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熊野の神々に愛されたお酒 クラフトジン 熊野ジン

この熊野ジンの香り、
スティーピング方式のジンなのだろう。

最初の感想だ。

スティーピング方式のジンとはベースとなるアルコールを専用の浸透タンクにいれジンのメインとなるジュニパーベリーを植物の葉や種をタンクにいれ時間をかけ、ゆっくりとゆっくりと香り豊かに浸透させていく。

そしてそのボタニカルジンベースのアルコールをポッドと呼ばれる単式蒸留器に移し替え非効率ながらもゆっくりと丁寧に蒸留させていく。

ポッドで沸騰し気化させられたボタニカルジンベースは単式蒸留器から細いスチールの長くて細い管を通り自然の摂理で冷やされ気化されたモノが液体化されタンクへ入れられ寝かされていく。

スティーピング方式ジンの完成。
ー そう熊野ジンの完成なのだ。

ここでジンの製造方法や定義について見てみよう

そもそもジンとは。

ジンと呼ばれるための条件はひとつ。
「ジュニパーベリーを使用していること」
これだけです。正確には定義もあります。

昔は穀物からの蒸留が主だったのですが昨今では果実からの蒸留したアルコールなどもベースに使われることがあるため農産物といい幅広いアルコールが使われているようです。

ちなみに「ジュニパーベリー」とは。
ヒノキ科のセイヨウネズの木の実のこと。漢字では「西洋杜松」と表記します。日本にはたくさん群生していますがジンなどに使用するために栽培している地域となると、ほんの一部の地域に限られています。日本のクラフトジンに使用しているジュニパーベリーは海外からの輸入に頼っているモノがほとんどだと思われます。


ジンの製造方法


ジンの製造方法は大きく分けると3つくらいあります。コンパウンドジンに関してはベースアルコールを入れえたタンクに文字通りボタニカルを放り込むだけなので製造方法というと少し違うかもしれませんが、これもれっきとしたジンの製造方法だと思っております。あと両方の抽出方法を使ったヘンドリクスジンというクラフトジンのさきがけともいわれるジンもあります。

・ スティーピング方式(浸透法)
・ ヴェイパーインフュージョン方式(バスケット法)
・ コンパウンドジン(バスタブジン)

○ スティーピング方式
(浸透法)

伝統的といわれるジンの製造方法でポットスチルと呼ばれる単式蒸留器でゆっくり時間をかけ蒸留していく製法です。まずはベースになるアルコールにジュニパーベリーなどのボタニカルを時間をかけ漬け込み浸透させてからそのアルコールをポットスチルで蒸留する方法です。

香り豊かなジンになる傾向がありロンドンドライジンとも呼ばれているビーフィーターなどはベースのアルコールを連続式蒸留器で蒸留しているためキリッととてもドライなジンに仕上がっています。

○ ヴェイパーインフュージョン方式
(バスケット法)

こちらは浸透法とは違い「ボタニカル」を漬け込むことはせず、蒸留の蒸気によって香りの成分を抽出しその抽出された香り成分のフィルターを通ってベースアルコールに香りをつけていきます。なのでとても香りが深くアルコールに移ります。ア

ルコールには何も添加されていないのでアルコール自体はとても軽いのにとても華やかな香りがするジンができることが多いです。ボンベイ・サファイアがこの製造方法で作れていることはとても有名です。他にもザ・ボタニストなどもあります。

○ コンパウンドジン
(バスタブ)

これはその名の通りバスタブに漬け込んで製造したジンが由来となっています。禁酒法時代の密造酒のなごりがベースですが今ではきっちりとした製法として息づいております。製造方法は昔通り、ベースアルコールにボタニカルを漬け込むだけで全く蒸留を行わないタイプのジンです。蒸留しない為、フレッシュなボタニカルの香りがつくのが特徴で少しクリーミーになる傾向もあります。

バスタブジンという製造方法がそのまま銘柄になったネイビーストレングスのバスタブジンというジンが有名です。

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さて話は熊野ジンに戻ります。


地元和歌山県の榊を使ったベースジンに数多くのボタニカルの香り良い部分だけをまるで細い絹の糸を紡ぐかのように繊細にそして大胆に織り込んでいく。まるで綺麗に仕立てられた絹の織物のようなジンだ。

お酒はお酒を作った場所そのモノの影響を強く受け
その味に個性を育む。

熊野ジンのそのひとつだろう。

上富田町は和歌山県の沿岸沿いくろしおが流れを成す紀伊水道を間近に構えながら北に高野山の深く高い神々の山々、南に熊野地方の生まれ変わりの地とも言われる熊野三山が連なる熊野の山々、東に奈良の吉野から連なる吉野信仰ともされる神々の住む山々がこの蒸溜所の背後にあり、その自然の恵豊かな山々を通じ流れ湧く流水や優しく穏やかに流れる山風が創り出したまさに熊野の自然そのものが近くに存在している。

その自然の恵を一身に受け出来上がった熊野の香り、自然、熊野の風景や景色、空の色や空気の香り、そう熊野がいっぱいに詰まったジン。

それが熊野ジンなのだろう。

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そう思って熊野ジンを味わうと不思議と感じる印象が大きく変わってくるものだ。お酒というものは本来こうやって背景を知り造り手を知りその後ろにある大きな自然に感謝しながら少しづつ味わい頂くものなのだろう。


大きめの氷ひとつだけのロックで飲む熊野の香り。
冷凍庫に入れ冷凍温度帯まで冷やした熊野ジンをストレートで。
ソーダで割り飲みやすく炭酸の発泡でより香りを感るソーダ割り。

香りあることが特徴のジンなので合わす料理は、川魚の焼き物、季節の焼き野菜、焼いた鶏料理、などを食中の料理の口直しに飲んでも邪魔をせず面白いのが熊野ジンの特徴なのだろう。



和らぎ水というよりソーダなどが良いのかもしれない。
ロックスタイルの熊野ジンにソーダを添えて置いておくのも良いかもしれない。

口の中に名残惜しく残る香りを楽しむ為に。

美味しいお酒が作る贅沢な時間。
熊野ジンが作ってくれるに違いありません。

秋の夜長の一杯に。

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