喫茶店の「いい雰囲気」を分類する
喫茶店はいい。
具体的な「いい」ポイントを説明すると、各店舗が個性的な世界観を持っていて、それをデザート込みで1,000円前後で味わえるのがいい。
そんな喫茶店の「いい」雰囲気だが、大きく分けて3つに分類できると私は考えている。
さっそく3パターンの雰囲気を、具体例と共に紹介していこう。
①歴史のある店
雰囲気のいい喫茶店と聞いてまずみんなが想像するのが、歴史を感じる古びた店だろう。
うす暗いボックス席。タバコの臭いが充満する店内(北海道小樽市・コロンビア喫茶)。
雑然としているのに不思議と落ちつく。
飾り気のないシンプルなケーキもいい(愛知県名古屋市・喫茶ボンボン)。
極端な例かもしれないが、こんな店もある。90歳を越えるお婆ちゃんが1人で営む喫茶店だ。
メニューはコーヒーのみ。古い店なのでタバコも吸える。灰皿を差し出されたが私は非喫煙者なので断ったところ「お行儀いいね、あれは吸わない方がいいよ」といわれた(長野県渋温泉・信濃路)。
元も子もないことをいってしまえば、最近できた喫茶店の方が座席も快適だし、凝ったスイーツもあるし、店内も空気も清潔感がある。
だが、この居心地のいい雰囲気はできたばかりの店には決して出すことができない。
「歴史がありそう」は、3種類ある「いい雰囲気」の頂点に君臨していると思っている。
②店主の趣味が反映された店
店主の趣味が色濃く反映された喫茶店もいい。
店の中央に堂々と鎮座するレトロカー(北海道小樽市・GOLD STONE CAFE)。
飛行機時計に飛行機カレンダーに飛行機ポスター。
コーヒーにまで飛行機が飛んでいる(東京都深川・hane-cafe)。
楽しんでいる感じがしていい。ちなみに店主は年配の男性のことが多い。
③コンセプトがある店
明確なコンセプトを持っている店もいい。
②との違いは、趣味ではなく商売のために意図的にキャラを作っているところだ。キャラを作るというと聞こえは悪いが、要は遊園地のようにエンターテインメント的な側面を持つ店だ。
もっとも、店側がそれ自体を楽しんでやっていることもあるので②と③の境目は少し曖昧である。
写真は旧木村倉庫にある北一ホール。ちなみにまた小樽だ。
石造りの倉庫に大量の石油ランプを配置し、幻想的な空間に仕上げている。
倉庫をそのまま喫茶店に流用するのではなく、一工夫することでより行きたくなる店に仕上げている(北海道小樽市・北一ホール)。
極端な例かもしれないがこれもコンセプトのある喫茶店だ。
店に入るとロングスカートのメイドが現れ、席まで案内してくれる。ゆったりと落ちついた動作だ。忙しくてもそれを表に出さないように教育されているのかもしれない。
紅茶をお願いすると、慣れた手つきで高い位置から注ぎいれてくれた。日本紅茶協会に認定された実力は、決して見かけ倒しではない(東京都秋葉原・キュアメイドカフェ)。
このように、喫茶店は1店1店強い個性を持っている。知らない土地を訪れて気になる喫茶店を見つけたら取りあえず入ってみるのもいいかもしれない。
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