『共産主義革命論』第2章

第2章 現代が抱える資本主義体制の諸矛盾


第2章ではより詳しく、現代資本主義が抱える所矛盾について考察していきます。

・資本主義の抱える諸矛盾、その核心


最初に議論するのは西暦2022年初めにわたしたちが暮らしている資本主義と呼ばれる体制と、その矛盾についです。
資本主義の抱える諸矛盾にはいくつかありますが、理論的な核となるのは労働力の搾取です。資本主義の諸矛盾はこの労働力の搾取によって生じていると説明されるのです。
どういうことでしょうか。丁寧に説明すると長くなるので要点だけまとめます。
まず、わたしたちの多数を占める労働者は働いて給料を得ています。このとき得る給料の金額はどうやって決まっているのでしょう? マルクス経済学では、賃金は労働力を再生産するために必要な額だとされています。
わたしたちは生きるために食べなければなりませんし、寝る場所も必要ですし、服も必要です。生きるために必要なものを買うための金額を賃金として得ているのです。
わたしたちは賃金を得るために働いています。もう少し具体的に言うと、使用者との労働契約にもとづいて、働き、契約に基づく賃金を対価として得ています。
このとき賃金の基準になるのは労働契約です。
では、労働契約ではなにが売り買いされているのでしょうか? ここで売り買いされているのは「労働力」です。
わたしたちはどれだけ働いたかによって給料を得ているのではなく、どれだけ働く能力があるかに応じて労働契約を結び、それに基づいて労働した分の対価を得ています。
ここで注意する点は、わたしたちは労働した分、労働量を売買しているわけではないということです。もし労働量を売買している(これだけ働いたのだからこれだけよこせ)のだとしたら、使用者はわたしたちが働いて生み出した付加価値の分だけ給料を支払わないといけません。労働者が1時間の労働によって3000円の価値を生み出した場合、生み出した付加価値はすべて労働者に支払われることになります。
この考え方だと、使用者の手元に利益が残ることはありえません。使用者は原料を仕入れて、製品にするための必要な労働量を買い、労働によって生み出された付加価値をすべて労働者に支払うことになるからです。企業は利益を得られないですし、企業が労働者を雇う動機もなくなります。
どうして儲からないのにわざわざ労働者を雇って働いてもらい、その生み出した分を労働者にすべて還元しないといけないのか、そう考えて慈善活動家以外に誰も資本家になどならないでしょう。
資本家が存在し、労働者が存在し、労働契約が存在するためには、企業側に労働者を雇うメリットがあるはずです。労働を買うことで、企業が儲かるような仕組みがなければいけないはずです。

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