【はじめに③】NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX
ネットフリックスは圧倒的に成功している
ネットフリックスが上場してから17年後の2019年までに、株価は1ドルから350ドルに上昇した。同じタイミングでS&P500かナスダック指数に1ドルを投資しても、3~4ドルにしかなっていない。
ネットフリックスに夢中になっているのは株式市場だけではない。消費者も批評家もネットフリックスが大好きだ。『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』や『ザ・クラウン』などのオリジナル・コンテンツはここ10年を代表する人気作品となり、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』はテレビ番組として世界最多の視聴者を集めているとされる。スペインの『エリート』、ドイツの『ダーク』、トルコの『ラスト・プロテクター』、インドの『聖なるゲーム』など英語以外の言語で制作された番組は、それぞれの国でドラマへの期待値を上げ、新たな国際スターを生み出した。アメリカではここ数年でネットフリックス作品がエミー賞に計300回ノミネートされ、複数のアカデミー賞も獲得した。さらにゴールデン・グローブ賞ではあらゆるテレビ局やストリーミングサービスを上回る17回のノミネートを受け、コンサルティング会社レピュテーション・インスティテュートが毎年発表する「アメリカで最も評価の高い企業ランキング」で1位を獲得した。
社員もネットフリックスが大好きだ。テクノロジー系人材のマーケットプレイス・サイトであるハイアードが2018年に実施した調査では、グーグル(2位)、イーロン・マスク率いるテスラ(3位)、アップル(6位)などを上回り、ネットフリックスが最も働きたい会社に選ばれた。同じ年、報酬やキャリアに関するサイトを運営するコンパラブリーが、アメリカの大企業4万5000社で働く500万人以上を対象に、社員の幸福度を調べた。そこでは数千社を抑えてネットフリックスが第2位に選ばれた(第1位はマサチューセッツ州ケンブリッジのソフトウエア会社、ハブスポット)。
とりわけ興味深いのは、自らの業界が変化すると経営が傾く企業が多いなかで、ネットフリックスはわずか15年のあいだに4回ものエンタテインメント業界と事業内容の大きな変化にうまく対応したという事実だ。
・郵送DVDレンタル事業から、古いテレビ番組や映画のインターネット・ストリーミングへ。
・古いコンテンツのストリーミングから、外部スタジオが新たに制作した独自コンテンツの配信へ(『ハウス・オブ・カード 野望の階段』など)。
・外部スタジオ制作のコンテンツをライセンス配信する状態から、社内スタジオを立ち上げて数々の賞を受賞するほどのテレビ番組や映画を制作する体制へ(『ストレンジャー・シングス 未知の世界』『ペーパー・ハウス』『バスターのバラード』など)。
・アメリカだけの企業から、世界190カ国のユーザーを楽しませるグローバル企業へ。
稀に見る成功というレベルではない。まさに驚異的である。2010年に破綻したブロックバスターとは違う、何か特別なことがネットフリックスで起きていたのは間違いない。
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