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タクシーが天職でした【23卒就活体験記~乗務員編~】

ご乗車ありがとうございます。
日本交通(株)新卒採用担当です。

2023年4月、新卒でタクシー会社に入社した彼・彼女たちは今、順次研修期間を終えて現場でデビューしています。

今回は、そんな新入社員にインタビュー。就活時代の振り返りや日本交通へ意思決定した理由、ぶっちゃけ入社後にギャップはあった?などなど、赤裸々な本音をお伺いしました。

Sさん(2023年入社)

東京都立大学 都市環境学部
板橋営業所配属

就活時代の軸

学生時代に塾講師として働いていたのもあり、人と密接にかかわる仕事がしたいと思っていました。その塾は個別指導で、ある意味自分の顧客を持つタイプの塾。指導する生徒さんの親御さんとも面談する機会がありました。大変なことも多かったのですが「先生のおかげで成績が伸びました」と言われるなど、大変な中でもやりがいや喜びが多く返ってくる仕事でした。

タクシーも、まさにそういう仕事です。ご乗車する時間が1時間でも数分でも、顧客という観点では同じだと思います。自分がプロドライバーとして顧客をもち、お客様から「運転良かったよ」という言葉をもらう想像をしたときに、バイトでやってきたことと繋がっていると思いました。

見ていた業界

もともと関心があった鉄道やバスなどの運輸サービス、貨物・運送などの陸運で探していました。
日本交通を見つけたのはナビサイトで検索しているときでした。日本交通を含めたタクシー大手の4社は、名前だけは知っていました。

日本交通の選考の印象

当時の選考はオーディション選考(※)といって、他の会社にはない選考形式でした。過去にはプレゼン用のパワポを作っている先輩もいれば、ダンスを披露した先輩もいると伺っていたので、自由な選考だなという印象。筆記試験もあるのかと思っていましたが、いきなり選考だったのも驚きでした。

選考では、自分が「水が大好き」という話をしました。今まで行った渓谷や渓流など、感動したところをプレゼンで伝えました。趣味まんまの内容でしたね(笑)。就活に関係ないことを話したので、いい意味で気楽に臨めました。

面接官からは、自然や旅行好きな人はいても、水が好きという人はこれまであまりいなかったらしく、面白い視点だと驚かれました。

最終選考は本社に来社しての対面面接が初めてだったのもあり緊張しましたが、自分の中で手ごたえはありました。

日本交通の選考ではありのままで話した方が素を出せるんじゃないかと思ったので、答え方を一言一句ガチガチに決めていたわけではありませんでした。素の自分で話したときに、面接官が「いいね」と直接おっしゃってくれたので、そこがよかったんじゃないかと思います。

(※)23卒当時行っていた選考。24卒以降の選考方式とは異なります。

日本交通の決め手

日本交通とバス会社の内定がありました。
決め手は1つではありませんでした。
たとえば、働き方の大変さ。シフトがタクシーよりも不規則なリズムだったので、バスは自分には難しいと思いました。

日本交通でいいなと思ったのは人事や営業所の方の「人」の部分です。当然会社的には人事にいい人を置くと思いますが、実際に営業所の人にもお会いしたときに、人事だけじゃなく人事以外のところにもいい人がいるんだと思えたんです。

「この人合わないな」と思ったことがなかったですね。結果的に選んでよかったと思うくらい、この会社の人の良さは体感しています。今のところ正解だったと思っています。

入社前後のギャップ

ぶっちゃけてもいいですか?(笑)
まず、いい点は意外と何とかなるということです。私自身、都心の地理は全然知らなかったですし、運転は好きだったものの、そもそも道でお客様を見つけられるのか、接客がうまくできるかといった不安がありました。でも仕事をしているうちに、そういった不安は払拭されました。

先輩からは「新人のうちは『道のご案内をお願いできますか』と丁寧に聞くんだよ」と指導され、実際にやってみるとお客様は道を教えてくださったので、言われたことを守っていれば仕事をこなせるなと思いました。

乗務員デビューまでの研修は短かった(※)と思いますが、スタンダード10(=日本交通の接客マニュアル)など、するべきことを明確に教えてもらえたので、それ通りにやればお客様を無事に送り届けられるようになります。

個人的な話では、給料面で最初の2か月目は自分が想定していた額と比べてギャップがあったことですね。同乗期間中の給与や保証給がもらえる規定(=新卒の場合12乗務で25万円)など、給与計算が難しいこともあり、最初の頃は理解に苦しんだ点がありました。

ただ、それを質問しに行ったときに営業所の方がしっかり対応してくれました。給与体系について1時間くらい時間をとって詳しく話してくれましたね。聞けば真摯に答えてもらえるので、自分の給料に関してわからないことがあればそのままにせず、詳しく踏み込んで聞いた方がいいと思いました。

(※)入社後、座学の研修と先輩乗務員と一緒に営業する同乗研修が5乗務分(10日間)あります。人によって前後しますが、研修期間はおおむね約1か月間です。

これまでの乗務で印象に残ったこと

同業他社の重役の方をお乗せしたことですね。遠方のお客様で、ご乗車中ずっとお話をしていただきました。

日本交通からしたら、いわばライバル企業の方。最初は内心「お叱りを受けてしまったらどうしよう」と思っていましたが、お送りした後「エコーカード(※)ある?」と言われ、お渡ししたら「すごく丁寧な運転だったよ。慣れると乱暴になっちゃうから、今のまま続けてね」とおっしゃってくれたんです。

まだ高速も乗り慣れていない時期だったので緊張していましたが、新人の時期にそういうお客様にお会いできたからこそ、いい気持ちで仕事を開始できたと思います。嬉しくて励みになりました。

(※)エコーカードとは、車両番号や会社名が書かれたハガキで、タクシー会社に直接お客様がご意見を届けることができる。

逆にトラブル面で言うと、まだ新人だった頃、お酒をお召しのお客様をお乗せしたときのことでした。

お送り先のマンションの車寄せで停車して「こちらでよろしいでしょうか」と確認したところ、違うとのことだったので「他にも車寄せがあるのかな」と思い車を出したのですが、ご案内の結果また同じところに着いてしまい……。

正直に事情を話したものの、お客様を怒らせてしまいました。その瞬間だけは、今すぐ営業所に帰りたいと思いましたね。2~30分ほどやり取りをした結果、最終的には「自分が悪かった」「ごめんね兄ちゃん大変だったよね」と一言残して帰っていきました。

帰庫した後、職員さんに事情を話して車載カメラの確認をしてもらった際に「こちらとしてはしっかり対応しているし、あなたは悪くないよ」と言ってくれ、怪我は無いかと心配もしてくれました。頭ごなしに叱るのではなく、気さくに対応してくれたので心強かったです。

その時職員さんにはこんなことを言われました。

「人間というのは、たとえ自分が悪くなくても、マイナスな出来事は印象に残ってしまう生き物なんだ。『いい運転だったよ』と言ってくださるお客様がたくさんいる中で、その一人に意識を向けるのはもったいない。自分に非がない時は『お客様にも大変なことがあったのかな』という気持ちで乗務してもいいんじゃないか」

それからはそういう視点が身に付き、自分のタクシーに乗って喜んでくださる方のために頑張ろうと思えるようになりました。乗務開始して1週間目くらいのことです。それ以来、どんなお客様に対しても一歩引いた大人の対応ができるようになりました。マイナスの出来事をプラスに変えることができたので、結果的に見れば最初のころにあのお客様に出会っていてよかったと思います。

仕事の性質上、お酒を飲んだお客様の対応とは必ず隣り合わせです。乗務員がその場で対応するしかありません。自分に不備があれば反省しつつ、非が何もなければ記憶から消してなかったことにした方がいいということを学びました。

乗務のやりがい/大変なこと

やりがいは人と密接に関われるところです。お客様と話すことはもちろんですが、最近自分がより頑張りたいと思っているのは外国人のお客様相手の接客です。

最近外国人のお客様をお乗せする機会が多くなったのですが、場所の確認や車内の温度を英語で聞いたときに「いいタクシーだね」と言ってもらえるのが、すごく面白くて嬉しいです。簡単な英語ならネットで調べて会話の幅を広げようと頑張っています。

空港へ行かれるお客様と道中お話したことがあります。シンガポールへ行くとおっしゃるので「観光ですか?」と聞いたり「君は行ったことがある?」「僕も行きたいんですよね」と話したりと、こちらは拙い英語ながら話が盛り上がり、ご降車するときに「頑張れよ」と握手してもらえました。

こういうサービスができて僕自身も満足感が得られました。これからも、日本人の方はもちろん、外国人のお客様とのコミュニケーションも頑張りたいです。

大変なことは2つあります。

1つ目は乗務の内容ですね。2か月目は逆に疲れなくて、乗務中の休憩も1・2時間ですんでいましたが、最近無線(=アプリ配車やお電話注文のご依頼)を取り始めてからは忙しくなったので、少し疲れやすくなりました。

いつもならやり通していたところを、最近はすぐ休憩を取ることが多いですね。また慣れていくと思うのですが、今はそれに直面しています。

もうひとつはお客様対応です。最初に道を確認していても「なんでこんな道を通ったのか」や「なんでこの値段なんだ」ということもあります。もちろん随時ご案内しなかったこちらが悪い場合もありますが、イヤホンをしている方だったりすると、どう対応すればよかったんだろうと難しく思うことがよくあります。

以前あったのは一方通行を逆に行ってくれとおっしゃる方。どのナビで確認しても一方通行なのでお断りしました。酔っていた方で、結果的には「ここでいいよ」と降りていかれたのですが、そういう事態に直面した時にどう対応するのが正解かは、まだまだ3か月目なので非常に難しいですね。その点に関しては職員さんの方がいろんな方の対応をしていて経験豊富なので、気づきをもらっています。

親御さんの反対について

めちゃくちゃ反対されましたね。「頼むから入らないでくれ」くらいの勢いでした。タクシーという仕事をバカにしているんじゃなく、単純に事故と隣り合わせの仕事だからです。自分の命も相手の命もお預かりする仕事。息子としては親の気持ちは分かります。

でもこの会社に限らず、どの交通系の会社で運転手になってもそれは同じ。なら、そこの覚悟は自分はできていたので、あとはそれ以外の面でこの会社で本当にいいのか見極めました。

親を説得する際には、運転業務面以外の会社の良さや、乗務員の道だけではなくスキルアップや内勤も目指せるという話を伝えました。最後は理論ではなく、情熱です。

最終的には説得して入社したものの、今も心配はされています。仕事に行くときはまるで僕が戦地に行くかのように、毎回玄関に見送りに出てきて「無事に帰ってきてね」と言われます。

「成田まで行ったよ」と景気のいい話をしても「すごいね」と言われつつも「営収が低くてもいいから、ちゃんと休んで帰ってくるんだよ」と言われます。ありがたいとは思っています(笑)。

後輩へのメッセージ

就活で最後の決断をするのは自分です。僕だけではないと思いますが、親に反対された人は同期にもたくさんいました。新卒でタクシーというと、ご年配の方の仕事というイメージがあると思うのですが、まったくそんなことはありません。それは入社する前から思っていたし、入ってからも思います。

親の話をきいて納得する場合もあるかもしれませんが、自分が納得しきれなければ、どの会社を選んでも後悔します。自分の意思と相談して、最後に決めるのは自分。もちろん助言は聞いた方がいいですが「こういう理由でここを選びたいんだ」とちゃんと親を説得、納得してもらうことが大切です。

僕も人に影響されやすいタイプなので、親にこれだけ言われて大丈夫かなと思った経験はいくらでもあります。でも決めたのは自分。この会社がよくてもよくなくても、自分の責任です。社会人になる前の責任を伴う決断の練習として、今から自分で選ぶ練習をしてほしいです。
後悔のない選択をしてください。

Interview,Text:@To Be


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