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<直居が選んだ>投資とビジネスとLIFEに効く10冊+1冊(2019)

ということでタイトルがちょっと長いですが、2019年の10冊。この手の企画の慣例に従って、2018年12月から2019年11月に出版されたものの中からまずは10位から4位まで。ただしこの中では順番はありません。ざっくりカテゴリーごとに分けていきます。

まずはマクロ経済関連。
『人口減少社会のデザイン』(広井良典著、東洋経済新報社)
『父が娘に語る美しく深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ヤニス・バルファキス著、ダイヤモンド社)

『人口減少社会…』はまさに将来のデザイン。社会保障にとどまらず社会のあり方を考える論点と提言が響きます。『父が娘に語る…』の著者は2015年ギリシャ経済危機の時の財務大臣。「誰もが経済についてしっかりと意見を言えることがいい社会の必須条件、真の民主主義の前提条件」という言葉が素晴らしい。両著書とも世界経済、社会が大きな曲がり角に差し掛かっていることを示唆しているようにも思えます。

それから平成史。
『平成はなぜ失敗したのか 「失われた30年」の分析』(野口悠紀雄著、幻冬舎)
『平成金融史』(西野智彦著、中央公論社)

やはり、こういう本は多かったですね。結構読んだというか、僕自身振り返る機会が多かったように思います。昭和63年に新聞社に入社、社会人スタートしました。1年目の冬に平成に変わったわけです。平成の30年間とは、自分にとっては記者、社会人としての30年間でもあります。
野口さんは、平成を3つの時代に分け、また折々個人的な思いを織り交ぜながらつづります。年表に書き込めたり、サポートページがあったり、野口さんらしい工夫も様々です。
西野さんは時事通信やTBSの報道記者。日銀、官邸、大蔵省、自民党などを担当。経済と政治の交差するところに持ち味があるのでしょうか。とても勉強になります。

続いては外交。
『日韓の断層』(峯岸博著、日本経済新聞社)

峯岸さんは日本経済新聞社の編集委員、論説委員。長年の韓国取材経験の中でも現状は「最悪というより深刻」といいます。互いのことをよく知ろう、という強いメッセージが込められています。


そしてビジネスとか働き方みたいなジャンル。
『苦しかったときの話をしようか』(森岡毅著、ダイヤモンド社)
『人生は攻略できる』(橘玲著、ポプラ社)

森岡さんはマーケティングのプロフェッショナル。数学を使いこなすのが持ち味。USJの立て直しに力を発揮して今は自分の会社を経営しています。我が子に語り掛けた内容をそのまま本にしたということです。
橘さんの著書では多分『上級国民、下級国民』の方が話題になったと思います。僕はこちらのほうが強い印象を受けました。若い世代を念頭に、おカネと、仕事と、そもそも幸せについてのメッセージ。自分は、若くないんですがものすごく心にしみました。

そしてようやくトップ3。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング他著、日経BP社)
『日本社会のしくみ』(小熊英二著、講談社)
『資本主義と闘った男』(佐々木実著、講談社)

この3冊は自分が強い印象を受けたという意味では別格でした。『ファクトフルネス』は読んだ方も多いと思いますが、思い込みでなく事実をとらえることの大事さを説きます。僕はなんだか前向きにかつ冷静に現状をとらえるという意味で、投資家マインドと重ね合わせて読みました。
『日本社会のしくみ』はもっと話題になっていいのにと思います。雇用、教育、福祉などについての日本の根深いしくみ。多くは明治維新の時代にやむなく、必要に迫られて導入したものが続いていることを解き明かしていきます。特に雇用や労働にかかわるポイントで新しい価値観を入れられるかどうかは、日本の先を占ううえで極めて重要だと感じます。
『資本主義と闘った男』は、2014年に亡くなった経済学者・宇沢弘文さんの評伝です。ノーベル経済学賞に最も近かった日本人と言われてましたね。天才的な数学者の道から最先端のアメリカ経済学へ転身。後半生ではさらに一転して、自動車の社会的コスト、環境、成田空港問題などにも取り組みました。一貫して社会的弱者に優しい目線があります。アメリカ経済学の最前線の様子が伝わってきますが、経済学、社会科学というものは、その時々の政治状況に大きく左右される学問であることを改めて痛感します。

全体として(いつもそういうことは感じるのかもしれませんが)、経済や社会構造の大きな変わり目にあることを感じます。とりわけ資本主義や市場経済などの仕組みそのものがうまく機能できていないポイントについて、いろいろな方が取り上げているように思いました。

と、ここまでで10冊。特別枠で1冊。
『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(ナイツ・塙宣之著、集英社)
なぜか全く分かりませんが、今年、生まれて初めて漫才にはまりました。主にかまいたちとか和牛などの関西系をYouTubeなどで聞いていたのですが、塙さんのこの新書は、漫才のことをほとんど知らない自分にとっては大変刺激的でした。かつ、何といいますか勉強になりました。

以下は再掲です。

直居が選んだ投資とビジネスとLIFEに効く10冊+1冊(2019)
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング他著、日経BP社)
『日本社会のしくみ』(小熊英二著、講談社)
『資本主義と闘った男』(佐々木実著、講談社)
『人口減少社会のデザイン』(広井良典著、東洋経済新報社)
『父が娘に語る美しく深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ヤニス・バルファキス著、ダイヤモンド社)
『平成はなぜ失敗したのか 「失われた30年」の分析』(野口悠紀雄著、幻冬舎)
『平成金融史』(西野智彦著、中央公論社)
『日韓の断層』(峰岸博著、日本経済新聞社)
『苦しかったときの話をしようか』(森岡毅著、ダイヤモンド社)
『人生は攻略できる』(橘玲著、ポプラ社)
+1冊
『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(ナイツ・塙宣之著、集英社)



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