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藤原新也「コスモスの影にはいつも誰かが隠れている」

 藤原新也さんは1944年生まれだから私より3年上、現在80歳。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻中退。写真とエッセイを組み合わせた『印度放浪』が大きな反響をよび、以降、多くの写真集、ノンフィクション作品などを出している。
 
 「コスモスの影にはいつも誰かが隠れている」は14篇を収めた短編集、いずれも美しく切ない作品で心が打たれる。表題になっている「コスモスの影には・・・・」はネットカフェ難民の男女出会いと数年後の再度の出会い(らしきもの)を描いている。最後の情景描写、心情描写が素晴らしく、思わず自分と重ねてしまう。
 
 以下、文庫版あとがきの最後の部分を抜粋すると・・・・
 人生は物語の宝庫である。
 その宝庫を作家に覗かせるのではなく、自らを客観視しながら自分で覗いてみるのも、人生というものをさらに豊かにする一つの方法なのかもしれない。
・・・・とのこと。
 
 数年前に読んだ時、監視人殿に勧めたら、一読してとりこになり、常に身近に置き、出かける際もバッグに入れて持ち歩いているようだ。

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