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「円安は日本経済にプラス?」「マイナス43.8%」vs「プラス40.9%」

日経CNBCが視聴者様を対象に毎月アンケート調査している「投資家サーベイ」。定点観測の株式や為替相場に対する相場観に加え、毎月トピック質問をもうけ、それに関する様々なご意見をいただいています。10月27日~31日の調査では「為替相場での大幅な円安は、日本経済にはプラスでしょうか?それともマイナスでしょうか?」とお聞きしました。

一時1ドル=150円突破、24年ぶり円買い介入も

何しろ今年は年初時点で1ドル=115円前後だった為替相場で円安が急激進行。10月には一時1ドル=150円を突破するなど、滅多にないほどの変動に見舞われています。政府・日銀は9月にはおよそ24年ぶりの円買い介入に動くなど、極めて神経質な展開。今年はコロナ禍が一服したことで、久し振りに海外旅行、海外出張に出掛け、円安の辛さ(1万円でこれしか買えないのか!)を感じた方も多かったのではないでしょうか?もちろん、輸出産業を中心に多くの企業の業績ではプラスのメリットが顕在化しています。波乱が続く米国株式相場に比べて、相対的に日本株が底堅いひとつの背景は円安だとみてよいと思います。

では、総じて言って「円安は日本経済にはプラスなのか?」それとも「マイナスなのか?」――。まあ、ちょっと無茶な質問ではあることは承知。その理由も含めてお答えいただいたことで、いろいろと考えさせられるところが多かったです。

結果は日経CNBCのホームページにも掲載していますが、結論だけ先取りすると……。

いかがでしょう?設問を考えた時点では、ある程度拮抗するのではないか?とは想像していたのですが、マイナスの方がわずかながら多いというのはやはり驚きでした。プラスと答えた方は、ある意味オーソドックスに「企業業績にプラス」「インバウンドを呼び込む」「製造業補国内回帰が見込める」といったお答えが多かったです。一方マイナスとの答えの理由は「食料品そのほかの値上がりがきつい」「輸出大企業はともかく、中小企業にはコストアップ要因ばかり」「変動が大きすぎる」などが多かった印象です。「円安→製造業の国内回帰は幻想では?」といった回答も考えさせられるところが大きかったですね。

ちなみに、ちょうどアンケートを実施していた期間のまっただなか、10月28日(金)に、黒田東彦日銀総裁の金融政策決定会合後の会見があり、その中で一人の記者が「今の為替は日本経済にと って、全体としてはプラスなのかマイナスなのか、どう評価されているか教えて頂 けますでしょうか?」と質問しました。黒田総裁の回答は以下の通りです。

「従来から申し上げている通り、円安の経済への影響というものにつきましては、マ クロ経済モデルなどに基づいて、安定的な円安方向の動きであれば、経済全体とし てプラスに作用すると申し上げてきましたが、同時に、その影響は業種、あるいは 企業規模、経済主体によっても不均一であるということを申し上げてきました。そ して先ほど申し上げた通り、最近の円安の進行は急速かつ一方的なもので望ましく ないと、経済にプラスでないということを申し上げてきたわけであります」

さあ、改めてみなさんならどのように考えるでしょうか?以下に、たくさんお寄せいただいた回答の一部をご紹介させていただきます。今回もたくさんの方に投資家サーベイに参加いただきましてありがとうございました!

日経CNBC・投資家サーベイ
円安は日本経済にプラス?マイナス?

<プラス>
・短期的には中立。長期的にはプラス。日本経済の転機となると思う。デフレからの脱却。 国内産業への回帰。政府には、この円安を利用し、外国からの投資の優遇など後押しするような政策をお願いしたい。
(ダーツ―)
・国内回帰が進むのでプラスと思います。円高で海外移転した工場が国内に戻ったり、国内農産物の使用が増えることで食料自給率が向上します。また、インバウンドの海外旅行者が増えるのもプラスです(超円高のときは国内の空洞化が懸念された気がします)。
(アルファが大事)
 
・円高で海外に流出した技術力を国内に回帰させ価格競争力をつければ日本は輸出型経済なのでプラスに働くと思う。メーカーの業績が上がることで中期的には物価高も許容可能となるはず。
(ぎぃ~)
・現状ではコストプッシュでジリ貧だが、物価が上がりにくく通貨も安いなら、インバウンドが本格回復すれば長期的にはプラスかもしれない。
(みすてぃ)
 
・大きくプラス 。製造業の回帰が現実になる。国内景気が大きく浮揚。設備投資、雇用、住宅、飲食などすべてにプラス。政府と日銀は、円安を定着させようとしている。賛成する人が多いのではないか。
(TY.N)
・円高で痛めつけられた日本の輸出競争力を復活させるラストチャンス。資源のない日本は輸出で外貨を稼がなければ輸入したくても買う外貨がなくなる。 また、安い外国産に駆逐されていた国内産品に復活する目が出てくる。国内景気が良くなれば自然と給料も上がってくる。これこそがアベノミクスの狙いではなかったのか。
(やすゆみ)
 
<マイナス>
・商売柄為替の変動をある程度許予測して予算組みしていたが、140円超えの時点で想定外。年度内でここまで円安が進むとキツい。
(服飾販売業)
・輸出の為替利益より、輸入によるコストアップの方が影響が大きいため。
(ちびこくん)
・輸出競争力のある一部の企業には極めて有利。しかし現状我が国にはそれだけの競争力を持つ企業は急減しており、一般市民、中小企業への弊害が大き過ぎる。
(コンサルタント)
 
・食料・エネルギー価格の上昇が景気にマイナスの影響を与える。
(ゴルゴ13)
・輸出割合の多い企業には、プラスかもしれません。 国内に圧倒的に多い中小企業は、円安ドル高の影響が大きいから。
(おおぽち)
l  変動が大きすぎて、経営計画に悪影響が出そう
(mark)
 
・多くの食料品を輸入に頼っている日本、円安は値上りに繋がり年金生活者は大変です。豚肉もg98円の輸入品が今は127円に変身!ステルス値上げも目立ちます。町内の赤い羽根も800円が1000円に、神棚にお祭りするお札も700円が1000円に!便乗値上げが止まりません。止まらないのはため息だけよ。 ⌒⌒);
(ひまわり)
・自動車株等輸出関連株が全く反応していない。
(改野さんと結婚したい)
 
・最早、円安になったからと言って製造工場を国内に移転するのは簡単なことではない。物流費も馬鹿にならない今は消費地に近い所で生産する、というのが主流。円安⇒製造業の国内回帰というのは幻想では?
(アンモニア猪木)

<分からない・どちらでもない>
・立場によってプラスかマイナスは変わると思います。 ただ、感覚的に日本円の価値が下がるのは好ましくないと思います。
(ロッキー)
・海外からの旅行者の増加は大いに期待出来るが、一時的。製造業の国内回帰は時間が掛かるし、経営者にその意欲と能力があるかどうか疑問。
(逆張り大好きよっち君)
・ある程度までの円安はプラスでもそれも程度問題。個人的には125~135円くらいがちょうどいい位と思う
(ロンリーチャップリン)
 
・輸出産業、海外で事業を行っている大企業にとっては円安はプラスでしょうが、一方原油、金属資源、穀物などの輸入価格が上がりインフレを助長しますので、国民経済トータルとして見たらどちらともいえないと思います。
(本野一言)

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