20歳なんて嫌だ

成人を迎えてしまった。けっこう前に。
周りの友達もほとんどが20歳になっている。彼らはこの時を待ち望んでいたようだ。
なんで?
それはお酒が飲めるから。
まぁ未成年でもがんがんお酒を飲んでいる動画をインスタのストーリーに載せる方々はいるが。
とにかく、合法でお酒を飲めることは喜ばしい!!
ことらしい。
誕生日に、ありがたーいことに多くの人からお祝いのメッセージをいただいた。全部とても嬉しかったが、その中に
  飲みに行こうね!
  お酒飲めるね!
  合法おめー
などと書かれていた。なんだか複雑な気分になった。

同年代の知人はインスタを積極的に更新する人が多いが、最近は載せるものの系統が変わってきた。みんな飲みの動画を載せている。
みんなお酒が好きなようだ。

だが私は未だにお酒を飲んだことがない。
そのことを言うとたいてい「え?なんで?」と聞かれる。そりゃそうだ。


怖いのだ。

大人になるにつれて始めることが私にとってとても怖い。


車の運転が怖い。
免許を持たない理由を表向きは「マリカー下手だからさぁ」とか「私は運転してもらう人になるっ!笑」などとごまかしているが、本当は単純に運転することが怖い。
人を轢いてしまったらどうしよう。事故ったらどうしよう。まず信号や他の車、歩行者のことを同時に注意しないといけないことが怖いし、やってしまったときの責任を考えただけで恐ろしい。

お酒が怖い。
同じように「太りたくないから」などと薄っぺらい言い訳を貼り付けて、何度も飲みのお誘いを断ってきたが、本心はまるで違う。
お酒を飲んで意識を失うことが怖い。気分が悪くなって吐いてしまうのも怖い。他のお客さんの自制がきかなくなった言動も怖いし、それに巻き込まれるのが怖い。ガヤガヤしているのも怖い。夜遅くなって治安が悪くなるのも怖いし、家の人に心配をかけるのも申し訳ない。
さらにコロナ禍で、衛生管理はしっかりしているのか、これは洗っているのか、おいお皿を持ちながらしゃべるな!唾液飛ぶだろ!ともやもや考えてしまい、お酒を飲みたくない。
じゃあ家で飲めばいいのか。私自身家から上の不安もないし飲める!と思った。でも、結局買いに行こうとすると
怖い
と思って手が伸びない。その足でスタバに行ってしまう。

最近自分と同年代の友達とで、感性とか、遊びたいこととか、話題がずれていっているように感じる。
高校生までは好きな俳優やドラマ、音楽の話が楽しかった。たまにまじめに、将来について話し合ったり、日本の外で起こっている悲しい出来事についても自分の意見を言い合ったりしていた。
でも大学生になってずれを感じ、夜遅くに友達と会うことを避けてしまう。絶対に飲みにいくことになるから。
なんでみんなお酒が好きなんだろ。美味しいと感じるのか?わからん。
自分がお酒に対して異常なほどの偏見と恐怖を持っているせいで、まじめ系の知人がお酒の写真を投稿していると、ドン引いてしまう。
ごめん。たぶんお酒飲む方が普通よな。
でも、アルコールで真っ赤になった顔や、酔っ払って気持ち悪いことをする人、路上でつぶれている人を見ると、怖いとしか感じない。
アルコール依存症までいかない普通の人でさえ、お酒を飲みまくっている。
そんな社会が不思議なのか、私がおかしいのか。


あーあ。大人になんてなりたくない。20歳やだ。
ずっと高校生で居たかったなぁ、なんて。