ジェネリック医薬品について

背の高いイケメンの音楽プロデューサーのお友達から質問が来ました。

「ジェネリック医薬品について、どう思いますか?」

ジェネリック医薬品のデメリットについて書かれた報告は少なかったのですが、ニューヨークタイムズの書籍を探し当てたところ、超詳細で信頼できるものでした。

結論から言うと、びっくりするほど問題があります。

医薬品は、開発した企業が特許を取り、各国の規制当局が、その効果の証明、製造工程などが適正かどうか細かく審査して、販売許可を出しています。

20年間は特許によってその会社が独占して製造、販売できることになります。

特許が切れると、他の企業でも製造販売できるようになりますが、元々開発した企業が特許が切れたからといって他の企業に教えるわけはないので、リバースエンジニアリング(品を分析して、作り方を解明していく)で、独自で製造するわけです。

そもそも新しい医薬品を開発するの自体がものすごくお金がかかり、すでにあるものを真似て作るのは費用が抑えられるために、価格が安くできると言うわけです。

医薬品が安くなると、国の予算の中の医療費が減ることになりますので、ここで普及していったのですね。

あとは、発展途上国に医薬品を安く提供できるという慈善的な意味が元々のきっかけでした。

以下、問題がありすぎるので、僕がまとめた限りでは、、

・世界一規制の厳しいアメリカ食品医薬品局の査察をも潜り抜け、製造工程、効果の評価などの改ざんが横行している。

・経済効果があるため(医療費を削減できるため)、各国政府が奨励しており、査察がザルになっており、違反が見つかっても政治的な圧力があり事実上野放しになっているケースもある。

・医薬品の製造工程には問題がなくても、医薬品の原料を製造する工場で不正が行われていることがある。(特に中国、インド)

・製造工程が発展途上国を含めた海外の工場で多く行われており、薬が実際に販売される先進国の査察が外交的に行き届かない。

・発展途上国の工場は杜撰で、ひどい場合は、薬のパッケージ内に虫が混入している場合もある。

・実際、ジェネリックにしてから症状が再発した、薬が効かなかったと言う事例も多く経験されている(証明できるのは稀であるため、報告よりも実際は多い)

・日本ではジェネリック企業の業務停止命令が2021年になんと8社も出されている!品質の試験や設備の補修に不備があるなどの理由である。これにより、医薬品の品薄が問題になっている。

要するに、価格を抑えるためには、先発品(ジェネリックでないもの)よりも、安い材料、低い安全レベルの設備、ともすれば少ない有効成分にするなどと、手抜きをすればするほど、利益率が上がる仕組みになっています。また、製造工程や品質管理などは書類上のデータで行われるので、改ざんやでっち上げが容易です。悪いことに、データの不正は、広範囲にやられるとますます証明が難しくなります。
おそらく、日本でも、不正は日常的に行われていると思います。でないと、この異常な状況は、説明できないです。

結論として、
お金がないなら別ですが、特段ジェネリックにするメリットはありません。ちなみに価格もそんなに変わらないか、高くなる場合もあります。
製造工程において不正があるかどうかはこちら側には知る術がないので、ジェネリックのデメリットは消えません。
僕も今回調べてみて、ジェネリックやめます。「医薬品は規制が強いから大丈夫」と思い込んでいました。素晴らしい質問ありがとうございました。

ただ、一つ例外があって、
先発品を作っている会社や子会社が、特許が切れたあと、先発品と全く同じ方法、成分で作っている場合があり、AG、Authorized Generic(オーソライズド・ジェネリック)の略と呼ばれていることがあります。
薬局で「ジェネリックはAG」というと処方してもらえるとのことです。

僕の感想としては、一般的に、結局売り上げが上限のあるようなビジネスって、隠れて品質を落とすしかなくなるので、利益と品質(安全)の綱渡りにならざるを得ないんですよね。目先の金を取りに行くために、モラルハザードが横行して、頭がだんだんイカれてくるんだと思います。

ということは、薬に限らず他の業種でも、「安いんでこっちの方がいいです」という誘い文句は基本的に疑ってかかった方がいいってことだと思いました。