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【書評】烏に単衣は似合わない 阿部智里

電車の広告で 玉依姫(たまよりひめ)というタイトルがふと目にはいる。
万葉集に近い専攻だった自分としては、「何が書かれているか」は普通に気になってしまう。阿部智里 という作家名も知らなかった。
どんだけ小説から離れていたんだ。私。

ドア横の広告はライトノベルが多いけれども、この本もそういう感じなのだろうか。
小説であることはわかるけれども・・
何時代を設定とした、日本神話なのかどうかもわからず。
そして記憶は忘却するものです。

ある日書店に行ったときに文庫の山の中にそのタイトルを見つけて、「あっ」と手にとったものの、帯には第5作目とかいてありました。「あらまぁ」と思いながら、この、デビュー作、シジーズ第1作 松本清張賞受賞作を読むわけです。
(まあ今思えば買っても良かったようですが)

他の書評と違い、構成を書いてしまうとネタバレになるので、書けないのがつらい(そりゃそうだ)

 ・ライトノベルだと思って読み始めることができる没入感がある
 ・ライトノベルだと思うと裏切られる
 ・よく考えろ松本清張賞だぞ!

という所でしょうか。
ライトノベルと判断するのか、どうかは非常にギリギリのラインでファンタジーミステリーだと思いました。
ああ、やはり。ここに分類されていましたね。
https://honcierge.jp/articles/shelf_story/1593
(多少のネタバレが入っているので、気になる方は見ないでおきましょう)

以下は個人的な感想です。

設定と語彙にややもすると「おっと、そこまで…」と思う所もありますが、物語の世界観は細部まで作りこまれています。
源氏物語を思い起こさせるような設定と風景描写、人物描写から、豪華絢爛の異世界の世界観の中でファンタジー的な話が進んでいきます。

最初は、本当にファンタジーだと思って読み始めていました。
中間越えたあたりから人間ドラマになり、最後はバブル絶頂の頃の東海テレビ制作の昼ドラみたいになっていくわけです。

昔「ジェットコースターロマンス」という帯が付いた読みやすく疾走感のある小説があった気がします。そんな感じですね。
集中すればかなりのスピードで読めてしまう。
そして、「ああああああああああああああ」なるほど!と。
最後に思うわけです。
私はこの最後の名探偵みなを集めてさてと云い的展開はあまり好きではないのですが。仕方ありません。
たぶん、シリーズ2弾を買ってしまうのでしょう。きっと…

でこの作品ファンノベ大賞ではなくて、なんで松本清張賞へのエントリーだったんだろう。
新潮社より文藝春秋社の方が好みだったとかいうのであれば、まあそれはそれで良いけど。




今回の個人的BGM Gークレフ夏の嵐のテーマ(リンク先はニコ動です)


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