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弘法大師とかいう「なろう系」主人公

旅をしていると、日本全国どこにでも現れて奇跡で人々を救い感謝される「なろう系」の主人公みたいな人の伝説を耳にすることがある。

「なろう系」とは小説投稿サイト「小説家になろう」で投稿されそうな雰囲気の作品を指す。明確な定義はないが「普通の主人公が何の前ぶれもなく努力をしたわけでもないのに突然すさまじい力に目覚め、悪い権力者やいじめっ子を倒したり周りの賞賛や尊敬を一身に集めたりハーレムを築いたりする話」くらいのイメージで良いと思う。

現実世界で「なろう系っぽい」の筆頭といえるのが弘法大師だ(私調べ)。

弘法大師は唐に渡って勉強と修行をしているので「努力していない」というのは完全ないいがかりだし、僧侶なので美少女ハーレムを築くことはもちろんない。

ただ、その能力の高さと逸話がなろう系みたいだな、と思ったので少し紹介する。

せっかくなので私が撮影した写真と共にご覧いただきたい。

①愛知県・徳城寺の伝説

ある時弘法大師は愛知県の徳城寺を訪れた。のどがかわいていた弘法大師は寺の僧侶に水をお願いしたが、なかなか出てこない。

ようやく出てきた水を飲んだあと確認してみると、その場所には井戸がなく、崖下まで水をくみに行ってくれたことが分かった。

(やれやれ、助けてやるか……)

そう思った弘法大師は、地面を杖で指した。

「ふむ、崖下まで降りるなんて危険なことをしなくても、ここを掘れば水が出るのでは?」

掘ってみると、何とわずか1メートル掘り進めただけで水が湧き出してきた。粘土層に深さ1メートルの井戸が出ることは大変めずらしいことだった。しかも、なぜかいくら使っても枯れることはなかったという。

(みんなおどろいてたけど――、俺また何かやっちゃったかな……?)

②栃木県・大谷寺の伝説

現在の栃木県宇都宮にあたる場所に、地獄谷と呼ばれるところがあった。毒蛇が毒水を流していたため、鳥も獣も死に、草木は枯れ、人間ですら毒水にふれると病になったり死ぬほどであった。

(やれやれ、助けてやるか……)

弘法大師は地獄谷へ入ると秘法で毒蛇を倒して、ついでに岩山に千手観音も掘っておいた。

毒蛇は改心して弁財天に仕えるようになった。

弘法大師の力を目のあたりにした人々は感謝し、仏教を信仰するようになり、そこから大谷寺の歴史が始まったという。

(……やれやれ、蛇を退治しただけなのに寺が建てられて信仰者が増えるなんて、何が起こるかわからないもんだ)

③大分県・姫島の伝説

ある時弘法大師は大分県の姫島を訪れた。朝鮮半島の皇子から求婚されるほどの美しさを持つお姫様「比売語曽神」が神として祀られており、伝説になって残っている場所だ。

(やれやれ、少し歩き疲れてしまったな……)

くたびれた弘法大師は、滝の前で一休みしているうちにうたた寝してしまう。

ふと気がつくと、少し離れたところに古代の衣装を着た女性が舞っているのが見えた。

「なんてきれいな人だろう……」

弘法大師は自分の声で目を覚ました。

疲れた弘法大師を癒すために、夢の中にお姫様が訪ねてきて舞を披露してくれたのだった。

(やれやれ、休んでいただけなのに女神様が自分のためだけに舞を披露しにきてくれるなんて、何が起こるか分からないもんだ)


……弘法大師の伝説は日本に5000個ほど残っているらしいのですが、弘法大師を主人公にしたなろう系小説、誰か書いてくれませんかね?

#旅行 #宗教 #弘法大師 #空海 #なろう系 #チート #やれやれ #チート僧侶の放浪生活

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