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【文章術本】【29位】同じ主語が続くときは省略してみる

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日本語は、主語を省略することができます。
主語とは、「何が」「誰が」などをあらわす言葉です(11位参照)。主語を省いてもいいのは、次の2つの場合です。

◆主語を省いてもいい2つのケース

(1)同じ主語が続くとき
日本語は、前後の関係から主語を察することができます。主語が同じ場合は、省略をしたほうが文章はすっきりします。

〇良い例
吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。(夏目漱石『吾輩は猫である』)

×悪い例

吾輩は猫である。吾輩の名前はまだ無い。どこで生れたか吾輩にはとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所で吾輩がニャーニャー泣いていた事だけは吾輩も記憶している。

「吾輩」は、「名前はまだ無い」以降の文の主語であることが明らかなので、削除できます。すべての文に「吾輩」を入れると、文章の小気味良さが失われ、冗長な印象を与えます。

×悪い例
私は、私が持っている株を私の息子に譲渡した。

〇良い例

株を息子に譲渡した。

「私」をすべて削除しても、文意は伝わります。

(2)人々や世間が主語のとき

例文
マイホームを保有している場合、固定資産税を支払う必要があります。

主語がなくても、固定資産税を支払うのは、「マイホームを保有している人」であることがわかります。
劇作家の井上ひさしさんが、「名文家」の文章を調べてみたところ、共通点がひとつあったそうです。それは、「主語が抜けている」ことでした。
文意が通じるのであれば、「私」「僕」といった人称代名詞(人物を指し示す代名詞)を削ったほうが、リズムは良くなります。

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