男子にオープンスペースでの更衣を強要する学校は今なお ~繊細な男子に救いを!~

男子児童・男子生徒に廊下等のオープンスペースでの更衣を強要する学校は、令和の時代となってもあちらこちらにあると思われます。 
以下は、下野新聞の2023年4月17日付の記事です。 

「私の高校では体操着に着替える際、男子は廊下で着替えることになっている。多くの人が通るので恥ずかしい。おかしいと思いませんか?」。今春、高校を卒業した男性(19)は在学中だった昨年、下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班」にこんな声を寄せた。一昔前だったら、こんな疑問はなかったかもしれない。だが、時代の流れとともに、考え方や価値観などは変容している。学校の見解を聞くことにした。
この男性は、高校1年の最初の体育の授業で教師から「女子は教室、男子は廊下で着替えて」と言われて衝撃を受けたという。「通行する人に自分の体形や裸を見られて、どう思われるか気になった。先生たちは廊下で男子が着替えることに違和感を持っていないと感じた」と明かした。
当該の高校に見解を聞いた。当時の教頭によると、同校には更衣室がない。体育の授業は各学年2クラス合同で行っており、2つの教室を男子と女子に分けて着替えを行うというルールがあった。
だが、女子の生徒数が男子より多くなった数年前から、そのルールが崩れた。女子が各教室で着替え、男子がロッカーのある廊下で着替えることが常態化したという。
ほかの高校の対応も気になり、さらに調べてみた。
体育や実習で着替える機会も多い宇都宮工業高。新校舎になった2011年、女子専用の更衣室を一つ設けた。在校生千人のうち、女子生徒は100人未満のため、1カ所で事足りるという。
栃木農業高では4学科それぞれに、女子用の更衣室がある。もともと更衣室は不足していたが、学科数減に伴い空き教室を活用できるようになった。
計6校に聞いた結果、各教室に分かれて着替えるか、空き教室を活用する学校が大半だった。中には「面倒くさがって更衣室に移動せず、男子がいても平気で着替える女子もいる」と明かす学校も。ただし、廊下で着替えていると回答した学校はなかった。
これらの取材結果を踏まえ、当該の高校に今後の対応を聞いた。当時の教頭は「こうした問題提起は今までなかった」とする一方、「そうした生徒の気持ちを配慮し、更衣の際のルールを見直した。体育の際は教室を分けて着替えてもらうよう、改めて指導していく」とした。
情報を寄せてくれた男性に、学校側の「方針変更」を伝えた。「よかったです」と安堵(あんど)した様子を見せたが、「でもやっぱりもう少し前に変わってほしかったな」とぽつりとつぶやいた。

廊下での着替え、おかしいのでは? 
「体形や裸見られ恥ずかしい」男子生徒の声受け、高校は「方針転換」
下野新聞【あなた発 とちぎ特命取材班】 4/17 17:00

男性の性的羞恥心が軽視または無視されてしまう件は、繊細な男性にとって重大な差別問題です。ここでは学校における問題を取り上げていますが、成人男性においても同じ問題が起こっています。

〇 ステレオタイプ:「男性はあまり恥ずかしがらない」 
〇 偏見: 男性は人前でパンツ姿や裸にさせても別に平気。 
〇 差別: 男性に対しては適切な更衣室等を提供せず、オープンスペースで更衣させる。

このような差別的取扱を是正していくためには、問題意識がより多くの人たちに共有される必要があります。そして、以下のような人たちの意識改革が必要不可欠です。 

1)自分が恥ずかしくないからといって、「男にそんな配慮要らんでしょ」と決めつける男性。性的羞恥心が麻痺している男性。(とても多い) 
2)「男性(男子)は人前で下着姿や裸になっても平気でしょ」と偏見を押し付ける女性。

1)の男性たちの存在が大きな問題であることは間違いないのですが、2)の女性たちも看過できません。特に、学校では女性教師が指導する場面も多くあり、その教師が2)に該当すると問題が生じてきます。

人前で平然と裸になれる男性が少なからずいるのは確かです。その手の男性が、時に女性たちに不快感を抱かせることもありますし、男性に対する偏見を増長しています。ただ、当然ながらそれが男性の全てではありません。180度異なる感受性を持つ、《人前で(特に女性の面前で)裸になるのが苦痛な男性》も存在しているのは確かなことで、私もその1人です。
この、《人前で(特に女性の面前で)裸になるのが苦痛な男性》は、本来は少なくないはずだと考えます。しかし、「男が恥ずかしがるな!」という社会的な抑圧のために、嫌な思いをしていてもそれを表出できずにいる男性がたくさんいると予想します。これは、前提として必要な認識です。 
(女性用更衣室などの "女性スペース" は絶対に必要なものですが、同様にして男性用更衣室などの "男性スペース" も絶対に必要であると私は主張したいです)

ようやく、少しずつ声を上げることができる時代になってきたため、Twitter でも以下のようにいろいろと流れてきます。繊細な男子がいかに踏みにじられているか。それが不可視化されているか。こんなのは、氷山の一角です。

体育の着替えが "女子は教室で男子は廊下" というのはひどい話なのですが、水泳の着替えが "女子は教室で男子はプールサイド" というのもひどいですね。パンツも脱いで着替える必要があるというのに。(大きなタオルを巻くとは思いますが………)

ところで、このような男子が性的プライバシーを侵される事案について、私は 小学校での発生件数が最も多い だろうと予想しています。
中学・高校では、2クラスが一緒に体育の授業を受けるように設定され、教室が片方ずつ男子と女子の更衣場所となるケースが多いはずです。(それでも冒頭の新聞記事やTweet の商業高校の事例のような現象が起こることはありますが……)
いっぽう、小学校では、1クラスのみで体育の授業が行われ、男子児童と女子児童が1つの教室で着替えをしているケースも多いと思われます。私が小学生のときもそうでした。この状況下で女子児童の性的プライバシーを守ろうとして、男子児童を教室から追い出して廊下で着替えさせるという対応が取られることが少なからずあるようなのです。ただ、これは男子児童の性的プライバシーを侵しているため、許容されてはいけない方策のはずです。女子児童の性的プライバシーを守ることは必要ですが、男子児童の性的プライバシーもまた守られるべきです。たとえば、2クラス同時に体育の授業が行われるように時間割を組むか、空き教室を活用するなど、何らかの別の方策を考えなければならないと考えます。

何度でも言いますが、《人前で(特に女性の面前で)裸になるのが苦痛な男性》は確かに存在しています。声を上げられない人もいるはずで、潜在的には想像以上に多いはずです。そして、このような繊細な男性は、幼少の頃からその感受性を踏みにじられて生きています。男性の性的プライバシーも、女性と同じようにして尊重されるべきです。

小・中学生の場合、子どもたち自身が学校や教員に対して声を上げることは難しいと思います。男子を育てておられる親御さんたちは、もし息子さんが繊細男子で、学校で嫌な思いをしていたら、どうか寄り添ってあげてください。可能であれば、アクションを起こしてあげてください。それだけでも、その男の子は救われることでしょう。

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