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地銀、内部監査の高度化急ぐ 体制整備の進捗に差


地方銀行は、内部監査を高度化するため、体制整備を急ぐ。経営陣が積極的に関与して監査体制を見直す動きがある一方で、不正や不祥事の防止など従来型の監査から脱却できないケースもあるようだ。ある内部監査の専門家は「銀行の規模ではなく、経営陣が持つ意識の差」と分析する。ただ、監査に対する行内の認識や人材育成など、短期的には解決できない課題も横たわる。

金融庁は2019年6月、「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」の文書を公表した。このなかで求めたのは、損失やリスクが顕在化した後に実施する「事後チェック型監査」から、未然予防に重点を置いた「フォワードルッキング型監査」への転換だ。次に、内部規定の順守状況を検証する「準拠性監査」から、内部統制の有効性や良質な金融サービスが提供されているかに着目した「経営監査」への方針変更などがある。

四段階からなる内部監査の水準も示した。23年10月には中間報告を公表。メガバンクなど大手行では「積極的に取り組んでおり、第三段階の水準にある」とした。一方、地銀などは「依然として準拠性監査を重視する第一段階が多い」と記した。

監査部は従来、「ベテラン行員の出向待機ポスト」との位置付けが強かった。そのため、経験や勘に依存した「指摘型監査」(金融庁)が中心だった。近年は、監査結果をもとに経営陣へ助言ができる人材が求められている。例えば、預かり資産営業の現場で共通の課題があれば、改善策を経営陣へ提言する。

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