いなくなった人々へ
ずいぶん前に、snsで私の前から姿を消した方がいて、その人がある小説のコンテストをきっかけに少しだけ戻ってきたことがあった。
その人は私に対してメッセージを送ってきたりしなかったけど、新しく作ったアカウントのプロフィールに「まだあなたがいてよかった」みたいな文章が書かれていた。
このあなたって私のことだと思った。だから何かアクションを起こさなきゃと思った。何というか私のターンだって感じがした。あなたはどうする?と聞かれてるような気がした。
でも結局、私はその人が書いた小説にリアクションを押しただけで、何も言えなかった。
そういう後悔が私にはいくつかある(後悔することってあんまりないんだけど)。何かしなきゃいけないのだけど、どうすればいいかわからない。
意気地無しだなってほんとに思う。でも他人に向かって、何でもいいから言葉をかけるみたいなことが心底苦手。
手を差し出されている気がした。でもその手を私に取ってほしいのか判断ができなかった。
あのときは確実に私に向かって手は伸びていたと思う。でも不特定多数に向かって手を伸ばされたときも私は動けなくなってしまう。
誰かが手を取るだろう。私に手を取られたくないかもしれない。そんな考えが頭に浮かぶ。
その人が応募して消えていったコンテストの、1次選考だけ私は通っていたのを思い出した。その人の名前があったかどうか覚えてないから、マウントみたいになってるかもしれない。
もしその人が結果を見ていたら、私はずっとここにいたよ、という証明になったかもしれない。それが何を意味するのかわからないけど。
その人はもう戻ってこないだろうと思う。消えたとき、色々と思っていたことを吐き出して消えていた。誰かの悪口とかじゃないけど、不満のようなもの。
その人が消えるとき、残していった言葉に対して私は何も感じなかったし、だから何も言葉をかけることができなかった。
これからいなくなる人になんて言葉をかけたらいいのだろう。ときどきそんなことを考える。
マシュマロ
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