らいらいらくらい

 大切だから箱に詰めてそのままずっと出さずにいることをしたいだなんてよく、言われるけれどそれを言われた僕は一体どうしたら良いのだろう、といつも思う。別に、どうやって大切にするか、なんて人の勝手だ、だから口出しするのもどうかとは思う、思っている。でもだからと言って、僕にそれを言ったところで何になるのか、期待したような君の視線が煩わしい。僕がそうやって言われて、喜ぶとでも思っているのか、思っていそうだな、ああ、本当に煩わしい。自分がまるで一番の理解者でいるかのような視線のことが世界でいちばん嫌いだ、多分。どうせ芯のとおった人間ではないのでまたあれやそれがいちばん嫌いだとか言って、どれがいちばんなのか分からなくなってしまうだろうけれど。
 もし、君の、一番の在り処がそうであっても別に、僕が何を言うこともしない、しないけれど言われてしまえば僕は何かを言うことを、選ばなくてはならなくて、それは、もう、君を否定することしか出来なくて、だって、僕はもう、知っている。君のようなことを言う人間が、僕に何をしてくるのか。僕がよいしょと広げた翅に信じられないような目を向けて、それからむんずとそれを掴んで千切ってしまうことを。君は違うのかもしれないけれど、何度目だかの正直かもしれないけれど、君だけを信じるだけの力ももう僕にはないのだから、仕方ないよね、と言わせて欲しい、というのもどうせ我が侭なのだろう。
 もう、ぼろぼろにはなりたくないな。
 誰かに愛されたことで、傷付けられるなんていうことを繰り返したくはないな。そんな傲慢なことを言うためにはやっぱり、手始めに君を否定して、傷付けてしまわなければいけないから、なあ、世界って理不尽に出来ていると、そう思うだろう。

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