脚本 「かごめ」 第十二場

■第十二場
 美羽、良玄、トキオ、玲奈、洋一郎、紅葉、裕次、玲奈の叔父が、「かごめかごめ」で遊んでいる。真ん中の鬼は玲奈。他は玲奈を囲んで踊り、歌う。
全員「かごめ、かごめ。かごの中の鳥は、いついつ出会う。夜明けの晩に、鶴と亀がすべった。後ろの正面、だあれ?」
玲奈「おじさん?」
玲奈の叔父「あたり!(叔父がその位置にいない場合は『違うぞ!』)」
  紅葉が舞台中央前に出る。裕次と玲奈の叔父は上手奥、下手奥に移動。他は玲奈の後方に並ぶ
紅葉「この不思議な遊びと童謡の歌詞。何故一人の鬼を囲んで出られないようにするのか、鬼は誰を指しているのか。歌詞はどういう意味なのか、諸説あるうちの一説を、歌詞にいたします。‥囲め、囲め! ‥獄につながれているその人は、いったいいつになったら出られるのか! 一日中。天と地を統べる、後ろに立つ人は誰だ? 」
  玲奈の叔父と、裕次が、明るく大きな声
玲奈の叔父「玲奈! もう夜になるぞ! 家に帰るんだよ。」
裕次「美羽! 晩御飯できたから、早く帰っておいで。」
  美羽と玲奈の二人は、声に反応し、皆に小さくバイバイして、その輪から離れ、悲しそうにうつむきながらとぼとぼと、それぞれの父と叔父の待つ家に歩いていく。
  悲しそうな姿に何かを感じた良玄は、美羽のもとに駆け出す。美羽は振り返るが、両人とも何も言えない。またとぼとぼと歩いていく美羽。
  美羽と玲奈は、帰宅し、玄関扉の鍵をしめる(玲奈は叔父に、美羽は裕次に、背を向ける体勢になる)。
  それぞれの父と叔父は、冷たい表情で、両人の腕を乱暴に取り、引きずるようにして退場。
美羽 「もういやだ! 」
玲奈 「もういやだ! 」
美羽 「助けて! 」
玲奈 「助けて! 」

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