俺癌〜夫が癌になって〜⑱難病を患う人にかけてはいけない言葉とかけるべき言葉
夫が前立腺がんのため、ダヴィンチ手術で前立腺を全摘してから仕事に復帰した時の話
退院して、約3週間経った後、仕事に復帰した夫。
半日とか、数時間勤務とかではなく、いきなり遅い帰宅だった。
長期の休みをもらったので職場には迷惑をかけたからと、大量の菓子折りを用意して出勤した。
「大変でしたね、無理しないでくださいね。」と言い、菓子折りを受け取りながらも、無理をさせる同僚たちに、人間の本質を悟って夫は帰ってきた。
人間には『言葉』と言う伝達能力があるけれど、必ずしもそれは真実ではない。
言葉によって感動したり、癒されることもあるけど、逆に大きく傷つくこともあったりする。
声優の津久井教生(つくいきょうせい)さんは2年前に難病 ※ALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹患してから
講談社FRaUweb「ALSと生きる」
という記事を連載しているのだが、読んでいて、心臓にがーんと響いてくるような感銘を受ける。
多くの人は病気に罹患した人に対して、悪気なく
「焦らず、しっかりと治してまた一緒に仕事をしましょう」などという。だが、 ALSという病気は治療法の確立していない難病。進行していく病気だ。
それを説明しているうちに自分が発している言葉がボディブローのように自分自身に効いてきてだんだん落ち込んできてしまったと書いてあった。
※ 筋萎縮性側索硬化症とは
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
難病情報センターサイトから引用
津久井さんの記事を夢中になって読み進めていくと、難病に罹患した人に、かけがちな言葉は
「頑張って」
「無理しないで」
という言葉。
でも、これらは、言葉を受け取る側、つまり「相手に行動を促す言葉」
難病に限らず、癌や、事故などで障害を背負うことになった人、心を病んでいる人にもついかけがちな言葉だ。
わたしもおそらく今まで生きてきて幾度となくそれを使ってきただろう。
だが、それは病んでいる人にはとても酷な言葉かもしれない。
もちろん、素直に受け取る人だっている。しかし、時にこれらの言葉は「これだけ頑張っても、まだ頑張らなきゃいけないのか」とか
「無理したらいけない、無理したらいけない。」など本人が重荷に感じることだってある。
そういうことを、言葉をかける側は、知っておくべきだと思った。
ならば、どのような言葉をかけるべきか、津久井教生さんは語る。
それは
『応援しています』
『祈っています』
このような言葉は、発する側がする行動、つまりこの言葉をかける側がその思いを伝える言葉なので言われた人は、ただ受け取るだけでいい。
津久井さんはこの言葉をパワーに変え、ありがたい言葉だと記事に書いていた。
なるほど。ほんとだ。
ほんとにそうだ。
何気に使う言葉がこんなにも深いなんてと、ガツンときた。
わたしも、注意して言葉を使おう。
悪気なくかけた言葉でも相手が傷ついたというなら、素直に謝らなきゃいけない。
そういやうちの81になる実母は
暴言ボンボン言う人なんだけど、
「その言葉、傷つくよ。」
と伝えても
「悪く受け取るお前が、悪い」
と言い放つ。
自分肯定ハンパない。
ある意味、それだけ自分に自信がありゃ、楽に生きられるよな。羨ましいくらい。
せやけど
それが良いことか悪いことかはどうやろか。
どうやろか。
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