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日本がなぜデジタル後進国なのか

これまでいくつかの記事を書いて、あらためて「デジタル後進国」というテーマで書きました。

整理しようと思ったのに超長文になってしまった…それくらい複雑な問題だということで…

日本はデジタル後進国なのか?

そもそもホントに日本の行政は海外と比べて遅れているのか。
残念ながら遅れています。いわゆるG7とG9とかいわれる先進国に日本は入ってるんですが、政治や行政のIT化・デジタル化という面ではかなり遅れています。(二回言った)

台湾やエストニア、北欧諸国のIT先進国のスマートな仕組みはよく報道されるようになりました。キャッシュレスが話題になった2019年頃からかな。

でも「日本以外全部の国がデジタル化に成功してるわけじゃないでしょ」という声も聞きます。日本好きのうちの夫もよく言ってます。

うん、たしかにそう。欧米と一口に言っても、ドイツなんかはデジタル化が進んでないと言われてるし、アメリカだって州や都市によってぜんぜん違うらしいです。

そしてデジタル先進国の筆頭とも言うべき中国。
中国に負けてることを決して認めたくない人たちは一定数いますが、それを差し引いても「中国でもデジタル化が進んでるのはごく一部」という主張は間違っていません。でっかい国ですからね。

でも「他の国だって遅れてる(ところはある)」の主張はあってたとしても「日本だってデジタル先進国だ!」とはいえないでしょう。

マイナンバーカードのイマイチ具合。
接触検知アプリの不具合や予防接種予約システムのグダグダ具合。
オンライン授業の普及の進まなさ具合。
霞が関はいまだ紙だFAXだで仕事回してるし、リモートワークも進んでないし…など上げればきりがないほどです。

世界の国々をマッピングしたとしたら、日本は確実に遅れている側に入るでしょう。

なぜなのか

2020年以降いろんな記事で、理由について語られてきました。
どれも理解できるし、正解だと思います。

・政治家のITリテラシーが低い
・国のIT投資が少なく、旗振れる人間がいない
・変化したがらないお役所気質
・国民のITリテラシーが低い
・既存インフラの硬直化・老朽化
・国内大手ベンダーの開発体制(SIer問題)

国が悪いのか
国が悪い・政治が悪いというよく聞かれる声は、間違ってはいないでしょう。実際台湾のIT相のスマートさ見てると、羨ましくて羨ましくて仕方ないです。
IT投資で予算をとったところで有効に回せる人がいないのも実情でしょう。謎の圧力で謎の組織にお金が流れて謎の全然使われないシステムが作られて消えてしまう。よく見るねそんなニュース。
もしオードリータンさんが日本のIT相になっても、潰されて実績あげられないんじゃないかなぁ、こわいなぁと思ってしまいます。

役所気質?
また、役所気質とよく批判されますがほんとに役所の人は変化が嫌いです。
でも、これは役所だけじゃなくて日本の企業っていうか日本人全般そうじゃない?と思います。
日本人は失敗をゆるさない気質があるとよく言われます。Too Strict。
成功したときの好評より失敗したときの悪評が大きい。
一度失敗すると元のレールに戻れない。
出る杭が打たれる、前例がないことを恐れる…自分の中にも確実にあります。
メディアでも事件が起きると鬼の首取ったように責め立てますが、いいことしてもそんなに目立たない。(いやどの国もあるでしょ、と思うし悪いことばかりではないと思うんだけどね!失敗しても気にしないのも度が過ぎるとダメだし)

この気質を作り出してるのは教育かメディアか組織構造か。おそらく全部が影響していて、払拭し難いところですね。

ITリテラシー?
ITリテラシーの低さのせいにするのは私は好きじゃありません。
確かに日本は高齢者が多いのでリテラシーが低い傾向はあるかもしれません。また、ICT教育が遅れているのも事実でしょう。今頃PCを一人一台!と鼻膨らませて言われてもなぁ。とか思っちゃいます。

でも、行政システムがダメなのは市民のリテラシーのせいではないと思っています。
だってリテラシーが低い人でも問題なく使えるようにするのが良いシステムだから。
だれにでもわかりやすくミスせずに使えるシステムがあるべき姿で、それができてないのに「お前らのリテラシーが低いんじゃい」というのは欺瞞です。マイナンバーとかな!ホンマにもう!

基幹システム系に多いんですが、「ブーブーいいながらも使わざるを得ないから使ってくれる」システムだと使い勝手をよくしようという意識が低いです。(偏見入っているので異論は認めます)

そこに風穴をあけるのがUXにつよいベンチャー企業であり、既存のがんじからめな仕組みをドーーーンと横断してくれる〇〇Tech企業なんでしょう。
もうね。そこに期待するしかないと思ってます。

SIer問題
日本の行政・自治体システムは発注受注の仕組みに根深い問題があります。長くなるしググればすぐわかるので書きませんが、自治体だけでなく、金融機関や民間企業でもSIerに丸投げ構造すぎて身動き取れなくなってます。ATMが急に止まっても謝ることしかできないし、根本的な解決ができない。

結果として古くなったITインフラをつぎはぎで保たせている。でも技術も言語も古くなってきてもはやメンテナンスも限界です。

正直ここも、ベンチャーや力のあるIT企業になんとかしてもらいたいとおもいつつ、今のところはどうしようもなさすぎて愚痴しか出てきません。

理想だけ語ると

憂鬱な気分になったまま終わりたくないので、最後に理想を語ります。

例えば。自治体にはITリテラシーが高い人員が配置され、IT企画として旗を振ります。発注や仕様検討にも関わり、予算取りなど政治的な話で潰されないように周りもサポートします。(根回しとか。得意な人がやる!)

ベンダーも技術のわかる営業がいます。下請けに丸投げなどせず、エンジニアも一緒に事業を検討しより良いシステムを作るために協力します。もちろんエンジニアには正当な対価が支払われるので優秀なエンジニアが集まります。(学校教育でもICT教育が進み、優秀なエンジニアを輩出できるようになったので人材も潤沢です)

納品されたシステムは、市民によって評価され、ダイレクトに自治体やベンダーにフィードバックされます。それを生かしてシステムはすぐに改修できる仕組みになっていて、「自分の声が届いた!」と市民の利用満足度も高まります。

不具合が起きたときも責任追及に労力をかけるより、再発防止に力を注ぎます。自治体の職員も変化することを恐れず、チャレンジしたほうが評価されるので、どんどん改善が進みます。
自治体職員の中には自分でシステムを構築することに目覚め、ローコディングツールなどで業務改善を進める職員も出てきます。
それも評価に直結する仕組みが作られているので、職員のモチベーションも高まります。

メディアでも、チャレンジングな自治体や企業を取り上げ、先へ進むこと・変化することを前向きに報道します。
普段日の目を見ることのないバックエンドやインフラエンジニアは、仕事の流儀的なドキュメンタリーにしてもらいましょう。素敵なBGMとともに。

最後に政治。創設されたデジタル庁は部門横断的にあらゆる省庁のデジタル化を推し進めます。業務の中には発注プロセスの透明化も含まれ、議事録も含めすべてオープンになっています。官僚はアナログ業務によって生じていた無駄な残業が減り、IT嫌いの政治家もデジタル庁に怒られながらなんとかついていこうとします。孫にスマホ習うおじいちゃんさながらです。

ふぅ。

いいですね。取りこぼしているところはないかな。
こんな未来があったらすごくいいなと思って書きました。特に太字!

こうなったらいいな、とともに、こうなるまでには一度既存のシステムをぶっこわして再構築しなきゃいけないだろうなと言う絶望感も感じます。

私個人がいつも心に留めているのは「我が子によりよい未来を残す」ことなんです。

仕事を通しても通さなくても、いつも理想を忘れずによりよい未来のためになることをしていたい。

難しいことですが、せっかく自治体DXに絡むお仕事をさせてもらっているので、忘れずにいたいです。


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