世の中の役に立たないこと。#8
飲みたいけど、酔いたくない、そんな夜もある。
明日は休みだから、酔っ払って明日の朝寝坊したっていいのだ。だけど、酔いたくない。酔って頭が働かなくなることや、早い時間に寝てしまうその時間がなんだか惜しい。
酔いたいわけじゃなくて、ビールのあの苦味と喉越しを味わいたいのだ。「今日はノンアルコールビールにしよう」そう思って、仕事帰りに駅前のスーパーに寄った。一般的なビールのほか、ご当地ビールも並ぶ中、肩身が狭そうにノンアルコールビールは並んでいた。だけど、そこにあるのは、私が欲しい350ml1缶じゃなくて、6本入りのものだった。ノンアルコールビールを6本欲しいわけじゃない。どうせ6本飲むなら、普通のビール5本、ノンアルコールビール1本の割合でいい。
なんだか諦めがつかなくて、近所の品揃えが悪いコンビニも覗いてみた。普段、そこのコンビニでアルコールは買わないけれど、よくよく見たらビールの品揃えは割といいではないか。けれど、やはりノンアルコールビールはない。
仕事帰りで、そこそこ重たい荷物も持っていたので、もう一軒コンビニをはしごする気力は起こらなかった。
家についてからすぐ、洗濯機を回した。その間に、冷蔵庫にあった、賞味期限が切れたプリンを食べながら、仕事帰りに寄ったスーパーで買った野菜を刻んでピクルスにした。初めてピクルスを作ったけれど、こんなにお酢を使うのか……と、驚いた。明日は休みだけど、午前中からなんだかんだ予定があるので、今日のうちに明日の夕飯と明後日のお弁当用の生姜焼きを仕込んだ。一人暮らしを始めてから、家にいる時間は割と料理をしている気がする。一口コンロで狭いキッチンだが、だんだん慣れてきて、30分もあれば何かしら料理ができるようになった。
洗濯が終わったので、ラジコのタイムフリーでラジオを聴きながら洗濯物を干した。ハンガーを買い足したので、Tシャツはハンガーで干せる。嬉しい。
部屋干しして乾いていた洗濯物を外した。料理や洗濯はやる気が起こるが、洗濯物を畳むのはどうしてもやる気が起きない。今もベッド上に投げられたままになっている。地味に疲れているので、これを書き上げたらベッドに横になりたい。乾いた洗濯物はどうする?
いつも職場で17時ごろに夕食を食べるので、帰宅すると大体いつもお腹が空いてしまう。先週、友人が遊びに来た時に、成城石井でカマンベールチーズを買ってくれたので、その残りを食べた。なんだか変な匂いがしたので二口くらい食べて捨てた。今日は燃えるゴミの日だったから、もっと早く気づけばよかったと思った。部屋中に異臭を放ち出したらどうしようと心配になっている。
ノンアルコールビールが手に入らなかったので、赤ワインを多めのジンジャエールで割った。量としたら、赤ワインは本当に少ないはずなのに、それでも飲み終えたら眠気が襲ってきた。疲れか、はたまた酒か……多分両方だと思う。
夜は有意義な時間にしたい。アニメを観たり、本を読んだりしたい。
一人で飲むお酒は時には楽しいけど、なんだか楽しくない。おいしいご飯と一緒に飲んだほうが、ご飯もお酒もおいしくなる。ただお酒を飲むだけではなんだか物足りない。
私はお酒は弱くないと思っているけれど、それは外で飲んだ場合の話で、家で飲めば気が緩むのかすぐに眠たくなる。
まだ寝たくない。観たいアニメも読みたい本もあるんだ。だから、今日はもう飲まない。
私だけに向けられた、テーマパークで流れるようなアナウンス。
「引き続き、雨ふるひとりの夜にをお楽しみください」
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