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着床の窓|ERA検査以前の胚移植では、どうやって着床の窓を調べていたのか?

IVF大阪クリニックで副院長を務める藤岡聡子医師をゲストにお迎えしてお送りする、妊活ラジオ 〜先端医療の気になるあれこれ〜

エンドメトリオ(ERA・EMMA・ALICE)検査について、気になる質問をたくさんぶつけてみました!

妊活ラジオ」は、FM西東京にて毎週日曜あさ10:00~放送中です!アイジェノミクス・ジャパンのYouTubeチャンネル「妊活研究ラボ」でも、アーカイブ配信しています。

大阪で3つの施設 IVFジャパングループ
今回ゲストで出演いただいた藤岡聡子医師が副院長を務めるIVF大阪クリニックは東大阪市にあります。IVFジャパングループのクリニックはIVF大阪クリニックのほか、梅田のグランフロント大阪にあるHORACグランフロント大阪、なんばにあるIVFなんばクリニックと3つの施設があります。

IVF大阪クリニックウエブサイト
https://www.ivfosaka.com/

IVF大阪クリニック公式YouTubeチャンネル https://www.ivfhorac.com/ivfjapan/ytcenter/yt_osaka

ERA検査がない時代の胚移植はどうしていたの?

ERA検査は子宮内膜の組織を取って、着床の窓と言われる各患者様が持っておられる胚の着床に最適なタイミング、「着床の窓」を見る検査です。この検査がなかった時代は、前もって着床の窓を知ることができなかったため、藤岡医師も感覚を頼りに胚移植を行っていたのだそうです。

足立病院 生殖医療センターの胚培養士長 小濱奈美先生に聞く!ERA・EMMA & ALICE (TRIO)検査の活用・成功事例https://note.com/ninkatsu_radio/n/nd801f910463e

子宮に戻す胚が1つであれば、本来のタイミングから1日、2日ずらして移植してみたり、3日目胚や胚盤胞が2つ以上ある場合は2段階移植などを行うことによって着床の窓にずれがあったとしても、出来るだけ合わせられるように工夫をしてきたといいます。

二段階移植
一つの周期で二つ以上の胚を移植する手法のこと。最初に初期胚を移植しておき、2~3日後に胚盤胞を移植します。

本来、胚移植では、2日目の子宮内膜に2日目の胚、3日目の内膜に3日目の胚を移植していきますが、3日目胚と胚盤胞があるならば、それぞれ3日目の内膜、2日目の内膜に同じ周期で2回戻すことで、着床の窓のずれを少し修正出来るのではないかと考え、藤岡医師が行なっていたのが2段階移植でした。

他にも、採取した子宮内膜を組織学的に評価する、子宮内膜日付診という手法で子宮内膜の変化を確認していたこともあるそうですが、判定がぶれやすかったり、時間がかかるといった苦労があったことから、ERA検査が出た際にはとても期待が持てると感じてくださったそうです。

ERA検査の成功事例が知りたい

藤岡医師がERA検査をしてきた中で記憶に残っている症例の一つに、ある20代の患者さんがいらっしゃいます。

若くて胚の状態も良く見えましたが妊娠せず、着床前診断の一つであるPGT-A検査(胚の染色体数を調べる検査)まで行いましたが、それでも胚移植は成功しなかったそうです。

その患者様にERA検査を受けてもらうと、1日、2日のずれがわかり、そのずれを修正して移植をしたところ1回でご妊娠されたそうです。着床の窓のずれは年齢にかかわらず、あるということなのです。

ERA検査と、その他の着床の窓検査の違いは?

アイジェノミクスは特許取得済みの独自技術によって着床の窓を調べる検査、「ERA」をグローバルに展開してきました。しかし、1年ほど前から類似品が出てきています。日本でも似たような名前の検査ができました。

ERA検査と他社サービスの違いについて藤岡医師に伺ったところ、ERA以外の着床の窓検査の場合は、着床の窓が検査日の「当日・1日前・1日後」の3パターンのいずれかに分類されるとのことです。

しかし、ERA検査では、着床の窓が「黄体ホルモン補充から何時間後」に現れます、というのがきっちり出るので使いやすく、患者さんにも伝えやすい、患者さんも理解しやすいというところがあると、ご評価いただきました。

子宮内と膣内の細菌叢は違うのでしょうか?

ERAの姉妹検査である、EMMA & ALICE検査は子宮内の細菌叢、つまり子宮内フローラの状態を調べる検査です。EMMA検査は網羅的に様々な菌を確認し、その割合を見ていきます。ALICE検査は子宮の中の病原菌だけにフォーカスして見ていきます。

藤岡医師に子宮内の細菌叢と膣内の細菌叢は違いについても伺いました。

かつて子宮内は無菌と考えられていたそうですが、藤岡医師が出産時に破水しやすい方、妊娠しにくい方、流産の既往がある方を調べてみると、子宮の中は無菌ではなく、良い菌と良くない菌が混じっているというのが分かってきたと言います。

藤岡医師によると、子宮の中の細菌叢と、肛門により近い膣の中の細菌叢は違うと思われる、ということでした。

アイジェノミクスの研究においても、膣には膣特有の菌、子宮内には子宮内特有の菌がいるということが確認されています。アイジェノミクスの研究者同様、藤岡医師も、それぞれが持っている菌の影響によって、流産しやすい、あるいは破水しやすいといったことが起こるのではないかと仰っています。今後の研究にぜひ期待したいところですね。

EMMA検査で乳酸菌ラクトバチルスが0%となった患者様のことは、藤岡医師の記憶にも強く残っているそうですが、胚移植周期にインバグという乳酸菌を増やすお薬を入れると、すぐに妊娠に至った方もいらっしゃったそうです。

アイジェノミクスでは子宮内フローラにおける乳酸菌の割合は90%以上が理想であるとしています。そのため、お薬で乳酸菌を増やす治療を行ったあとは、再検査によってその効果をご確認いただくことを推奨しています。

EMMA & ALICE検査で子宮内膜炎の診断は出来る?

EMMA検査によって、子宮内フローラの様子がわかります。子宮内に善玉乳酸菌のラクトバチルスをたくさん持っている方は妊娠率が高く、流産率が下がるといわれています。一方、ALICE検査では、子宮内に特定の病原菌がいるかどうかが分かります。

しかし藤岡医師によると、ALICE検査で炎症の原因となる病原菌がいることがわかっても、その患者さんの慢性子宮内膜炎検査をしてみると、慢性子宮内膜炎の診断基準には達しない、陽性にはならない方が多数いらっしゃるそうです。

つまり菌がいるということと、その菌が実際炎症の原因となっているのか、感染を起こしているのかというのは別の問題ではないか、というように考えているということです。

炎症が起きる前であっても、病原菌が見つかった場合には子宮内環境の改善と炎症予防のために治療を行っていただくのが一般的です。

子宮内膜炎の診断についての基準についても伺いました。

藤岡医師によると、子宮内膜炎は日本のみならず世界的にも、「CD138細胞」が顕微鏡の強拡大視野に何個あるか、を診断基準としているそうです。

しかし、CD138細胞が2個あったら陽性なのか、3個であれば陽性とするのか、という基準は、クリニックごとにバラバラで統一基準が設けられていないため、診断や治療の判断は難しいのだそうです。

膣内細菌検査キットのメリット・デメリットは?

最近、膣内の菌を見る検査キットが登場しており、自宅でも膣内フローラを検査できると話題になっています。その検査の精度について、藤岡医師に質問してみました。

藤岡医師よると、まずは先述の通り、子宮内と膣内の細菌叢は違うということを理解する必要があるとのことです。

また子宮内の状態を確認するための検査は、通常、非常に清潔な環境で細部にまで気を使いながら医師によって実施されるものなので、自身で膣内から検体を採取するキットは簡便で使いやすいというメリットはありますが、診断に使用するとなると、やはり子宮内の細菌叢をきちんと検査する必要があるということでした。

不妊の約20%は 子宮内膜の問題が原因です。

妊娠の可能性を高めてくれる「子宮内膜の検査」をご存知ですか?


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