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日記 2023.12.15(金) 『枯れ葉』/映画漬け/りんごの皮/持ち物を減らすこと/カレー/銭湯/やさしさを分け合う

アキ・カウリスマキ監督の映画に身をゆだねる日々は、一旦今日までとなるだろう。
今日から公開の新作『枯れ葉』を観に行く。

昨日の帰り、映画館の前の大きなポスターにわくわくする。


雨なのだなと感じる朝。冷たく暗い部屋の中で北欧の冬を思う。行ったことのない北欧フィンランドという国が、ここ数日でぐっと近く感じるようになってきた。
『希望のかなた』のパンフレットを読んでいると、難民が辿るルートを示した地図が載っている。ヨーロッパの国の事情もそれぞれあるのだと思うけれど、フィンランドという国にやさしさとユーモアで戦っている人がいるのだと思うと世界が輝いてみえてくる。誰もがささやかなやさしさを持ち寄り、分け合う世界は夢ではない、そう思えてくる。

朝ごはんはグラノーラにコーヒー、すてきなお店で買ったつやつやしたりんご。初めて聞く品種だったのだけれど、名前は忘れてしまった。甘味と酸味のバランスがよく誰もが食べやすい、そんな味わいだった。りんごは皮まで食べてるよ、とお母さんのことばを思い出して近ごろはわたしも皮まで食べている。いや、皮をむくのがめんどくさいだけかもしれない。大根の皮のおいしさを知ってから、皮を捨てるということに抵抗を覚えるようになってしまったのもある。

すっかり映画漬けの今週は洗濯も、掃除も部分的なところだけしかできていない。それでも日頃から使ったものは元に戻すこと、モノを減らすこと、目に入って気になった箇所だけでもきれいにすること、そんなことをちょこちょこと続けていれば部屋は大きく乱れることはなく、気持ちよく過ごすことはできるようだ。
でもほんと、持ち物を厳選して減らす、これが一番効いている気がする。ひとりですべてをこなそうとするとモノは少ない方がいい。わたしはなんでも自分でしたい、やってみたいタイプなので特にそうなのかもしれない。

孤独を抱えるというとなんだか孤独はつらさやさみしさだけのように聞こえるけれど、孤独には楽しい一面があることを忘れたくない。そんなことに気づくと世界がまったく違って見えてくる。少なくともわたしは孤独を自ら選び進んでいる最中だ。まっすぐ前を見て孤独な日々を生きている。

日課は孤独を楽しむための有効な手段のひとつ。日課をただただ続けることを教えてくれたのは坂口恭平さんだ。わたしは新しいモノを生み出す力はないけれど、真似をするのは昔から得意だった。最初は真似することでなんとか自分を奮い立たせていた。ただ何も考えずにやってみたいと思うことを続けることに集中した。慣れてくると、自分の声に耳をすましながら日課を続けられるようになってきた気がする。少しずつ、自分の中で変化が生まれてきているのを感じることもできるようになってきたかもしれない。変化の先に、わたしのオリジナルを掴みたい。

午前中はバタバタと出かける準備をしながら日課をすべて終わらせた。お昼ご飯は玉ねぎとほうれん草のしょうゆバターのパスタ。味もマイルドに美味しく出来たけれど、じっくりと味わう余裕はなかった。それでも余裕を持って電車に乗り新宿へ。

映画館まで意外と近く、30分前に到着。予約しておいたデジタルチケットの暗証番号が合わず、後ろのおじさんに分かりやすく深いため息をお見舞いされながらもスタッフの方に聞きながらなんとかチケットを発行できた。

『枯れ葉』はアキ・カウリスマキ監督らしさが感じられる静かな愛の物語だった。わたしが観てきた彼の作品の中ではとりわけ穏やかな空気が流れていたような気がする。何度すれ違っても、会いたい人には会える。いまわたしたちがするべきはだれかを信頼し愛すること、それぞれが思いやりを持って人と接することができれば世界は平和を手に入れられる、そんなメッセージを受け取った。

少し駅ビルの中をみてから帰る。お化粧コーナーで、ふと鏡に映った自分をみて驚いてしまった。今日のわたしの肌は、透明感があってシミもそんなに気にならず、毛穴も目立っていない。もしかすると鏡やライトのあたり方がよかったのかもしれないけれど、以前同じ鏡に映った自分をみた時には愕然としたことを思うと、少しは自分続けていることが間違ってなかったのかもしれないなと思えた。なんだかすごく嬉しくなった。

最寄りの駅まで帰り、産直市場でじーっと野菜の肌をみながら美味しそうなものを選ぶ。今日の占いにあったラッキーアイテム、カレーライスを思い出してじゃがいもとセロリと鶏むね肉を買って今夜はカレーにすることにした。家に帰りひとまず休憩。豆を挽いてコーヒーを淹れる。チョコレートとナッツを食べながらのひと時。わたし専用のカフェですてきなおやつ時間を過ごした。

にんじんと玉ねぎはあったものを使い、カレーを作る。鉄のフライパンで作るのは初めてだったけれどルーも粉状のものを使ったので1回分くらいのちょうどよい量ができた。じゃがいもは紅男爵という品種を買ったのだけれど、ほくほくで好きな味だった。じゃがいもが苦手というより、メークイーンが苦手なだけなのかもしれない。わたし的カレーの主役、にんじんは美味しいにんじんだったので最高だった。素材の味が美味しいカレーに、満足した。

今日は金曜日恒例の銭湯へゆく。映画館で座りっぱなしの時間が続いたのもあって首が痛い。冬の温冷浴の流れにもずいぶん慣れてきたので淡々と5セット繰り返しながら全身の凝りをほぐしていった。今日はなかなかカラダが温まらなかったので、水風呂がいつまでも少し冷たく感じた。43.5度の1番熱いお湯もそんなに熱く感じなかった。それでも大きな広いお風呂にざぶーんと浸かることができて、なんてしあわせな時間なんだ、そう思いながら過ごした。
こんな場所で話し合えば、争いなんてやめにして、やさしさを分け合うことができるんじゃないかな。

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