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【無線】アマチュアコードについて考える

アマチュア無線に親しむようになって、アマチュアコードについて今一度考えてみたいと思います。

アマチュアコードというのは、日本国内だとJARL(日本アマチュア無線連盟)制定のアマチュアコードが日本語での表記でしょう。
(注)コードというのは英語でCode 規約や規定のような感じでしょう。

(引用元)

(引用)
アマチュアコード  
 アマチュアは、良き社会人であること
 アマチュアは、健全であること
 アマチュアは、親切であること
 アマチュアは、進歩的であること
 アマチュアは、国際的であること

(注)アマチュアというのは、アマチュア無線をする人のことを指しているのだと思います。

相関関係はよくわかりませんが、おそらく元の出典はARRL(アメリカのアマチュア無線連盟)のアマチュアコード The Radio Amateur's Code から来ているものだと思います。これのオリジナルは1928年です。

(引用元)

(引用)
The Radio Amateur's Code
The Radio Amateur is

CONSIDERATE...He/[She] never knowingly operates in such a way as to lessen the pleasure of others.

LOYAL...He/[She] offers loyalty, encouragement and support to other amateurs, local clubs, the IARU Radio Society in his/[her] country, through which Amateur Radio in his/[her] country is represented nationally and internationally.

PROGRESSIVE...He/[She] keeps his/[her] station up to date. It is well-built and efficient. His/[Her] operating practice is above reproach.

FRIENDLY...He/[She] operates slowly and patiently when requested; offers friendly advice and counsel to beginners; kind assistance, cooperation and consideration for the interests of others. These are the marks of the amateur spirit.

BALANCED...Radio is a hobby, never interfering with duties owed to family, job, school or community.

PATRIOTIC...His/[Her] station and skills are always ready for service to country and community.

- adapted from the original Amateur's Code, written by Paul M. Segal, W9EEA, in 1928


これについて意訳されている方がいらっしゃいますので、そちらのリンクを載せておきます。一読されることをお勧めします。

ここから先は、私個人の考えを含めたお話となります。
話半分ぐらいで聞いていただければと思います。

JARL版は抽象的な標語のような感じにまとめられているのに比べて、ARRL版は具体的な行動指針のようなものが補足でついているようです。
これは、文化的背景があるのでは?という気がしています。

人の考え方は千差万別です。
同調圧力が強く、画一的な全体主義的社会だと思っている日本だと、なんとなくの標語の方が収まりがよいのかもしれません。
が、実際の共通理解・運用のことを考えると、今の世の中だと少し不都合があるかもしれないと思います。

ARRL版の原典、先のリンク先にある意訳を眺めて、いろいろと思うことがあったりします。

順番に少し見ていきましょう。

1つめ CONSIDERATE (拙訳:相手を思いやること)
他の人の楽しみを奪うようなことはしないように、という感じでしょうか。
Twitterのアマチュア無線アカウントの間でよく聞く、
「OM(古くから無線をやっている先輩)が、若手に要らないアドバイスというか説教をしている」という話があります。
無線の楽しみ方は人それぞれです。あなたの楽しみ方はあなたのものであって、他の人への押しつけは要りません。
アマチュアコードのこの1つめが身についていない方が、散見されるのはとても悲しいことです。

2つめ LOYAL (拙訳:誠実であること)
他のアマチュア無線家、地元のアマチュア無線クラブ、自身の国の連盟、国際的な連盟へ、誠実であること(忠誠というより誠実という語感の方があっているような気がするので、こう言わせてください)
支持すること、協力すること、のような感じでしょうか。
アマチュア無線家同士の関係性について当てはめると、お互いを尊重するという意味合いもここに含まれると思います。
無線家の前に本来は人として個人と個人は対等なのですが、このあたりの理解がおいついていない人が1つめの押しつけをしがちな気がしています。

3つめ PROGRESSIVE (拙訳:進歩を心がける)
時とともに新しい無線技術が開発されたり実運用に入ったりすることなどが背景にありそうですが、STATION(無線設備)を最新の状態にすること、よりよい運用ができるように、といった感じでしょうか。

4つめ FRIENDLY (拙訳:他者へ親切であること)
リクエストがあれば、ゆっくり辛抱強く交信すること、みたいなことが書かれています。CW(モールス符号)のことを指すのでしょうか。
これについては別途GB Program (Giving Back Program)あたりとつながりそうです。
初心者には親切なアドバイスを提供しましょう、みたいなこともあるようです。他の人のInterests(興味)については考慮しましょうというのも入っています。
当たり前ですが、ご自身の押しつけはここでは不要です。あくまでも「親切な」ものであることが大前提でしょう。

5つめ BALANCED (拙訳:無線にのめりこみすぎないようにすること)
放っておくと、寝食忘れて趣味に没頭するのは洋の東西を問わないと思います。それに対しての注意喚起だと思います。
アマチュア無線はあくまでも趣味。趣味は趣味として、他のことをおろそかにしないように、と釘をさされているのだと思います。
これは私自身も気をつけたいところです。

6つめ PATRIOTIC (拙訳:まわりのコミュニティへ貢献すること)
Patrioticの語感が、日本語直訳だとうまく伝わりにくい感じがするので、説明文に書かれているとおりの理解の方がよいと思います。
アマチュア無線家の無線設備と自身のスキルは、常にまわりのコミュニティや自分の国へ貢献できるようにしておくべきでしょう。
意訳の意訳となりますが、アマチュア無線は周囲の理解や協力があってはじめて、趣味として公共の電波を利用させて貰えているのだと思います。
無線設備やそのスキルは、何らかの形でまわりのコミュニティや国へ貢献することで、アマチュア無線というもの自体を維持できるのではないでしょうか。

これも実はとても重要で、このあたりの意識があるかないか。
単なる既得権益で物事を判断していないか?というのが、このところたまに話題にのぼる
「社会貢献活動でのアマチュア無線の活用」ではないかと思っています。
これはこれでまた重たい話なので、別の機会に考えてみたいところです。


あくまでも現時点で、個人の一感想みたいなものでしかありません。
そのあたりはご了承願います。

それでも、原典を辿って、一度考えてみませんか?
アマチュアコードについて


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