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世の中の役に立たないこと。#2

今日は、友人が所属している、トランス女性が女性らしさを身につけるための教室の料理教室に行ってきた。普段はトランス女性しか参加ができないが、今日はオールジェンダーOKということもあって、参加してきた。

バレンタインに合わせて、最近流行りのルビーチョコを使ってガトーショコラを作るという企画。

会場である公共施設の中の調理実習室には、十数名の参加者。参加者のほとんどがトランス女性だ。普段から、プライベートで何人かの性的マイノリティの当事者と交流があるけれど、こうして複数のトランス女性に囲まれる経験というのは初めてだったので、割と人見知りを発揮してしまった。

初対面の人と一緒にお菓子を作る。不思議な感じだ。大学入学時にやったレクリエーションを思い出した。

材料は事前に計量してあって、講師である友人のデモンストレーションを見ながら、同じようにやるだけだ。でも、お菓子作りって本当は計量が難しいんだよな、と思う。大雑把な私からしたら、グラム単位の計量は苦手だ。感覚で味が整えられる料理の方が自分には合っていると思う。

ルビーチョコ、最近ではコンビニでも見かけるようになった。ただ、少々お高めなので買って食べたことがなかった。希少価値が高く、普通のカカオよりフルーティーらしい。確かにそうだった。

バレンタインに手作りお菓子を作るなんて、もう10年以上やってなかったことかもしれない。しかも。中学の部活内で先輩後輩でやり取りするもの。誰がそう決めたかわからないが、バレンタインに手作りお菓子を作って渡すことが当然のようになされていたし、そういう雰囲気があったからこそ見栄を張って、前日にチョコレートを湯せんで溶かし、再形成していたのだと思う。湯せんで溶かして固めたチョコよりも、安くても買ったお菓子の方が絶対美味しいはずなのに、陳腐なプライドがそれを許さなかったんだな。そんな感じでやってるから、当然、お菓子づくりも楽しいはずもなく、嫌々でやってたな。

でも、今日は違う。自分の意思でお菓子づくりを習いにきたのだ。何人か食べて欲しい人の顔が浮かんだが、私にも相手にもそれぞれスケジュールがあるので、結局、今日作ったお菓子は私1人で消費することになりそう。まあそれはそれでよき。

教室が始まった当初は、超アウェイで緊張していたけれど、行程が進むにつれて同じ班の人とも少しずつ会話が増えてきた。ボウルを抑えててくれたり、水ですすいだ食器をもらって拭いたり。

学生時代、バイトで1人で料理をすることがあったが、誰かと一緒に料理らしい料理をするなんて、それこそ高校の調理実習以来かもしれない。

普段から、相手のセクシャリティはそこまで気にしないけれど、最初ばかりはアウェイで緊張していたけれど、なんだかんだ言って相手がトランス女性だろうがなんだろうが、一切気にならなくなっていた。

自分たちで料理を作るだけではなく、ミニハンバーガーやフォンダンショコラなど、軽食も出していただいて、ティーブレイク。美味しい食べ物は、自然と会話を生む。

楽しく過ごしていたら、あっという間に3時間強が経っていた。お土産に、作ったばかりのガトーショコラを持ち帰る。

電車に乗った途端疲れがドッときた。楽しかったとはいえ、無意識のうちに気が張ってたのかもしれないなと思った。

学生時代はよく料理をしていたけれど、最近では一切しなくなってしまった。漢の料理みたいなものしか作れないけれど、また久々に料理したいなと思った。



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