見出し画像

動物虐待といえる出来事③

朝起きて上司に休みの連絡を入れる。
事情を説明したらOKしてもらえた。
車で1時間ほどの病院へ出向く。
こじんまりした病院ではあるが日本の動物病院界では有名な獣医一族のひとり。
早速シーズーを診てもらうと癌であることは間違いないという。
あとはいろいろ検査入院して今後どうするか考えることになった。
入院費無料で数日間預かってもらうことになった。
なぜ無料?と思ったらこのコは「先生→元トリマーの女の子→鹿児島へ」という流れだったらしい。
凄い縁を感じた。

数日後に迎えに行って診断結果を聞く。
やはり足先の腫瘍は癌で間違いない。
それどころか全身に転移している。
もう高齢だから手術は無理なので痛みを緩和しながら余生を過ごすしかないという。
全身転移には驚いたけどほぼ予想通りの結果。
ただ足先の腫瘍だけは何とかしたいから自然に取れるよう治療していこうと。
自然に?とこの時は疑問に思ったのだがこれが実際に取れそうになって驚いたのは先の話。
腫瘍が他部に接触しないように松茸を粉末にしたものを塗布して包帯を巻くだけ。
自宅でこの治療を続けて月一で経過を診てもらうだけ。

治療のせいもあってか家の中では腫瘍がある足を器用に動かして少しなら走れるようになった。
ちょっとした段差ならクリアすることも出来るようになってた。
他の2頭とも何とか上手く過ごせるようになって母と共に安心して見ていた。
我が家に来て治療を始めて11ヶ月目の検診日。
毎日のように患部の治療をしていたのに気づかなかったのだが先生が患部をみて驚いた。
連れてきた当初は爪や肉球が腫瘍で埋まっていたのに肉球や爪が見えるようにやっていた。
腫瘍が小さくなったというより足先のほうに「外れて」いってる感じた。
もしかして腫瘍が「脱げる」んじゃないかと思うほど。
先生と母と俺はかなり喜んでいた。
腫瘍が取れて歩きやすくなったらいいね!と。
しかしその願いが叶うことはなかった。

我が家に来て12ヶ月目のある朝。
母に起こされてシーズーが亡くなってることを聞かされた。
寝起きでまだボーッとしてたので実感がなかった。
シーズーは自分のベッドで目を閉じて横たわっていた。
昨夜はご飯の後に床に座る俺の横にきて寄り添って俺にお腹を触られて喜んでたのに。
食欲もあって元気になって良かったと母と話してばかりなのに。
母は都内に住む妹たちや先生に、俺は鹿児島の本家へ亡くなったことを報告した。
少し気持ちを落ち着かせてから上司に連絡して午後から行くこと伝えて母と火葬場へ連れて行って火葬した。
我が家にきてから約1年。
日に日に元気になり尻尾を降る回数も増えていって喜んでいたのに残念。
あんなヤツに世話を任せていなければ…、ばあちゃんが死んだあの時に引き取って病院に連れて行っていれば…と後悔ばかり。
周りからは「精一杯やったと思うよ」と言われるけどやはり亡くなってしまった以上はそう思えない。
動物をペットとして飼う以上は不幸にさせず長生きさせるのが義務だと思っているから。
それが出来ないのならペットを飼う資格ないと思う。

シーズーが亡くなってから8ヶ月後。
世話になった先生から連絡がきた。
「知り合いが施設に入る事になって誰も引き取り手がない犬がいるんだけど飼ってもらえないか?」
母にどうする?と聞かれたけど
「もう飼うって返事してるんでしょ?」
と聞いたらその通りだった。
その犬が今もTwitterに載せてるミニチュアピンシャーの桃です。
この子も病気がちだけど精一杯手をかけて長生きしてもらおうと思ってます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?