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今日は女性雑誌の日

登場モノ

マリー:マリービスケットの妖精

その他妖精

日本にビスケットが最初にもたらされたのは戦国時代。1700年。それよりも7年前の1693年2月27日にイギリスでは世界初の女性雑誌が創刊された。雑誌の内容は恋愛、結婚、性の悩みと現代女性が見ても共感できるらしい。さて、今日の主人公たちもまた、時と世界を隔てながらも同じような悩みを抱えているようです。

マリーは純朴な女で夫であるチョイスと暮らし早、40年。29才ほどマリーが年上の年の差婚ではあるけれど波風のない人生を送ってきた。そしてそうした日々は明日も続くだろうと信じていた。ある日のこと出張中のチョイスが交通事故で病院に運ばれたと連絡を受け、取るものも取りあえず、マリーは病院へ向かった。

病院のベッドに横たわるチョイス。マリーはオロオロしてしまったけれど彼は軽症で事なきを得た。が、そこにチョイスの愛人、ライトが現れた。二人は出張と偽ってぬけぬけとドライブ旅行をしていた最中の事故だった。ライトは都会的でしかもチョイスより8才年下。

病院のカフェテラスで女二人が対峙する。チョイスはあんたみたいな年寄りと暮らすのはうんざりって言ってますけど。とライトが軽いノリで足を組み替えて言う。マリーは自分の常識がひっくり返され、真っ暗闇に放り出された気分になった。

まさか、チョイスが浮気をしているとは思わなかったし、浮気相手の泥棒猫がイケシャアシャアトそんな口を利くとも思って見なかった。まるでこちらが悪いみたいな口ぶりをされるいわれはないのに、悪い事をして怒られている感じがした。

チョイスはすぐに退院したけれど何事もなかったように振舞った。マリーは謝罪の言葉一つないチョイスに驚き、あきれ返った。過去の出来事が走馬灯のように巡った。チョイスは飲む打つ買うをしない男で、生活費もきちんと家に入れていたので、それで文句はなかったけれど、マリーが病気の時にも自分の飯のことしか心配しないような男だった。いつもバタ臭い男だった。

顔を見るのも嫌になったがこれまで主婦生活しかしてこなかった自分に何が出来るだろうかと思うと、離婚も躊躇われた。それでも職を探してみようと職業安定所に通っているうちに1件の求人にたどり着いた。

洋服ダンスから防虫剤の匂いがしみ込んだ一張羅を久しぶりに着て緊張して面接を受け採用された。こうしてマリーはチョイスにチョイスさせず、自ら家を飛び出した。

マリーが採用されたのは家政婦紹介所で、彼女はそこからリッツ夫人のお屋敷で仕事をするようになった。リッツ夫人は毎晩のようにきらびやかなパーティーの花形としてふるまっていたけれど、彼女もまた、夫に裏切られ一人さみしい思いをしていた。

マリーは夫人を慰めたいと考え、昔、上手ねと褒められた歌を披露した。
ド~はどケチのド~
レ~は劣等感のレ~
ミ~はミジメのミ~
ファ~はファシストのファ~
ラ~は乱暴のラ~
シ~は死んじまえ~
さぁ、歌いましょ~♬

と、自分と夫人の気持ちを表した。これを聞いた夫人は大変喜んで、パーティーでも歌って欲しいと頼んだ。
緊張して歌ったマリーの素朴で癖のない歌声は多くの人々を魅了した。そうして彼女はどんな歌でもスイートに変身させるねと言われるようになりドルチェのアレンジに欠かせないモノとなった。


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