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仕事に忙しい上司の視力が急激に悪くなったので介助サービスを探そうとした

ひとことでまとめると:

「まずは,市役所の(障害)福祉課に行きましょう」

※以下はつくば市の例:

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三行でまとめる:

・視覚障碍者に付き添って介助する人のことを「ガイドヘルパー」とか「同行援護従業者」と呼ぶ
・公的サービスとして同行援護を受けるためには役所で申請する必要があり,申請には障碍者手帳が必要
・介助サービスの申請 / 障碍者手帳の取得 について,どちらも役所の(障害)福祉課で親身に相談に乗ってくれるはずなので,まずは足を運んでみること

背景:

普段から遠視・近視(+老眼?)で頻繁に眼鏡を交換して生活する上司がいた.もう長いことそういう生活なようで,いまさら特段の不便を感じている様子もなかった.が,今年に入って状況が一変し,強い光に弱かったり5メートル先の相手の顔が判別できていなかったりする場面が増えた.明らかに悪くなっている.

一方で,そこそこの人員を率いるリーダーであり,責任のある立場を任されている.四月からもいくつかのプロジェクトが並行して走っているし,ちょうど軌道に乗り始めたくらいの新規プロジェクトもある.ここで離脱されることになるのは組織としても避けたいし,上司自身も今後の生活・人生に悩んでいるようだった.しかし,忙しい日々がそれについて深く考えることを許さず,特別なにかできるでもなく3か月が過ぎようとしているようで……

目的:

これまで通り不自由なく生活できるように,私生活を介助してくれるサービスを探す.具体的には,何もわからない状況で経験的に知っていた "盲人に付き添って導いてくれる人" について詳しく調べ,どうすればその人々を雇えるのか(或いはどうすればそれに関する詳しい情報が得られるのか)を明らかにする.

ここで介助を必要としているのは成年の一般社会人であることに注意したい.未成年者であれば保護者が対応することになるだろうし,学生等の身分があれば,その学校組織によっては独自の支援体制が整備されている可能性がある.

また,お金等についても話もしない.なんらか組織に属していればそこから何らかの援助が得られるかもしれないし,障害の度合いによっては公的な助成金も申請できるかもしれない.が,現段階ではそこまで踏み込んで調査できていない.

手法:

まず,私が人生を過ごすうちに経験的に知っていた "盲人に付き添って導いてくれる人" が何という名前で呼ばれているのかを調べ,それをキッカケとしてGoogle検索を行い,ある程度の事前情報を集めた.その後,ちょうど身近に存在していた「筑波大学 ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター(DACセンター)」と「筑波技術大学」の問い合わせ窓口に電話で相談し,どのように情報収集すればよいのかについて尋ねた.DACセンターとは,2015年に "ダイバーシティ推進室、障害学生支援室及びキャリア支援室を統合" されてできたもので,今回はその三つのうち障害学生支援を行っているアクセシビリティ担当の窓口に問い合わせを行なった.次に,聴覚・視覚に障害を持つ人を対象とした日本国内唯一の国立大学である筑波技術大学にも同様の問い合わせを行なった.DACセンターのような窓口はなかったため,総務課 総務係に直接電話した.最後に,つくば市の障害福祉課に電話で問い合わせた.

最終的に,もっとも参考になった(相談に対応してくれた)のは障害福祉課であったが,もしあなたが学生であれば,所属組織の担当部署に相談するほうがより卑近で手厚いサポートを受けられるように思う.相談先は複数持っておきたい.

結果:

まず,「ガイドヘルパー」とか「同行援護従業者」と呼ばれる職業の人々が視覚障碍者の生活を支えてくれていることがわかった.彼らが提供する介助サービスは同行援護と呼ばれ,以下のように定められている.

「同行援護とは」
視覚障害により,移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。
(障害者自立支援法障害者自立支援法 第5条4)
同行援護のサービス内容
① 移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む。)
② 移動時及びそれに伴う外出先において必要な移動の援護
③ 排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助

(出典:
厚生労働省. “障害者自立支援法等の改正法が施行されました”. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaiseihou/dl/sankou_110926_03_4.pdf, (参照 2020-03-19).)

次に,これまで集めた基本情報をもとにDACセンターと筑波技術大学の問い合わせ窓口に電話で相談した結果,当然ながら「関係者・学生以外に特別な対応をとることはできない」「つくば市であれば,障害福祉課に問い合わせるとよい」という回答が返ってきた.今回のように成年の一般社会人を対象とする場合には頼りない存在であるが,裏を返せば,そこの学生でありさえすればこれらの組織に頼ったほうがより強力なサポートを得られるかもしれない.できるだけ身近な組織であるほうが親身に対応してくれるように思う.

最後に,つくば市の障害福祉課の問い合わせ窓口に電話で相談した.以下の3つのことがわかった.
1.窓口にきて,時間を取って相談したい(アセスメント)
2.何はともあれ,障碍者手帳を取得してから(医師の診断)
3.取得の前後のサポートは,基本的に役所(サービスや助成の申請など)

本記事冒頭のフローチャートにもあるとおり,実際に介助サービスを受けられるようになるまでに,相談・調査・申請・審査・判定・利用計画・採択・契約というプロセスがある.市の審査会に通って初めて利用計画以降の手続きに進めるようで,それまでは一連のやりとりを障害福祉課の窓口で,"時間を取ってフィジカルに" やりたいようだ.

この一連のやり取りを行なうにあたって,障碍者手帳があるとスムーズにいくらしい(注:電話での短いやり取りだったので,多少誤解が含まれるかもしれない).手帳をまだ取得していないのであれば,まずその申請を行うためにも窓口に来てほしいとのことだった(そうすれば,だいたいの見込みで申請書もつくって手帳の取得と並行して事務手続きが進められるようだ).申請書に加えて医者の診断書も必要になるため,それに関連したやり取りをスムーズに行えるような方法も教えてくれるらしい.

私は当事者ではないので,窓口で視覚障害の程度を伝えたり医者の診断結果等について話したりすることはできなかったが,もしかしたら電話だけでも相談ができて申請書もある程度は作成できるのかもしれない.でもおおよそは,本人が役所を訪れて話を聞くことになると思われる.まずはどうにかして健常者に付き添ってもらい,役所の窓口までたどり着くことが必要不可欠となる.

結論:

「まずは,市役所の(障害)福祉課に行きましょう」

そこで時間を取ってフィジカルに相談したうえで,
1.医者に診断をもらい,手帳を取得する
2.介護組織に申請し,介助サービスを受けられるようにする
これらを並行して行なうこと

以上が,視覚障碍者向けの介助サービスを(最速で)受けられるようにするための方法である.また,視覚障碍に関する情報等が必要な場合も,まずはこの窓口を訪れてみるとよいそうだ.こうした介助サービスは全国一律というわけではなく,地域行政によって少なからず差がある.そういう理由もあって,ネット上で血眼になって探すよりは,まず足を運んでみることのほうが効率的かもしれない.

で,これからどうする:

とりあえず,上司にはメールを送り,どういう感じで進めていけばよいのか提言した.もしかすると,このメールさえも見られない・見るのがつらいのかもしれないことを思うと悲しい気持ちになる.

ボイスメールとまではいかないものの,文面を読み上げて録音し,それをGoogleDriveにあげて共有リンクをメールの先頭に示した.これでリンクさえ開ければ,メールの内容は音声で把握できるはずなのだが…………

お忙しい方ではあるが,どうにかして時間を取って市役所に足を運び,詳しい話を聞ければなぁと思う.(もし続報あれば,追記するかも……)

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