切手なし

夢を見た、夢の中で貴方は僕に手紙を送って、それはひどく丁寧な、ラブレターで。僕はその青いインクを見た時に、死んでしまいたくなったんだ。君に好かれることが嫌な訳ではない、嬉しいことだと、分かっている、でも怖いんだ、どうして、どうして? 意味の分からないモニュメントを突然其処に生やされてしまったように、僕は身動きが取れなくなる。痛い、寒い、死んでしまいたい。貴方に好かれるようなものが、此処にあるとは思えない。何もないのに、何もないのに、どうして貴方はそんなことを言うの。まるで、まるでこれじゃあ物語だ。硝子の靴なんて履いていないのに、豆だって数えられないのに、早く、はやく、逃げ出したい。

僕の、ことが。
好きですか?

恐ろしい、質問だよ。
僕は僕のことが嫌いだから、貴方のそれが理解は出来ない。どうして、どうして、一体何を思って、僕を見ているの。貴方の目に映る僕は、少しでも奇麗に見えるものなの。分からない。これが、夢、であれば良かった。夢であれば、全部、色を失って、起きた時にあーあ、なんて言って。それで終わってしまうことが出来たのに。
明るいデスクランプ、現実。痛々しいほどに、僕は僕が嫌い。

貴方が好きです、とても好きです。
その感情が大切すぎて、貴方に言えない愚鈍です。

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