胸もといあばらぼねに関する覚書

日付感覚が曖昧なまま毎日を過ごしているので、正式な区切りがないままとりあえず覚えていることだけを書き連ねる。

一番最初は何かどうして、起きる際のことだった。胸の辺りの筋がギッとなったような心地で跳ね起きた。悪夢を見ていた訳でもなく、ただ只管突然の感覚、そして覚えのない感覚で、その日のうちにかかりつけ医に行った。肺のレントゲンを撮ってもらうが特に異常はなし。穴も空いていなければ肋骨も綺麗である。軽い方の痛み止めと様子見という言葉をもらってその日は帰る。この日は別に眠ることは怖くはなかった。というか、今まで怖かったことはあるけれど、それは眠ったら朝が来てしまう、という概念の方であってこういう恐怖と向き合うのは実のところ初めてである。まあ、どちらにせよこの日はそういうことはなかった。

問題は翌日である。同じようにして目が覚めた。病院では心臓を掴まれたような? だとか、チクチク痛む? だとか聞かれたような記憶があるのだけれど、どうにもそういうカテゴリには入れられない痛みだった。分からない。聞かれる症状に心当たりはない。此処から眠るのが怖くなる。もともと睡眠導入剤で睡眠をどうにかしているので、眠る前に薬を飲むのが当たり前になっていたのにそのルーティンが崩れ始める。

そんな調子の上、食事も真面に摂れなくなっていたからか、階段から落ちる。とは言っても数段である。落ちた、というか、滑った、の方が正しいのかもしれないが、その瞬間の記憶がさっぱり抜け落ちているので分からない。あと少しで階段を降りきる、という視界がブレて、気付いたら階段下の廊下に両膝をついていた。どういう動線で自分が動いたのかまったく記憶にない。ただ掌と膝がやたらと痛いこと、左側の筋が突っぱねたように痛むことからどうにかして受け身らしきものを取ったのだろう、と推測した。頭は打っていないと思うし、特に異常は感じられないが、一応注意しておきたいとは思う。打っていないと思うが。

胸の痛みが悪化の一途を辿る。あまりにひどくなるので病院に行こうとするも、かかりつけ医は休みの日で、呼吸器内科やら循環器内科やらもどうしても時間内に入ることが出来なかった。あとまあ、胸の辺りが痛む、ということで田舎の病院の設備ではコロナだった場合のことを考えて受け入れは余裕がないと出来ないのかもしれない。仕方ないので救急へと運ばれる。これが一回目。心電図をとってもらうが特に異常なし。心因性ではないかと言われる。正直自分でもそう思った。

心療内科の方のかかりつけ医(クリニック)へと行く。が、クリニックの先生は内科外科のことには当然詳しくないため、早急に心因性と判断は出来かねると言われる。胸周辺のことであるので、痛みが増すのならば病院へもう一度行って欲しいと言われる。言われていることは分かるが、この辺りでもう病院を回る体力も精魂も尽きる。

真夜中にどうしようもない痛みに襲われ、倒れ、救急に連れていかれる。こういう時一人で暮らしていたら救急車を呼べただろうか、と思う。多分呼べなかったと思う。言葉を発せなかったので。左足が上手く動かなかったが、麻痺でもしているのか揺れるから自分でセーブしたのかよく分からない。今は普通に左足も上がる。当然前回の先生とは違う先生なので、状況の説明から。途中で歩くことが出来なくなったため車椅子での移動になる。多分十五年ぶりくらいに乗った。意識が朦朧としている中、此処へ来ても変わらないんだよなあ、と思ってしまう。この日にやっと患部を押すと痛がることに先生が気付く。内臓に何か起こっているのではなく、あばらぼねやその周辺の筋が傷付いている可能性をやっと示唆される。階段から落ちたことも言ってあったし、落ちて打ったとしたら確かに左側ではある。でもそうだったとして、一番はじめの痛みの原因は分からないままだよなあ、と思う。

かかりつけ医二度目。心電図をもう一度とってもらって、救急でとったものと見比べる。特に変わりはなし。痛み止めは強いものに変更になった。胃薬がついてくる。最初のレントゲンを見直して、一応あばらぼねが折れていたり罅などが入っていたりはしないと確認する。

いつもお世話になっている接骨院へと行く。整形外科に行くにしても相談したかったのもある。押すと痛みがあることを伝えて、診察をしてもらう。結果、レントゲンで折れている箇所や罅などが見当たらなかったとすると、軟骨を痛めたのではないか、と言われる。この辺りも記憶が朦朧としていたので多分こう言われた、程度で聞いておいて欲しい。レントゲンに映らない部分の損傷になる訳で、証明は出来ないしやれることも殆どないのだけれど、押して痛みがあるのであれば何かは起こっているのだろう、ということであばらぼねを覆うようなサポーターをもらう。外からぎゅっとしてしまって、中で動かないようにしよう、ということである。形としてはさらしが多分近い。しかしサポーターを巻ける箇所より上にも痛みは出ているため、そちらは現段階ではどうしようもない、と言われる。殆どそこまで行くと鎖骨の辺りだが、やっとこの日、少し楽になった。やっと少し、眠れた。

そういう感じで少しだけ楽にはなったものの、食べると痛いし笑うと痛い(これはこの間やっと気付いた)のは変わらず、面倒な日々を送っています。本当にあばらぼねに問題があるのか、そうだとしたら初日の痛みは完全に別件ということになりどうしようもなくなるのだが、サポーターをするようになって本当に少しだけだが、落ち着きはしたので良かった。何より身体を起こしているのがきつくない。身体を起こしているのがあまりにもきついので、殆ど斜めの状態で作業をしていたし、原稿は携帯でやっていた。目が乾くのがいつもより異様に早くなるから勘弁して欲しかった。しかし仮にも此処での名前に肋骨と使っているものがあばらぼねを痛める、なんて出来すぎた話で笑ってしまうな。笑い事ではないと言われてしまうのだろうけれど、あまりにもこの身体には不具合が多すぎてあちらこちら毎日のように痛みを訴えているので、正直なところその度合いが強くなっただけ、と言えてしまうところはある。痛くて身体を起こしていられないというのはあまり、ないけれど。

まだ胸は痛いし、完全に解決した訳ではないけれど、途中経過として残しておきます。

おわり。

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