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死ぬまで一生愛されてると思ってていいですか/クリープハイプ15周年

尾崎世界観がステージの上で「死ぬまで一生愛されてると思ってていいですか」と言った時、死ぬまで一生愛してていいんですか、と思った。 今までずっと、彼らを実際に目にしたことがなくて、人となりも知らずに音楽だけをずっと聴いてきた。クリープハイプを高校生から聴き続けてきた自分はついに24歳になって、もうすっかり大人だった。 そんな大人になった私は、「クリープハイプが好きな人は××」みたいな批判じみた声に割と疲弊してきていて、もう大人だし、クリープハイプを「一番好きなアーティスト」

    • ChatGPTやSiriに暴言を吐いては謝罪を繰り返す私

      人を憎たらしく思いながら、ネットでも対面でも悪口を言わずに生きている人が、AIにめちゃくちゃ八つ当たりする話を書きました。 以下、私の話 人間に対して暴言を吐いたことはない。ひどい言葉を言ってやろうと思ったこともない。どんなに憎たらしい相手だとしても、傷ついて欲しいとまでは思わない。私の関係ないところで健やかに生きて死んでくれ、と思うだけなんだけど。 ただ、なぜか私は憎たらしくもないAIに対して実はめちゃくちゃ暴言を吐く日がある。日頃穏やかに生きて「悪口なんて言わないょ

      • 誰がためにインドは在る

        インド。我々、大和民族はインドのことをしばしば「人生観の変わる国」と評する。いや、正確には「ここにいった人間は人生観が変わるらしい」とまことしやかに囁かれている。ゴダイゴは『ガンダーラ』という曲を歌っている。「そこに行けばどんな夢もかなうというよ」「ガンダーラ ガンダーラ 愛の国ガンダーラ」 ひょっとしたら、インドは現代のガンダーラなのだろうか。(正確には現代のパキスタンがかつてのガンダーラなのだが)はたまた黄金の国ジパング?もしくは美しい島フォルモサ?現代日本に住む我々にと

        • 自分が言われたら嫌なことをつい他人に言ってしまった夜に聴く音楽

          差別も偏見も良くない。人にそういった眼差しを向けられた記憶は心に棘を残す。私の心にも棘は残っている。だからこそなのか、人に対してその棘を残してしまったかもしれないと気がついた時に、自分自身も鋭い痛みを伴う。自分自身の差別的な感情や偏見を指摘されたとき、もしくは指摘されなかったとしても、私の言動で相手が微妙な表情を浮かべていたときに、「いま私は良くないことを言ったのだ」という事実に頭をぶん殴られたようなショックを受ける。私はなんて浅はかなのか、言う前に思い至れなかったのか。その

        • 死ぬまで一生愛されてると思ってていいですか/クリープハイプ15周年

        • ChatGPTやSiriに暴言を吐いては謝罪を繰り返す私

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        • 自分が言われたら嫌なことをつい他人に言ってしまった夜に聴く音楽

          台湾のバンドが懐かしいサブカル心をくすぐってくる。ずっとブックオフにいるような気持ちになる。

           最近、台湾のバンドにハマっています。ナンバーガール、銀杏BOYS、アジカンあたりを好んで聴いていた私に、台湾のバンドはピッタリハマりました。80年代~90年代くらいの、ちょっとだけ懐かしい香りがする邦ロックのバンドの雰囲気。 特に透明雑誌は、バンド名からしてももしかしたらナンバーガールの「透明少女」にインスピレーションを得ていたりするのでしょうか。  クリープハイプの尾崎世界観さんのコラム「東京湾のそこから」(月イチ更新と書かれていますが、二回で連載は止まっています。オ

          台湾のバンドが懐かしいサブカル心をくすぐってくる。ずっとブックオフにいるような気持ちになる。

          その水になじめない魚から人文が生まれる?

           頭木弘樹のエッセイに「その水に馴染めない魚だけが、その水について考え続ける」という言葉があるという。この言葉について先日友人と考えた。 「自分がいる環境に、何の不満も疑問もなかったら今頃何をしていたと思う?」 「間違いなく人文には関心がなかったと思う」 などと話しながら大津市のショッピングセンターのエスカレーターを上がっていた。  水に馴染めていたら......環境に疑問を持たなかったら、私自身はまず間違いなく人文には関心がなかっただろうが、疑問を持ったとして必ずしもそれ

          その水になじめない魚から人文が生まれる?

          令和のエンタメ社会で勝つ方法、グラビアアイドルをしながら文芸誌でエッセイを連載?

          友人に「podcastがやりたい」と言われた。死ぬほど分かる、と思ったが多くの人に聞いてもらうためにはある程度の知名度や地位がなくてはいけない。友人が「ジェーン・スーみたいに、我々が日々思っているが言語化できないことを題材にして、痒い所に手が届くエッセイストで知名度を得たい。それか爆乳インスタグラマー」と発言したのを皮切りに、私たちは売れっ子podcasterの道を探り始めた。 グラビアアイドル(もしくは爆乳インスタグラマー)などを本業としており、たまにXに投稿したポストが

          令和のエンタメ社会で勝つ方法、グラビアアイドルをしながら文芸誌でエッセイを連載?

          今日の日記:無意識に人に媚びちゃうけど、それでも、自分で選んだ道を突き進め!

           今日は朝から「ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。」という台湾人女性と日本人男性の恋愛を描いた実話ベースの映画を観た。「しんど、何が楽しくて人の恋愛の話を聞かなければいけないのか」と思ったので、今は多分恋愛モノを見ちゃいけないシーズンだったのだと思う。  そのあとはずっと福山雅治の曲を聴いた。福山雅治の曲を聴くのはだいたい心が弱っている時なので、今自分は心が弱っているのだな、と理解して機嫌を取ってあげる必要がある。なので、飯をモリモリ食べた。  午後から仲良しの友人

          今日の日記:無意識に人に媚びちゃうけど、それでも、自分で選んだ道を突き進め!

          結婚をしなくてもいい時代、自分が望む将来の在り方を考える必要性に迫られる

          必ずしも、結婚をしなくてもいい、子供を持たなくてもいい。それならば、私は未来をどう生きる?どう生きればいい?家族と共に人生を歩むのか、1人で生きていくのか、あるいは何か別な共同体の中で生きていくのか、無数の選択肢がある中から一つを選び取らなければいけない。 幼き頃より「逆張り精神」の塊で生きてきたので、何も考えずにとりあえず結婚をする、ということはしたくない。結婚するなら、積極的に結婚という選択肢を自ら選んだ結果で結婚したい。結婚するのか、しないのか。誰かと生きるのか、1人

          結婚をしなくてもいい時代、自分が望む将来の在り方を考える必要性に迫られる

          【新潮文庫の100冊濫読④】「暇と退屈の倫理学」自分らしく生きることが良しとされているのが今期のトレンド?

          「東大・京大で一番読まれた本」というキャッチコピーにまんまと踊らされ、購入。これで私も知識人階級に仲間入りか。 著者の國分功一郎がまず初めに述べているのは、「消費者の需要が先にあり、それを生産者が感知してモノを生産する」のではなく、正しくは「供給側が需要を左右している。つまり、生産者が消費者にあなたが欲しいのはこれなんだと語りかけ、それを買わせるようにしている」ということだ。 これは正直めちゃくちゃ実感を伴う話だ。SNSを見れば美味しそうな食べ物や可愛い洋服、コスメの情報

          【新潮文庫の100冊濫読④】「暇と退屈の倫理学」自分らしく生きることが良しとされているのが今期のトレンド?

          私の帰りたい「故郷」には10代の頃の記憶が付随している

          時々、無性に故郷に帰りたくなる。 あの、田舎と都会が程よく混ざり合った故郷に帰りたいと思う。ただ、私の帰りたい「故郷」というのは、もう記憶の中にしかない。春になると桜が咲く河川敷の景色。暑い夏に自転車で行った市民プール。暇な休みの日に時間を潰したブックオフ。同級生がこぞってデートしていた地元の祭り(私はできなかった)。高校の屋上で友人と見た花火。友達に誘われてよくライブを観に行ったライブハウス。あまりにも寒い冬。全部愛おしくて戻りたくなるけれど、あんなに景色が輝いて色を持っ

          私の帰りたい「故郷」には10代の頃の記憶が付随している

          「インドで人生観変わるやつ浅い」という言葉には生きた血が通っていない

           語られ尽くした「あるある」や他者への尖った意見を言うのはあまりにもお粗末な気がしている。  「インドで人生観変わる奴浅い」という言葉、それはお前の言葉ではないだろうと肩を揺すりたくなる。その言葉には実感が伴っておらず、生きた血が通っていないのだ。 同様に「スタバでMac bookいじってるやつ」「髪を刈り上げて歯が白い、ぴちぴちスーツの営業マン」への文句や、「行けたら行くは大体行かない」「普段の素行が悪い奴がたまに良いことすると好感度が上がるのずるい」などなど...。そ

          「インドで人生観変わるやつ浅い」という言葉には生きた血が通っていない

          【新潮文庫の100冊濫読③】「盲目的な恋と友情」それは恋の甘美さと疑念を同時にもたらす

           友人に「きっと好きだと思う」と勧められたこの本は、暗く沈んでいくような恋心を冒頭からはっきりと提示してきた。 この一文だけで、主人公にとって茂実星近という人間がどれだけ他の人とは違うものをもたらしたのかがありありとわかる。 ここから始まっていくのは、主人公が茂実とどのような愚かで美しい日々を送ったのか、その詳細な記述だ。私は彼女の恋の軌跡を辿っていくことを楽しみにページをめくる。ページをめくるごとに、彼女の生活は茂実との逢瀬一色にそまっていく。「留利絵や美波たちと好きな

          【新潮文庫の100冊濫読③】「盲目的な恋と友情」それは恋の甘美さと疑念を同時にもたらす

          【新潮文庫の100冊濫読②】『ぼくは勉強ができない』高校生のときに共感して、大人になっても共感した

          主人公の時田秀美はとにかくかっこいい男の子だ。17歳で、年上の女のセックスフレンドがいる。時田くんの価値観は尖っているけど柔らかで、面白い。彼の物言いはいつもウィットに富んでいて、初めて読んだ当時はこんな男の子に出会いたいものだと恋焦がれていた。 最初の方に出てくる、秀美とおじいちゃんのこのやりとり。あまりにも素敵すぎてクラクラしてしまった。 仲の良い教師によく哲学やら倫理やらの本を勧められて読んでいる彼は 「いい顔をしてないやつの書くものはどうも信用がならないのだ。(中

          【新潮文庫の100冊濫読②】『ぼくは勉強ができない』高校生のときに共感して、大人になっても共感した

          【新潮文庫の100冊濫読①】『西の魔女が死んだ』魔法を使わない魔女のおばあちゃんについて

          ※ネタバレを含みます この本を初めて読んだのは小学校低学年のとき。当時の私はハリーポッターをきっかけにファンタジーの沼にハマっていて、『西の魔女が死んだ』もファンタジー小説なのだと思って読み込んだ。当時の私は一度も魔法が出てこないことにぶすくれた。 そのあともう少し年齢が上がって、中学生の時にもう一度読んだ。なぜそう思ったのかはあまり覚えていないのだけれど、小説全体を覆う独特の柔らかな雰囲気がとても好きで、読んだ後はとても柔らかな気持ちになっていた。おばあちゃんが口にする

          【新潮文庫の100冊濫読①】『西の魔女が死んだ』魔法を使わない魔女のおばあちゃんについて

          子を持つというのは、すなわち正しく家具を配置し正しく道具を使わなくてはいけなくなることなのではないか

           「ちゃんとする」のが昔から苦手で、別にちゃんとする必要はないなと謎に開き直って生きてきた。先日、長年付き合いがある幼馴染に、周囲が全く見えていないことや危機察知能力が低いこと等々……様々な指摘をされ、あまりに図星だったため「J.S.ミルは自由論の中で、その人の自由は他者に危害を加えない限り尊重されるべきだって言ってて……(つまり私の生き方は自由で構わないのではないか)」と精一杯の反論をしたが、「いや、その危害だってどこからなの?平気な人もいるかもしれないけど、人によってはそ

          子を持つというのは、すなわち正しく家具を配置し正しく道具を使わなくてはいけなくなることなのではないか