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aloha421423
雪
鬱陶しいアラームを止め、重い瞼を上げると、何かが降っているのが見えた。
「雪だ!」
勢いよく起き上がると、それは雪ではなく、埃であると認識した。
掃除が嫌いな俺は気が向いた時にしか掃除しない。
そのため、床には足跡がつくほどの埃が溜まっている。
まるで、俺の心のようだ。
そんな汚れた俺でも、汚れた場所に住む俺でも、好きなものがある。
雪だ。
正確には、雪、という名前の女性。
少し前まで、一緒に暮らしていた、俺の彼女。
来月に迎える、彼女の誕生日に、プロポーズしようと計画していた。
けれど、彼女は、雪は俺の前から姿を消した。
***
あれは六月の頭だった。
蒸し暑く、じっとりと汗が流れる、そんな日だった。
「掃除機ってさ、誰が掃除するの?」
雪は純真無垢な声で訊いてきた。
「俺が後でやっとくよ。そんな汚れてたんだ」
皿を洗いながら、背中で答えた。
「…じゃあ、私の心は誰が掃除してくれるの?」
俺は水音のせいにし、聞こえなかったことにした。
わからなかったからだ。
その答えが。
いや、違う。
その答えに、知っていたその答えに、責任を持てなかったからだ。
そして、その言葉を最期に、雪は姿を消した。
雪は俺の想像を遥かに超えるほど、心が汚れていたのかと、思い返しては改めて思う。
あの問いに答えていたら、心の汚れに気づけていたら、雪を失わずに済んだのかもしれない。
頭の中を後悔が駆け巡る時が、気の向いた時なのだと、俺はそう思っている。
部屋の汚れが、誰かの心を汚さないように。
俺は気の向くままに、部屋の掃除をする。
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