軽いショルダーバックで歩行不能の事例
簡単な力がかかって、体全体のバランスが崩れてしまうケースがあります。
左右差が強くなってしまうんです。
ショルダーバックで腰痛悪化の事例から、体の筋肉の歪みについて解説してみます。
僕の母は、旅行していて、ショルダーバックを片方にかけた途端に膝や腰が重くなって歩けなくなったという体験をしました。バッグを預けたら大丈夫になったとのことです。
ショルダーバックは軽いですが、肩の端にかける上に、
肩だけではずり落ちてきてしまうので、たとえば左にかけると、
左の方に肩が上がります。もっというと左にずれます。
さらに、写真にある通り、体の中心から遠いため、てこの原理で、少しの力でも、背骨にかかるズレへの負担が大きくなります。(逆に背骨に近いところであれば負担は少なくなります。)
この二つの理由で、軽くても体を左右に強くずらす方向に作用してくるんですね。
以下はもうちょっと専門的な説明なので、飛ばしてもらっても良いです。
なんで腰が重くなるかというと、
歩く時、足を残してきますよね。その後自然と地面と足の面が離れる。
この時、股関節が伸展(太ももが後ろに伸びること)する必要がありますが、
これが不十分だと、骨盤が前に傾いて、代償しようとします。イメージつきますかね。
で、骨盤が前に傾くと、腰椎が前に沿った形になるのです。
こうなると、腰椎の脇から出てくる神経の通り道が狭くなり、歩けば歩くほど痛くなってきたりします。
これもよくある間欠性跛行(長い距離歩けなくなること)の原因の一つと考えられたりします。
さらに、ここが大事なのですが、
ちょっといつもより足を後ろに残して歩くとわかりますが、骨盤に対して、残した足が内側に回転することになります。(正確には、足が地面に固定されているので、足を軸に骨盤が回転する)
残していく足に対して、内股みたいにひねる感じですね。
このひねりみたいなのがうまくできないと、歩行がおかしくなってきます。扁平足になってきたりします(ここは割愛します)
ではななんでこんなことが起こるかというと、
この内側への回転がスムーズに行えるようにならなくなるわけですが、
その場合外側への回転に力を発揮する筋肉(主に梨状筋と言います)が逆に張ってしまって、内側への回転への制限がかかってしまいます。
ではなぜ、主に梨状筋が張ってしまうのかというと、骨盤の骨の左右差が原因となります。梨状筋は仙椎という骨盤の骨と大腿骨を橋渡ししています。左右一対あります。
仙椎が左右にずれて向いてしまうんですね。(多くは左向き)
この仙椎は骨盤骨の真ん中の骨です。骨盤骨全体がズレるから仙椎もズレるわけです。仙椎の向きに左右差が生まれるから、左右についている梨状筋の片方(主に右)が張っちゃいます。
骨盤のズレとか言いますが、骨盤は大体右方にずれています。
そもそもほとんどの人は、胸部が左にずれています。心臓が左にあるからです。
また、右側に肝臓があるので、横隔膜が上に押し上げられます。
こうなると、横隔膜に左右差が生じます。
右側の方が上になります。
横隔膜の左右差が出てくると、
で、横隔膜と骨盤をつなぐ左右1対の筋肉、腰方形筋という筋肉の左右差につながり、(主に右が張る)
骨盤の向きの左右差になるわけですね。
さらに、
右の横隔膜が高いと、腰筋と言われるインナーマッスルが引き伸ばされます。この腰筋は、大腿骨につながって、股関節を前に上げる力を発揮しますが、逆に言うと、股関節を後ろ伸ばす(伸展)作用を妨げます。
したがって、最初に言った、歩いている時の股関節の動きの制限による骨盤および腰椎の傾きにつながってくるのです。
長々と言ってきましたが、
何が言いたいかというと、
心臓と肝臓の臓器の左右差が、体幹の左右差につながっているってことなんですよね。
大体の人は、上半身を右に回転した時と、左に回転した時で、回転の角度が違うと思います。
これも左右差からきています。
この理屈は、胸部から下肢につながる骨、筋肉の作用を辿っていくとわかります。
しかも、今回の事例からは、体幹の左右差は、小さな力でずれてしまうということなんです。
左右差はそれほど僕たちの運動(特に歩行)に影響してくるということです。