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梨『けりよ』『しんに』ちょい考察~作中のフェイクとは?、複製は本当に安全?の個人的解釈

梨×大森時生 「6」発売記念トークイベント – LOFT PROJECT SCHEDULE (loft-prj.co.jp)

この梨さんのトークイベントに行くので、その前に梨さんの過去作をいくつかチェックしておこうかなと思って、読みました『けりよ』『しんに』。

SCP-511-JP - SCP財団 (wikidot.com)

しんに - SCP財団 (wikidot.com)

合わせて以下の考察も見てみました。

【民俗ホラー】SCP-511-JP『けりよ』Tale『しんに』【ゆっくり解説】【ねこレス】 - YouTube

SCP-511-JP「けりよ」及び「しんに」を考察する - あちら/こちらと尾を相食む蛇|ヤヤネヒロコ (note.com)

考察にはなるほどな~と思うところがたくさんあって興味深かったです。
一方で、私にはまた別の解釈もあるなとも思ったので、まとめてみました。
こんな風に考えてみたら私はより怖くなりましたよ。一緒に怖くなりましょう!というノリで共有します。


【1】作中のフェイクとは?

▼『しんに』の作者が会った人って本当は?

『しんに』では、はじめに「幾つかの嘘やぼかしを交えつつ書いていきます。」と記載されており、フェイクを入れていると明言されています。

そしておわりに「その中でも特に大きな虚構の一部を、これから皆さんに示したいと思います。」とヒントが提示されます。

ではそのフェイクとは、『しんに』の筆者が会ったのは好々爺然とした老人ではなく、片目の見えない、髪を剃った女性ではないか。
大人かもしれないし、子供かもしれない、ひょっとしたら母娘の親子かもしれない……と思いました。

最後の画像のヒントをストレートに考えてみました。
あとはこの辺りをヒントにしました。

  • 未亡人のくだりの前に「この文章には幾つもの嘘やぼかしが混ざっています」と注釈をいれているのが、フェイクを成り立たせるための説明をわざわざ入れているようにも思えました。

  • 別れるときの「なあ、また爺さんの話し相手になってくれや」は、子供と遊んであげて「またきてね」と言われた、とイメージできそうです。

▼母娘の風貌について

皮田家の母娘については、他の方の考察でも様々言及されていましたね。

  • 山神、あるいは死者の魂を誘い込み封じる儀式で、皮田シズはそれらを呼び寄せる罠として使われました。

  • 儀式で鳥居に髪を使うので、剃髪されます。

  • 片目が見えないは、『しんに』の最後の画像がヒントですが、片目になった者は一段と神に親しく仕えることができるという学説もあるようです。
    儀式で片目を見えなくされた可能性はあります。

そして、皮田結名、あるいはゆうちゃんも同じような風貌だったのかもと思いました。

  • 『けりよ』で「お母さんもおんなじだもんね」と言われています。髪は剃られていたと記述されており、それが母娘同じと解釈できます。でも、それだけでしょうか。目の方も…?

  • 『けりよ』の最後に「この居間の内装等が、SCP-511-JPが発見された家のものとは異なっていることに留意してください」とあり、複数回儀式が行われた可能性があります。母娘それぞれ儀式を行ったのかもしれません?

  • 画像がストレートにそうです。


『しんに』の筆者は、この世ならぬどこかに迷い込んで、片目の見えない剃髪の母娘、皮田親子に会っていたのかもしれないですね…。
単なる私の妄想かもしれませんが…。

【2】複製は本当に安全なの?

『けりよ』では、「このノイズは他の映像記録媒体に複製したときには発生しません」と記載があり、複製は安全ですよと示唆されています。
読者にとっては鉄壁の防御です。
なので、途中にある音声データも安心して再生できます。

読者に呪いをかけてくることの多い(偏見か?)梨さんにしては、えらく優しいですね。
でも、本当にそうだったんでしょうか?

▼複製が効力を持つエピソード

何かの「複製」が効力を持つエピソードが、いくつかありますね。

  • 冒頭に挙げたゆっくり解説のYouTubeでは、ビデオテープの形状が鳥居に似ていることを示唆していますね。
    あの儀式では、特別にあつらえた鳥居で山神あるいは死者の魂を誘い込んでいました。そして、ビデオテープ(=鳥居の複製)にも誘い込まれて(?)その断片が焼き付けられています。

  • 『しんに』では「そもそも神道の考え方に、その儀式はそぐわないよ」と言われています。元の神道の儀式からアレンジされた民間信仰のようなもの(=形を変え複製されたもの?)と思われます。

  • 『けりよ』と『しんに』のビデオテープは、発見場所から言って別個体のようです。ですが、『けりよ』と別個体とはいえ、『しんに』のビデオテープに何もないとは思えません。ひょっとしたら複製かも…。

▼禁忌に触れることの影響は単純なものではない

『しんに』では、「「読んだ人に明確な災いが降りかかる」といったものではありませんし、そもそも霊障とはそんな単純なものではありません」と言われており、禁忌に触れることの影響は単純なものではないというニュアンスのことが書かれています。

そして『けりよ』では、複製からはノイズは発生しない(=ノイズを聞くことによる不安障害は発生しない)と言われてますね。
でもこれって、単純な症状は起きないと言っているだけですよね。禁忌に触れることの影響が”名状しがたい何か”であるとしたら、それが起こっていないって、言えますかね?不安障害みたいなわかりやすい副次症状はでなくても、本命の”名状しがたい何か”を食らっている可能性あるのでは…?

「複製は安全」という鉄壁の防御があると思い込んで途中の音声も再生してしまいましたが…。
われわれは大丈夫なんでしょうかね…。

【3】アクロバティック考察:1989と1993

最初に書こうと思っていたのはここまでですが、書いているうちにもう一ネタ思いついたので、ついでに書きます。

  • 『けりよ』の冒頭によると、皮田結名は1993年に8歳で失踪していますが、最初の映像記録のゆうちゃんは1989年に小一(6歳?)で、辻褄が合いません。

  • 『けりよ』の映像記録でゆうちゃんは「もうお姉ちゃんだから」と言っていますが、他の子どもは映りません。ゆうちゃんに兄か姉、あるいは双子がいて、小一の時にその年齢を越えたことがなんとなく読み取れます。

そういえば、皮田結名とゆうちゃんが同一人物とは誰も言っていませんね…。別人の可能性あるのでは?
姉妹で似た響きの名前を付けることもあることはありますし。
そこから考えた考察(妄想ストーリー)です。

  • 皮田結名(姉)は5歳くらいで亡くなる。

  • 1991年頃(ゆうちゃん(妹)8歳)で儀式を実行。皮田結名の魂を呼び寄せる。

  • よみがえった皮田結名と暮らす。

  • 1993年、皮田結名8歳(5歳でよみがえって2年とちょっと)で失踪。

時系列はなんとなく合いそうですが、ほとんど妄想ですね…。


おまけ

『けりよ』『しんに』を読んだとき、怖くなったので筋肉少女帯のイタコLOVEを聴いて相殺したのですが、この歌詞、上記のアクロバティック考察とちょっと似てますね…。
まあいいや。
怖くなったら聴こう!筋肉少女帯で、イタコ・LOVE!


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