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華金、池袋チャイナタウンと新疆料理店探訪記

お盆だというのに帰省もできない私を、友人Kが「池袋の新疆料理を食べに行こう」と誘ってくれた。

せっかくだから早めに合流して付近を散歩しようということで、17時半に池袋北口に集合することにした。

北関東出身の私にとって池袋は東京の中で最もアクセスがよい街だ。池袋と上野が東京の全てだと思っていたほどに、池袋と上野にばかり行っていた。しかしそんな私でさえ池袋の北口は初訪問だ。どんなところなのだろうか。

池袋北口デビュー

華金の17時半、池袋駅北口にてKと落ち合う。うだるような暑さの中をとりあえずぶらぶら歩く。見知ったチェーン店が並ぶ通りでも、「客引き禁止」と注意する看板が中国語オンリーで書かれていたり、中国のローカルな料理を提供する飲食店も多数見受けられる。ほんとうにチャイナタウンだ。

ポップな看板にはアヒルの鎖骨肉やアヒルの頭、タンなど珍しい料理が踊る。

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駅前のこじんまりした中華食品店をのぞいたあと、Kが「もっとデカい中華食品店が絶対にあるはず」と調べはじめた。

そこでヒットしたのが「友誼食品」。
しかしおかしい。さきほどちょうど店の前を通ったはずなのに、入り口らしきものが分からなかった。
店が入っているはずの雑居ビルの裏側へまわると、たしかにビルの3階だか4階だかに「友誼食品」というパネルがデカデカと掲げてある。

謎の雑居ビルの中へ

雑居ビルの裏側から2階に着くと(※正面玄関がきちんとあるのでそちらから入ってください!!!)、本屋と旅行会社があった。本屋に入ってみると、中国の書籍がずらり。売れ筋コーナーに、星の王子さまや東野圭吾作品の中国版が並ぶ。その辺りは日本と変わらないのだなと思いつつ、やはり全体的に政治色が強い。

「撮影禁止」と書かれたコーナーには若かりし頃の習近平が表紙の本などが陳列されていた。Kは「習近平はほんまにすごいで。これまではこういう本の表紙は毛沢東やったけど、習近平はそれを全部変えよった。」と教えてくれた。
習近平は多感な時期を農村で農作業をして過ごしたそうで、そこも国民から支持を得ているとのこと。

CDコーナー、薬局コーナーもある。中国からの留学生と思しき学生たちが主な客のようだった。

本屋を出て3階へ上がると、カラオケ屋の店内に出た。私の知るカラオケと少し様子が違う。店内のポスターに掲示されているフードメニューは、ハニトーでも山盛りフライドポテトでもなく、山盛りのフライドザリガニだった。

食品店へ行くにはどうしたら良いのかとうろうろしていると、中国人ウエイトレスさんが「どこ行きたいの?」と親切に声をかけてくれた。カラオケ店を出たところにエレベーターがあると教えてもらう。お礼を言って4階へ向かう。

友誼食品に到着

やっとたどり着いた店はかなり広く、中国人で賑わっている。

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これは全部火鍋の素。値段以外はすべて中国語だ。火鍋用の鍋も980円で売られていた。破格だ。

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圧巻の冷凍餃子たち。やっぱり本場は水餃子メインなのねえ。そして具材も日本とはやっぱり違う。セロリ入り水餃子、ピーマン入り水餃子、卵とニラ入り水餃子、パクチー入り水餃子etc。

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さまざまな動物のさまざまな部位、トウモロコシまんじゅう、油條なども冷凍品が売っていた。

調味料も見たことのないものばかりだ。Kが「腐乳」は炒め物なんかにちょっと足すと美味しいこと、手前の商品ラベルにうつっているおばちゃんは一代で中国最大のラー油メーカーを築いたチャイニーズドリームの代表者であることをおしえてくれた。

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野菜コーナーにはドリアンや珍しい香味野菜の他に、ホクトのきのこやJAやまなしのシャインマスカットなども売られていた。

これはお菓子のパッケージ。ピサの斜塔やエッフェル塔、モアイ像にオペラハウスなどの観光地の中に富士山と桜が入っているのは意外だった。

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いくつか食品を買ったあと、店内のフードコートに立ち寄る。台湾屋台の店もあり、臭豆腐の匂いが立ち込めている。

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Kは中国語で話しかけていた。愛嬌のある店員さんに「発音カナリいいよ」と褒められていた。店員さん一押しの手作りココナツプリンをテイクアウトして、スーパーを出る。

エレベーターで1階へ降りたところ、正しい入り口が分かった。冒頭で雑居ビルと呼んでしまったが、異国の地で暮らす中国の方々にとってはライフラインにも等しい場所なのだろう。

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お邪魔しました。

新疆料理に舌鼓

その後、友人2人と合流して計4人で新疆料理店「味道」へ。店員さんもお客さんも、日本人は我々だけだった。Kの友人の中国人の方が「ここはウマイ」と教えてくれた店だ。

食べログはクチコミ4件。あ〜こういうお店、だいっっすき。

店の入り口には新疆料理を説明書きがあった。イスラム教文化圏のため、豚肉はNG。マトンや麺類、乳製品が主な食材だそうだ。

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青島ビールを頼むと、店員さんが「青島ビールはかなりぬるいよ」と瓶を持ってきて教えてくれた。瓶を触るとかなりぬるい。注文をアサヒビール中瓶1本と青島ビール2本に変更する。

もともと中国ではビールを冷やさずに飲むらしいが(「冷えは健康の大敵」という考えから)、最近は冷やして出す店も増えているそうだ。

メニューについては、Kとさきほど合流したTくんに任せることにした。Tくんも一年ほど中国に滞在していたからだ。彼ら2人が「ほんまにアホみたいな量で出てくるからな…3品いけるか…?2品にしとこか?」と悩んでいるのが面白かった。大のオトナが4人もいて、3品も食べきれない量とは一体。期待に胸が膨らむ。

最終的に注文したのは、新疆料理の定番である「大盤鶏」「手抓飯」「ラグ麺」の3品。

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「大盤鶏」はこの店一番の人気メニューらしく、どのテーブルでも注文されていた。鶏肉、ジャガイモ、ピーマンをスパイシーに煮込んだものだ。半分くらいまで食べた段階で、極太のきしめんが追加される。タレを和えて食べるのだ。

「手抓飯」はマトンチャーハン。この店のマトンは細かく刻んであったが、Kが現地で食べたものは塊がドーンと上に乗っていたらしい。食べたことのない油で炒められていて、調べたけれど結局なんなのか分からずじまいだった。

「ラグ麺」は細長い麺に、たっぷりの油で炒めた肉と野菜をかけてたものだ。麺が長いので、ハサミで切って食べる。日本人の口にかなり合う料理だ。

新疆料理は初めて食べたが、どれもとても美味しい。四川料理のようにダイレクトな辛さはないが、気づいたら口の周りがヒリヒリしていた。

Kが途中で「王老吉」というソフトドリンクを4人分注文してくれた。ジムビームハイボールのジョッキに氷と共に並々注がれて供されたそれは、午後ティーのストレートをもっともっと甘くしたようなお茶だ。ひりついた口がいくぶんか落ち着いた。
中国では誰もが知る、古くから親しまれている飲み物だそう。日本のカルピス的な存在なのかもしれない。

新疆料理に舌鼓を打ちながら、話題は中国のラブドールに。中国ではひとりっ子政策の影響で、男女比が逆転している。男性が多すぎるのだ。そんな事情もあってか、AIを搭載したラブドールが爆発的に売れているらしく、ついにそのメーカーは上場したそう。ラブドールメーカーが上場するって、すごいな。

しかしラブドールの顔部分はどうしても日本の方が精巧らしく、顔部分だけ日本のものを輸入してきて体部分をくっつけているところもあるそう。

(なんの話だ?)

無事に3品を平らげたものの、たしかにこれ以上は食べられない。胃のキャパシティには余裕があるのだけれど、油とマトンで満足感がすごいのだ。

今日だけでも、「なぜ池袋がチャイナタウンになったのか」「なぜ中国の餃子は水餃子&白菜が主流なのに日本の餃子は焼餃子&キャベツが主流なのか」など、次々と疑問が出てきた。

発見と学びに満ちた華金であった。

長くなってしまったので、購入した食材についてはまた別にまとめることにする。

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