が開始されました。

この研究に参加できるのは体外受精で胚移植を行い、2回以上続けて陰性となった反復着床不全の患者様、また2回以上臨床的流産を繰り返された慣習性流産の患者様となっています。

藤岡医師によると、PGT-Aで正常胚を移植された反復着床不全の患者様では50〜60%、慣習性流産の患者様では60〜70%まで妊娠率が向上し、流産率も9%まで下がるという傾向が明らかになっているそうです。

移植1回あたりの妊娠率が上がり、流産率も低下するということで、患者様からのニーズは高まっているとのことです。

PGT-A検査の結果の解釈にあたり難しい点として、「モザイク」という考え方があげられます。モザイクとは、染色体数が正常な細胞と異数性のある細胞が混在する状態のことで、モザイクを持つ胚のことを「モザイク胚」とよびます。

女性の年齢が高くなるにつれ、胚の染色体異数性の割合が増えることは良く知られていますが、藤岡医師によると、モザイク胚に関しては年齢による差はあまりなく、どの年代であってもある一定の確率で出て来るものなのだそうです。

モザイク胚の場合は、移植しても問題ないと考えられるものから、移植には適さないものまでさまざまなので、移植するのかどうかの判断は慎重に行われる必要があるとのことです。

2020年10月、当時の総理大臣だった菅首相の所信表明で不妊治療の保険適用の拡大の方針が打ち出され、生殖補助医療の保険適用を来年4月に開始するための検討がなされることになりました。それに先駆けて、日本生殖医学会が診療・治療におけるガイドラインを作成することとなりました。（2021年11月刊行済み）

原案では、あらゆる治療法の中から選ばれた主要な40個の検査や治療法に関して、A、B、Cの推奨レベルが記されました。

推奨レベルは、Aが実施することが強く勧められる、Bは勧められる、Cが考慮されるという意味だということです。

例えば、体外受精は原因不明の不妊症に対する治療として有効であることからA。PGT-A検査の推奨レベルはBとされました。PGT-A検査の保険適用にあたっては、さまざまな観点から慎重に議論が進められていくことが予想されます。

アイジェノミクスのERA検査、EMMA/ALICE検査も推奨レベルCでガイドラインに取り上げられており、今後の保険適用に向けた議論がまさに始まろうとしています。
*2021年12月時点

今回、ご出演いただいた藤岡聡子医師が副院長を務めているIVF大阪クリニックでは福田愛作院長がブログで不妊治療に関する考え方を紹介されています。また、IVFジャパングループは公式　YouTubeチャンネルも開設しており、不妊治療について、紹介する動画などが掲載されています。

IVF大阪クリニックウエブサイト
https://www.ivfosaka.com/

IVF大阪クリニック公式YouTubeチャンネル　https://www.ivfhorac.com/ivfjapan/ytcenter/yt_osaka

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