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『今日も上司に怒られた、、。』 〜媒介型プラットフォーム〜
オレの名前は木暮。
都内の中小コンサル企業勤務の44歳。係長。
高校生まではバスケットボールに熱中し、大学では経済学部を専攻。
卒業後は、塾講師を経験し現在2社目。
結婚はしていない。出来ない、と言った方が適切かと思う。
コンサル企業での仕事は、バスケの練習の比ではない。
精神が削られる日々をどれだけ耐えるかが最重要のタスクにある。
精神的に一番ダメージが大きいのは、上司の存在。
織田部長。どこかの高校の五月蝿いバスケプレーヤと同じ名前だ。
今日も朝から大きな声で呼ばれた
「おーい、木暮ちゃん!おーい!おーい!」
チッ、早朝から何度も呼びかけてくるなよ。こっちもクライアントからのメール処理で手一杯なんだ。
「経済学部出身のエリート、木暮ちゃん!助けて!ホンマに頼みますわ。」
聞こえないフリを続けていると、生臭い息がオレの右耳の近くから漂ってくる。
「木暮ちゃーん、聞いてますか?助けてって言うてるでしょ!?」
ここまでくるとダメだ。
『おはようございます。織田部長。どうされましたか?』
笑顔で振り返る。
「木暮ちゃん、もうちょっと早く反応できひんと偉くなれへんで。万年係長のままでは君も嫌やろ?ん??」
嫌味な態度がこの人の通常だ。耐えるしかない。ディフェンスだ。
『すみません。以後、十分に気をつけます。』
「よし、よし、それでええ。」
「ほんで、今日のお願いなんやが、また客から意味の分からん事言われてるんや。」
「プラットフォームの1つで、色んな人が繋がるやつで、、、それはもう今の時代には絶対必要なもんらしいわ。新しいサービスとして導入しようとしてるんやけど、内容を教えて欲しい。って言うてきはったわ。」
「これ分かるか?木暮ちゃん??」
『部長、それは媒介型プラットフォームの事ですね。ご説明します。』
『媒介型プラットフォームとは、
・2種類以上の異なるユーザーを結びつけるビジネスです
・媒介型プラットフォームを活用する事で、直接取引が可能となります
・2種類以上のユーザーを繋ぐプラットフォームを”ツーサイド・プラットフォーム”
・3種類以上を”マルチサイド・プラットフォーム”と呼びます。
・最近では、GAFAMが媒介型プラットフォームの側面を持ちます
・Googleで言えば、利用者と広告主
・Amazonでは、買い物客と出店者の事です
・大事な事は、全ユーザーから収益を得ようとしない事です
・企業側の出店料や広告料を収益源とし、ユーザーにはプラットフォーム内で自由に購入や検索ができる状態にしておく事が重要になります。
・簡単な資料を作成しましたので、ご説明時にご活用ください。
・このビジネスモデルはユーザーの量が肝です。より良いサービスを連打する事が事業存続の鍵である事をクライアント様にお伝えください。
「木暮ちゃん!これや!これ!!さすがやな。経済学部出身は違うな。感動したわ。」
「早速、お客さんに説明してくるわ。ありがとう。はい、もうええで。」
この手のひら返しをオレは、もう何百回と経験してきたが、それでも慣れない。
腹立たしさは日々募るばかりだが、耐えるしかない。
オレはただの係長だ。会社の部長や役員といったレギュラークラスとは違う。
いつになったらオレもレギュラー陣に入り込めるのか。
教えてくれよ、先生。
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